【052話】今を生きる意味(アレン視点)
【エクスポーション】は3年で栄光のSランクパーティに昇格した。
──これを誰が想像できただろうか?
きっと、誰も予想できなかったことだろう。
このパーティに所属していた僕でさえ、今のこの状況ができ過ぎていると思ってしまうくらいだ。
『な? Sランクパーティまで行けただろ?』
さも当然のようにヴィランは告げた。
これくらい、できて当たり前。
自分は知っていた、と。
……そんな風に考えているのが丸わかりなくらい、ヴィランは自信に満ち溢れた顔を3年前からしていた。
彼の瞳は特別だ。
そして、優れた慧眼でもある。
こうなることも、見通していたのだろうと感じつつ、俺の素直な気持ちを告げる。
『正直、驚きました。僕は、こんな日が来るのを予想していなかった』
『そうかそうか! でもまあ……お前のおかげで、ここまで来れた。最初にお前を勧誘して良かったよ、アレン』
そう言ってもらったが、僕がここまで頑張れたのは、やはり信頼できる仲間が集まってくれたというのが大きい。
そして、その仲間はヴィランによって集められたものだ。
『ヴィランさん、飲み過ぎですって……』
『たまにはいいだろ、ガハハッ!』
『たまにじゃねぇだろ。……アイリスはまだ優しいが、モナの機嫌まで損ねたら、ぶん殴られるぞ?』
アイリスとレオは、呆れたような顔をする。
ほのかにアルコールの香りが通り抜けていくこの場所を広く眺めながら、「ああ、普段と変わらないな」と思う。
『ちょっと? 誰が誰をぶん殴るですって?』
『げっ!』
『げって何? レオ〜?』
『いや、悪気はないんだぞ。本当に……』
レオに訝しげな瞳を向けるモナ。
──このパーティは賑やかでいい。
この4人が仲間でいてくれたおかげだ。
再び冒険者としての道を歩み続けようと思った。
もし、彼らに出会っていなければ、僕の未来はどうなっていたのか分からない。
『まあまあ、落ち着いてよ』
半笑いながらも俺は、モナを落ち着かせる。
このやりとりが、僕ら【エクスポーション】の内輪ノリの流れだ。
まあ、普段からモナに怒られるのがレオというわけではない。
男衆3人で、それぞれ機嫌を損ねたらローテーションで睨まれている。
けれども、そういう素直な感情を向けられるというのもまた、このパーティに居ていいのだという安心感に繋がっている。
アイリス、ヴィラン、レオ、モナ。
──僕は、君たちのおかげで前を向いて歩めているよ。
『ほら、アレンさんの言う通り。これからお仕事なんだから、ね? モナちゃん』
『むぅ……アイリスがそう言うなら』
アイリスはモナと手を繋ぐ。
そうして、パーティの先頭を進む。
『僕たちも行こうか』
ヴィランとレオに声を掛け、僕たちも2人についていく。
過去を忘れることはできない。
心に宿った後悔の残響も消えない。
不器用だった僕。
それでも、馴染むことができる大切な守るべき存在と居場所を手に入れることができた。
今度こそ、手放さない。
僕は、このパーティで更なる高みを目指す。
──だから、もう。
スカーレットへの想いは、この場に置いていこうと考えている。
──さようなら。
僕の初恋。
……今まで、ありがとう。
3本目の投稿となりました。
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