【064話】自由奔放な、領主の娘
議論は進み、モナの今後についての考えがまとまりつつある。
俺たちの総意としては、モナが一度実家に帰り、話し合うべきであるという結論に至った。
この問題を解決しない限り、【エクスポーション】の活動は、安定しない。
セントール子爵家からの対応などに怯えながら日々を過ごすのは、得策ではないと俺たちは、モナに告げた。
──しかし、
「うーん……私帰りたくないわ」
駄々っ子モナが発動。
俺たちの意見に真っ向から立ち向かってきた。
勇敢なのか、愚かなのか……。
いや、普通に嫌なだけか。
──モナはもうちょっと今回のことを深刻に捉えたほうがいい。少なくとも、そんな軽く嫌だ行かないで、終われるようなことではないのだから。
「モナ。円満解決しないと、俺たちの冒険者としての先がなぁ……」
「この場所が不都合なら、拠点を変えればいいだけじゃないの」
「いや、そんな簡単な話じゃ……」
「なによ。そんなに怯えることでもないでしょ? 私たちは強いのよ!」
モナは、聞く耳を持ってくれない。
なにがどうしたって、モナは帰りたくないらしい。
まあ、気持ちは分かる。
追い出されたのに今更戻ってこいなんてことを言われたら、俺だって躊躇する。
嫌な思い出が沢山あり、
今という幸せが崩れるかもしれないという可能性を抱えてまで、戻ろうとは思わない。
──多分、俺たちのためでもあるんだよな。
モナが頑なに首を縦に振らないのは、俺たちとの冒険の旅路が終わる可能性を予期してのことなのかもしれない。
「モナ」
だから、こんなことをモナにだけ背負わせることはしない。
「なによ?」
「俺たちも付いて行くよ。モナを1人になんて絶対にしないから!」
そう結論を述べる。
モナは、少し迷ったような顔をする。
「でも、本当に戻る気はないから……」
「だったら、それをちゃんと伝えないと」
もしかしたら、モナとモナの家族の間には、大きなすれ違いがあるのかもしれない。
アレンの一件。
あの時の光景が目に浮かぶ。
アレンの幼馴染であるスカーレットとの関係性がまさにそれだ。
些細な理由で運命を捻じ曲げられた。
──モナを探しているのは、モナと会いたいからだ。
だからこそ、けじめはしっかりと付けるべき。
「安心してくれ、モナは【エクスポーション】にとってかけがえのない存在だ。絶対に手放してなんてやらないから!」
「レオ……」
モナは、ここにきて初めて弱々しい声になる。
今までのが虚勢であったのか、あるいは心を揺さぶられたからなのかは分からない。
けれども、モナの態度は刺々しいものではなくなった。
本日4本目っ!
明日からも頑張るぞ!




