【043話】モナと始める2人の追跡任務
モナと行った密会の翌日。
「じゃあ、行こうか」
「はい、アレンさん」
アレンとアイリスが外出する。
2人の嬉しそうな表情をボーッと観察しながら、俺は大きく息を吸った。
──さて。
俺はすっと身を引き締める。
アレンとアイリスの様子をひょっこりと顔だけ覗かせた俺とモナ。微笑ましい様子を静かに観察する。
アレンとアイリスが動き出すと、モナは俺に手で合図を送ってきた。
「2人が動くわ。行くわよ」
「お、おう……」
全身を覆うような黒ローブに足音が出ないような特殊加工の靴。
普段とはまるで別人のような装い。
怪しさが際立つその服装。
──事情を知らない人から見れば、俺たちは、間違いなく不審者だ。
心が疲れる……。
何故だ?
なんでこんな恥ずかしい格好をしなければいけないのだ!
こんな格好で街中を歩み進めることは、本当にしたくなかった。けれども、モナがどうしてもバレないようにと念を押すものだから、仕方なくこういう姿になったのだ。
そして、何より暑い……。
冬場でもないのに、この厚着。
間違いなく、場違いだし、そもそも黒なんていう日差しを吸収しやすいような色は、熱を溜めやすい。
……いやキツイぞ!
「ほら、あの路地を曲がったわ」
「あ、ああ」
「フラフラしないで! ほら、急いで」
モナは俺の手を引く。
アレンとアイリスの方から視線を逸らさないモナ。
彼女は、2人の動向を気にするあまり、暑いだとか恥ずかしいだとかはあまり考えていないように思える。
軟弱な考えの俺と反対で、たくましいなと感じる。
「あっ、ストップ!」
「ぐえっ……」
……そして、俺よりも動きが俊敏である。
勢いのあまり、2人に姿を晒してしまいそうになった俺を、強く引き戻すモナ。
危うくそのまま2人の前に出て行ってしまうところであった。
──た、助かった……。
「大丈夫?」
「いや、悪い。危うく、そのまま表通りに出ちまうとこだった」
「気をつけてよ。私たちは、日の当たる場所に出たら相当目立つ格好してるんだから」
「だよな……」
俺らの姿は、闇に紛れるに適しているものの、人通りの多い場所では特に目立つ。
注目されないようにした格好が、逆に多くの視線を集めてしまっては本末転倒である。
「アレンとアイリスはあそこにいるから……当分の間は、ここから様子見をしましょ」
「ああ」
頼れるモナ。
考えなしに飛び出す俺とは大違いの冷静さである。
俺は、彼女の言葉を信じて、同じくアレンとアイリスを静かに見守るのであった。
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