【038話】助け合える仲間になら、頼っても問題はない
「はぁ、はぁ……」
……疲れた。
今思えば、あんなに全力疾走する必要無かったのではないかと思うくらい、俺とアレンは街中を駆け抜けた。
疾風の勇者が疾走している様は、それはそれは注目の的であった。
しかし、そんな周囲の視線を気にしている状況でもなかった。
「帰れたね。……よかった。なんか安心したよ」
幼馴染で元パーティメンバーのスカーレットと対峙していた時とは違い、アレンはすっかり調子を取り戻していた。
「もう平気か?」
「ああ、悪かったよ。心配かけてしまったね」
「本当だよ。俺もいたんだ。お前だけで抱え込むんじゃねぇよ」
「──っ! ああ、そうだね」
俺はアレンの肩を小突く。
「俺に気遣いなんて必要ない。お前の相棒だ。存分に使えばいい」
なぜなら、俺もアレンに感謝しているから。
アレンに助けられたことがこの3年間で何回あったことだろうか……。
アレンはかけがえのない仲間だ。
この先もずっとそう。
──恩を受け続けるだけじゃない。
俺も返したいから。
お互い様の精神。
【エクスポーション】はそうやって、成り立っている。
仲間が本当に困っている時、決して、その仲間を見捨てたりしない。
「つまり。使えるもんは使っとけって話だ」
俺の雑な言い方にアレンは目を大きく開く。
そして、瞬きを数回した後に、スッキリした顔で笑みを浮かべた。
「うん、そうだね。ありがとう。お言葉に甘えて、思う存分、頼ることにするよ!」
「ああ、そうしろ」
アレンは、俺に一度頭を下げてから、魔法書を取り出す。
「レオのおかげで、コレも手に入った。今日は本当にレオに頼ってばかりだよ」
「たまにはいいだろ……」
「ああ」
俺とアレンは顔を見合わせ、苦笑いを浮かべた。
アレンの幼馴染が今になって接触してきたことは、非常に厄介だ。
厄介だが、【エクスポーション】の面々でしっかりとケアしていければ、なんとかなるはずだ。
「アレン、しばらくの間は、パーティメンバーの誰かと一緒に行動しろ。お前だけで動くことは、できるだけ少なくな?」
杞憂を生じさせた俺は、アレンへ向け、真剣にそう告げるのであった。
遅い時間に申し訳ないのですが、ストックが溜まったので一旦放出しちゃいます!
次の投稿は、お昼の12時ごろだと思います!




