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【053話】今度は本当に2人っきりでね





「色々あったけど、無事に解決したみたいで良かったわね」


 夕暮れ時。

 モナはそんなことを言いながら、俺の前を歩いていた。

 アレンは、しっかりスカーレットとの過去に見切りを付けることができた。


 ──きっともう大丈夫だろう。


「アイリスがアレンに付いてくれてて良かったな」


「そうね。私だったら、あの手強そうな幼馴染とまともに会話できないもの」


「それは、俺もだな。相性が悪い」



 満場一致で、あの場面でアイリスがアレンと行動していたことは正解だったと決まった。

 いや、本当に。

 万が一のことを考えて俺らが待機していたものの、心配のし過ぎに終わった。



「あ〜、でも。2人にバレないようにこっそり動くのって疲れるわね。普段はやらないから、すっごい神経使ったもの」


 モナは伸びをする。


「確かに! 楽しかったけどな」


「そうよね! なんか、新鮮な体験をした気分!」


 新鮮か。

 まあ、確かに経験したことのないことではあった。

 道中、モナと普通にお出かけを楽しんでいた場面もあったが、それも全て含めて、今日は充実していたのかもしれない。


「また、やりましょう!」


「いや、もうやらんし!」


 爆弾を投下しないでくれ。

 今回のは、中々ハードだったぞ?

 やるとしても、今度は変な服装では絶対に動いてやらない。

 普段着で人混みに紛れている方が楽だと思うから。


 次回もやる気満々のモナと今回限りにしてほしいと思う俺。






 ──でも……まあ、そうだな。




「モナ、今度はさ。普通に出かけたりしないか?」


「えっ、それって……」


「いやさ。今日はモナといろんな場所を巡れて楽しかったけど、アレンとアイリスの安全を確保するためっていう名目だったから……」


 モナとのお出かけは、本来の目的ではなかった。

 ついでみたいな扱い。

 けれども、そのついでにしたランチや街を巡ることが本当に楽しかった。


 きっと、ちゃんとしたお出かけをする場合は、もっと楽しい時間を過ごせるんじゃないかと考えていた。


 ──休日に外出することは、積極的にやってこなかったけど……楽しかったからな。



 1人で外出するのではなく、誰かと一緒に楽しさを共有出来たことがその要因だ。


 隣にモナがいて、

 笑ってくれて、

 一緒に同じことをして、

 時に真面目に、

 時に笑い話で盛り上がる。


「どうかな?」


 モナに問いかける。


 モナの方も、楽しかったのではないかと勝手に考えている自分がいる。

 今日モナが見せた笑顔はとても自然であった。

 キラキラした瞳ではしゃぐモナを目で追いかけるのが、個人的にとても落ち着いた。


「……え、えっと。本当に?」


「ああ、今日は本当に楽しかった。きっとモナと一緒だったからだ。今度は、気兼ねなく遊びたい」


「そ、そう。……し、仕方ないわね。レオがそこまで言うなら次もその次も、私が一緒に遊んであげる!」


 ……上から目線だなぁ。

 眩しいくらいに綺麗な顔で微笑むモナ。


 ──けど、モナもやっぱり楽しかったんだな。



 モナの感情表現は、分かりづらいようで分かりやすい。

 口調がキツいというのは、慣れれば特に気にならないし、むしろ、表情が素直であるから見ていて微笑ましいくらいだ。


 ──まあ、そのうちかな。


「また今度誘うよ」


「ええ、待ってる」


 いつかまた、モナとブラブラ街を歩こう。

 いつもは、忙しなく冒険者として活動しているのだから、息抜きだって必要だ。



 アレンとアイリスの帰還はいつになるのだろうかと頭の片隅に思い浮かべながらも、やはり未だに浮ついた気分が抜けないままであった。


 ──モナと次に出かける日が楽しみだ。



 心の中で、俺はそんなことを思い浮かべて、緩んだ頬を手で覆い隠す。

 勝手に舞い上がって……我ながら、ちょっと子供っぽいと感じる。

 


 けれども、浮ついているのは、俺だけではない。

 前を歩くモナの軽やかなステップ。

 嬉しいのが非常に分かりやすい。

 



 帰り道。

 俺とモナは次に出かける日を思い描きながら、2人でゆっくりと歩みを進めるのであった。





ブクマ6000越えありがとうございます!

感謝を込めて、本日4本目の投稿となりました!





      

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  邪智暴虐の闇堕ち聖女〜追放された元聖女は理不尽な世界へ復讐するため、悪逆非道な制裁を執行する〜

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 二人の関係は前進しているのでしょうが、温度差があるような……。
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