【177話】一帯制圧(モナ視点)
「いたぞ、俺たちに喧嘩を売る身の程知らずに分からせてやれ!」
大胆に行動を起こしてから、事態は転々と動き出した。
最初に最も機動力のあるアウグストが飛び出してぐんぐんと前に進んだ。
それを一定の距離を保ちながら私とヴィランで追いかける。
まさか、こんなに強引に【アウトローズ】のテリトリーを荒らされると思っていなかった相手は焦り、ゾロゾロと姿を現した。
「ちょこまか、動くんじゃねぇ!」
「へへっ、当たってないでちゅよ〜。はい、雑魚おつ〜」
「てめぇ、ぶっ殺してやるっ‼︎」
会話の節々にアウグストの失礼な言動が挟まるので、相手は簡単に顔を真っ赤にして怒る。
相手の冷静さを欠かせることにおいて、アウグストは適任だった。
「ヴィラン、左をお願い。私は右をやる!」
「おう!」
左右に分かれた私とヴィランはアウグストに気を取られている【アウトローズ】の冒険者を叩きのめした。
殺しはしていない。
多少の傷は残るかもしれないが、命を奪わないように配慮した攻撃である。
「ぐえっ!」
槍の柄で突き飛ばし、そのまま脳天に振り下ろす。
刃先は当たらないように丁寧に槍を動かし、流れるように次の相手の懐へと潜り込む。
「観念なさい!」
「馬鹿が、女にやられるわけがねぇだろ!」
「はあっ!」
馬鹿はどっちかしらね。
お生憎様、凡庸な男に負けるほど私は弱っちくないの!
戦闘時間は数分であった。
潜んでいた【アウトローズ】の冒険者たちは全て縛り上げ、任務完了。
『お疲れ様です。こちら側はこれで全部かと……ただ、残党が残っている恐れがありますので、もう少しだけ捜索をお願いします』
ギルド職員のイヴの声が頭に響く。
警戒せよとのお達したが、殺気も感じられないし、私たちの方はもう終わりだろう。
「いやぁ、チョロい仕事でしたね〜。作戦も完璧だったし」
「作戦なんてなかったじゃない。アンタはただ敵陣に突っ込んで引っ掻き回しただけのことよ」
「たはぁ〜、天才アウグスト様を敬って欲しいっすわ」
「脳みそちっちゃいくせに、よく言うわよ……」
「ちょっ、なんすか〜!」
こんな緊張感の欠片もない会話をしていても、不意打ちなどの前兆すらない。本当に安全そのものだ。
手応えはあまりなかった。
けれども、冒険者ギルドで聞いていた話が正しいとするならば、これで終わりなんてことはない。
「レオ……」
つまり、こっちはハズレで──レオたちの方に本命がいるということなんだろう。レオたちの加勢に向かいたい気持ちを必死に抑え、事後処理に勤しむ。
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