【036話】今の仲間、過去の想い人
「アレン、アレンなの⁉︎」
赤毛の女性は、アレンに詰め寄る。
彼女のことは、知っている。
以前アレンから聞いたことがあった。
赤毛の可愛らしい幼馴染がいたこと。
幼い頃から、ずっと彼女のことが好きだったこと。
冒険者になったのは、その幼馴染が冒険者になると言ったからだということ。
同じパーティに入って、さらにその幼馴染を意識していたこと。
噂がその幼馴染に聞かれないか不安だったこと……。
「見境なく、女性に言い寄るような男は無理」と、噂を信じた幼馴染にこっぴどく振られたこと……。
──この女は、アレンにとっての悪夢そのものだ。
身の毛がよだつ感覚。
アレンの初恋の相手であると同時に、アレンを拒絶したその幼馴染とやら。
俺もアレン同様に否定的な視線を向けるしかなかった。
「その、久しぶりね」
「ああ、そうだね。久しぶり……」
重々しい空気感をもろともせずに、アレンの幼馴染であるスカーレットは、アレンに話しかける。
アレンは、困り顔。
取り繕うような苦笑いを浮かべている。
「えっと、元気だった?」
「ああ、それなりに」
「そっか。よかった。あっ! そうそう、今からお昼なんだけど、一緒に行かない? 皆んないるんだよ!」
「い……や、それはちょっと……」
「なんでよ? いいじゃない。少し食事するだけよ!」
まるで「今までずっと心配してましたよ」と言わんばかりの笑顔を浮かべるスカーレット。
アレンの顔色が悪いことに気付いてもいない感じだ。
そして、俺のことも見えていないかのようで、アレンにだけ視線を注いでいる。
──アレンは大丈夫なのか?
こんな状況だ。
アレンの精神状態が心配でならない。
アレンは全くと言っていいほどに動けそうにない。
足が固まっているかのようにその場からピクリとも動かない。
──ダメだな。これ以上は、アレンが可哀想だ。
普段のアレンでは考えられないほどに瞳があちこちに動いている。冷静でない証拠だ。
「アレン、俺たちには用事があるだろ? 早く帰んないと」
「あ、ああ」
アレンの手を引いて、即離脱。
……したかったのだが、
「……ちょっと。私の邪魔をしないで、アレンは今から私とお昼ご飯を食べるんだから」
「本当に俺とアレンは忙しいんだよ」
スカーレットが俺を睨みつけるようにして立ち塞がる。
アレンを見捨てたくせに。
Sランクパーティのアレンになった途端、手のひらを返したように言い寄ってきた幼馴染。
誤解でした?
私が間違っていた?
元に戻れる?
……そんなのはそちらの都合を押し付けているだけだ。
しかも、そんなことはなかったかのように振る舞って、アレンに自然な態度で接触してきた。
──心底、反吐が出るよ。
「アンタは、アレンの気持ちなんて考えたことないんだな」
「貴方には関係ない話でしょ!」
「関係なくなんかない! 俺はアレンの相棒だ。アレンの気持ちを考えずに、ズカズカ土足で踏み込んでくるようなヤツを俺は見逃したりはできない!」
アレンは俺と肩を並べる男だ。
軽々しく考えられては困る。
そして、【エクスポーション】にとっても、かけがえのない存在。
「……アレンをこれ以上刺激するな」
「嫌よ。アレンは私の冒険者仲間なの!」
自我のぶつかり合い。
俺とスカーレットは、一歩も譲らない態度をバチバチにぶつかり合わせた。
本日3本目!
ストックが出来たので、今日はまだ投稿続けたいと思います!
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