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【059話】頼れる酒飲みリーダー






 老紳士に出会った翌日。

 俺は未だに頭を抱えていた。


 そりゃそうだろう。

 モナの未来と俺たち【エクスポーション】の今後が左右されるような案件なのだ。

 俺みたいな知的キャラじゃないような男が名案を思いつくわけがない。


 ──もしも、モナがあの老紳士に連れて行かれてしまったら……。


 想定する。


 モナのいない【エクスポーション】


 火力不足。

 万能サポーター不在。

 立ち回りが崩れる。

 パーティの安定感が大幅に減少。

 パーティの士気が急降下。

 強気なまとめ役が不在……。


 ──ああ、終わりだぁ。


 完全に詰みである。


「これは、なんとしてでもモナの存在を隠し通さねば」



 老紳士にバレてはいけない。

 モナが連れていかれてしまう。

 けれども、隠し通すとなると、どうなる?

 モナをしばらくの間、魔物討伐に連れていないとか?


 ……無理だ。


 そんなことできない。

 モナがいてこそ成立するパーティ。

 それこそ、パーティの雰囲気や連携が乱れる。


 しかし、やっぱりSランクパーティであることから、俺たちは目立つ。



「はぁ……どうすりゃいいんだよ」


「何頭抱えて悩んでんだよ?」


「うわぁっ!」



 ヴィランがニヤニヤしながら、近寄ってきてきた。

 全く気付かなかった。

 それだけ、集中していたのだろう。


「悩み事か? 俺でよければ話聞くぜ」



 ──はぁ、なんか俺が悩み抱えているってことがパーティメンバー全員にバレてるし。

 なんでだ?

 そんなに分かりやすいか?


「なんで、バレたんだ? ……みたいな顔してるな!」


 楽しそうにヴィランは告げる。


 ──考えてることまだお見通しかよ。



「まあ、概ねその通り」


「ガハハッ! んな、嫌そうな顔すんなよ! 年長者の勘だって!」


「いや、ヴィラン以外にもバレてたし」


「そうかそうか! レオは分かりやすいからな。落ち込んでいる時なんて特に」



 落ち込んでいる?

 俺が?

 自覚はなかったが、そうなのかもしれない。


「なぁ、ヴィラン」


「どうした?」


「ちょっと、相談乗ってくれねぇか」


 そう頼むと、ヴィランは全てを見通すような瞳をこちらに向けてくる。


「んなこと聞くなよ。俺はお前らの保護者みたいなもんだぜ? なんでも聞いてやる」



 ヴィランを信じ、俺はモナのことを相談した。

 俺はどうするべきなのか。

 モナにこのことは伝えるべきなのか。


 自分で導くことのできなかった答えをヴィランに求めた。



 ヴィランは黙って、俺の話を聞く。

 普段は酒飲みのだらしない我がパーティリーダー。


 けれども、こういう重要な場面においては、誰よりも頼りがいがある。


 ──ヴィランがリーダーで、良かったと思う。





応援してくださった皆様のおかげで、幸せな夢を見られました。

ありがとうございます!



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