表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/177

【037話】勇者の相棒は、過去の残響を消し去りたい





 俺とスカーレットは、互いにアレンを渡すまいと睨み合う。

 そして、アレンは俺の後方にいる。

 当然だろう。

 幼馴染ともう会いたくないという話は、聞いたことがあった。



 ──あの時の辛そうな顔をしたアレンを俺は忘れたくない。



『もう、スカーレットのことは忘れて、前に進みたいんだ』


 お前が踏み出した一歩は無駄ではないぞ。

【エクスポーション】がSランクパーティにまで駆け上がったのはアレンの活躍あってこそ。

 それは確かにお前が残した証。



 ──アレン、お前は、前に進むことはできたんだよ。



 だから、過去の亡霊がアレンにチラつくようであれば、今の仲間が助け舟を出してやる。

 困っているヤツは見捨てない。

 俺たちは、不遇な過去を乗り越えて、ここまで来たのだから。

 5人で乗り越えて来たのだから──。


「アレンはこれから大事な用事がある。世間話ならいつでもできるだろ」


「アレンは私のパーティメンバー。貴方にそんなことを言う権利はない!」


「元、だろ? 今は俺たちの大事な仲間だ」


「そんなこと知らない! アレンは、アレンは私が好きで!

 私がいないと何もできない! だから、アレンは私の近くにいるべきなの!」


 スカーレットはヒステリックな叫びをあげる。


 なんなのだろうか。


 彼女は少しズレている気がする。

 アレンはもう、彼女のパーティを抜けている。

 それなのに、未だに仲間であると思い込んでいるようなそんな風に見えた──。


 違和感を抱きつつも、俺はアレンをスカーレットから遠ざけるように手を引く。


「とにかく、アレンは忙しい。じゃあな!」


「あっ、待ちなさい!」


 俺は走る。

 アレンの手を引き、道を引き返す。

 パーティハウスに帰ることは考えていない。

 ただ、アレンをスカーレットの近くに長くいさせたくなかった。

 アレンは、俺に連れられ走りながら呟く。


「レオ……」


「ん?」


「ありがとう。助かったよ……」



 今のアレンに似合わず、爽やかさを取り繕うこともない。

 自然な感謝の言葉であった。


「俺がやりたくてやったことだ。気にすんな」



 ……かなり遠回りすることになったが、俺とアレンは無事にパーティハウスに帰り着くことができた。





本日4本目!

16000pt突破しました。

ありがとうございます!

引き続き、応援のほどよろしくお願いします!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

  邪智暴虐の闇堕ち聖女〜追放された元聖女は理不尽な世界へ復讐するため、悪逆非道な制裁を執行する〜

新作です。
よろしければこちらもご覧ください。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
― 新着の感想 ―
[気になる点] 地雷系だろうか? かなり不穏な感じがする・・・。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ