【042話】貴方と2人でなら……
「……レオ、私たちもアレンとアイリスに同行しようと思うの」
「えっ!」
文句が何か言われるのではないかと勘違いしていた俺にとって、モナの発言は気の抜けた声を出すのに十分なものであった。
──アレンの付き人はアイリスに決まったのに、それに俺たちもついて行くと?
何故だ?
「えっと、それは4人で行動するってことか?」
「違うわ。こっそりよ、こっそり! 私とレオは、物陰から2人の様子を見守るだけ」
「それ、必要か?」
「必要よ!」
モナはそう告げる。
圧というか、なんというか……。
断ることを許さないというような気概が感じられる。
──あれ? 拒否権とかない感じか?
ない。
モナの機嫌が損なわれるなんてことがあれば、理不尽にちょっかいかけられるのがオチだ。
アレンみたいに決闘にて、圧倒してやろうなんてこともない。
むしろ、防戦一方になるので、一方的にモナがスッキリするような展開が続くことだろう。
「……というか、いいのか? 大変になるかもしれないぞ?」
確認をしてみる。
モナにも日々の予定というものがあるはずである。
そんなモナのプライベートを削ってまで、彼女がそれを押し通そうとする理由が知りたかった。
尋ねると、モナは視線を泳がせる。
「……それは……気にしなくていいの!」
「そうか?」
「私がそうだと言ったらそうなの!」
勢いが凄かった。
しかし、それで納得できるわけではない。
モナが頑なに2人の動向を知りたがっているのは、何故なのだろうかと、疑問は消えていない。
「いや、それだと……」
言いかけて、言葉を発するのをやめた。
──怖っ!
めっちゃ睨まれた……。
これ以上反論、異論を出したら、殺すぞと……目が物語っている。
元貴族令嬢の圧倒的なオーラにあてられ、俺は怯む。
こればかりは仕方がない。
俺よりもモナの方が迫力が凄いのだから……。
「いや……分かった」
「最初から、そう言えばいいのよ」
モナは胸を撫で下ろす。
いや、俺の方が緊張したからな!
「それで、レオも一緒に来るのよ……私と……」
何故か俯き、先程の攻撃的な姿勢を鎮めたモナは、段々と小さくなる声でそう言った。
何故、そんなことの確認を?
「ああ、それは承知してる。モナにだけ、任せるとかはしない」
「当然ね。……私にしっかり付き合いなさい」
モナの顔は赤かった。
アルコール飲料を摂取したわけではない。
熱でもあるのかと少し考えたが、それもやめた。
──前回もこれに似たようなことがあったか?
いや、俺の気のせいかもしれないな。
個室での会話は、アレンとアイリスをこっそり尾行する話題を膨らませていく。
なんだか、ストーカーみたいに思えてしまうが、モナいわく「大事な仲間のピンチに颯爽と駆けつける為!」とのことであった。
──仕方がない。
モナがそう言うのであれば、俺はそれに従うだけだ。
本日2本目!
19000pt突破!
目標の20000ptまであと少しです!
本日の3本目は19時ごろに上がると思います!




