【058話】ずっと一緒にいたいから
「はぁっ!」
モナが槍を振るう。
いつもの狩場。
そこで、依頼にあった魔物を討伐していく。
普段通りの光景。
モナとアレンが前衛にて魔物を倒し、俺が多数の魔物の攻撃を防ぎ続ける。
後方からアイリスが回復魔法と攻撃魔法をうまい具合に撃ち続け、ヴィランは危うくなったら、前に出てくる動きをひたすらに繰り返す。
……隙のない動き。
「レオッ、頼む!」
「任せろっ!」
アレンの声に反応して、俺は寄り集まってきた魔物を【釘付け】のスキルによって身動きを取れないようにする。
「行くぞ!」
「ええ!」
アレンとモナの速攻。
討伐任務は、滞りなく完了するのであった。
▼▼▼
「お疲れ様、レオ!」
「おつかれ、アレン」
討伐を済ませた俺たちは、現在休憩中である。
素材の切り取りも終わらせて、もう本日のお仕事は終了。
あとは、安全に帰還するだけなのだ。
「今日も、レオはしっかりとタンク役を担ってくれて助かるよ。ありがとう」
アレンはキラキラ笑顔を向けてくる。
まあ、それが俺の役割だから当然である。
首を振り、俺は言う。
「アレンとモナの攻撃速度が速いから、俺は楽できてるよ」
「ははっ、そう言ってもらえると剣士冥利に尽きるよ!」
「いや、事実だしな……」
──そんなお世辞でも嬉しいみたいな軽い笑いで流すなよ。
アレンは剣に付着した魔物の血を布で拭いながら、ふうと息を吐く。
そして、今度は砕けた表情ではなく、心配するような視線を向けてくる。
「それで、レオ……大丈夫か?」
「えっ?」
「いや、なんだか悩みを抱えているみたいだったからね。戦闘中も、たまに上の空になっている時があったし」
まさかバレていたとは……。
魔物と対峙している間は、そっちに集中していたつもりだったが、無意識にモナを探している老紳士のことを考えていたのかもしれない。
「ヘイト取り雑だったか? 悪かった」
「いや、そんなことはなかったよ。直接魔物と接敵している間のレオはしっかりやってくれていた。えっと……一旦下がった時とかに別のことを考えているような感じがしただけで……あっ、そんなことないなら、忘れてくれていいんだけどね」
──戦闘中に俺のことをよく見てるな。
確かに、ローテして前線をアレンとモナに任せるタイミングでは、そういうことも考えていたかもしれない。
けれども、本当に一瞬だけだ。
準備が整えばすぐに戦線復帰。
悟られるほど長い時間上の空になったりはしていない。
「アレンは俺のことをよく見てるんだな」
「まあね、相棒の感情の機微には、敏感に反応しないとね!」
「そんな気遣いはいらん」
「ははっ!」
空気を和ませるためなのか、アレンの表情は明るくなった。
俺には不安があった。
アレンはそれを察して気にしたのだろう。
「悪いな……変に心配させて」
「構わないさ。大事なパーティメンバーのためだったら、いくらでも手を貸そうと思っているからね。……だから、話したくなったら、僕にも話しなよ」
「ああ、その時はよろしく頼む」
「うん、任せて!」
──はぁ、どうしてコイツはいつでもこんなに格好いいんだろうか。
モテ要素あり過ぎるだろ。
アレンのおかげで、少しだけ気持ちが楽になった。
話すか話さないかは後々考えるとして、今はまだ、俺で考えられるところまでやってみよう。
俺個人の意見として、モナには貴族社会に戻って欲しくない。
仲間だから。
3年間一緒だったから。
そういう理由もあるが、やっぱりモナのいないこの先の未来というものが想像できない。
──モナは俺が守る。
漠然とした決意。
しかし、それは明確に俺の中に生まれた感情からきたもの。
モナのことが大切だ。
パーティメンバーだからという理由じゃない。
一緒にいたい。
──できれば、永遠に……って、俺は何を考えてるんだ⁉︎
脱線した。
とにかく、俺はモナのことを守ってやりたいと感じている。
だからこそ、あの老紳士がどうしてモナをセントール子爵家に連れ戻したいのかを探らなければ……。
俺は静かに意思を固めた。
本日2本目!
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