【175話】危ない集団の捜索
【アウトローズ】一斉確保という厄介な依頼を受けた俺たち。
グラス街で彼らが潜伏しているであろう場所をイヴさんから教えられ、その場所を順々に巡り彼らを捕まえるという単純な作業をすることになった。
──正直気乗りはしない。
イヴさんによると、【アウトローズ】の面々は一部の仲間が衛兵に捕まったことを知っており、かなり焦っている状態らしい。
捕まるようなことをしてきたくせに、いざ不利な状況になった時に慌てるのは意味が分からないが、追い詰められたやつほど何をするか想定しにくい。
危険度二割増くらいに考えておいた方が良さそうだな。
「アレン、アイリス、こっちは大丈夫そうだ」
「分かった。前線上げるよ」
現在【エクスポーション】は二手に分かれて【アウトローズ】を探している。
俺、アレン、アイリスの三人を要したチーム『人格者』
モナ、ヴィラン、アウグストの三人を要したチーム『本能』
……チーム名は物議を醸したが、このチーム名を考案して勝手に押し付けてきたのはイヴさんだ。断じて、パーティ内から出たものじゃない。
そして、ギフリエさんはイヴさんと共に冒険者ギルドへ残り、別の切り口から【アウトローズ】の所在地を調査している。
チーム『本能』がどんな進捗なのかは分からないが、こちらは順調に調査を進めていた。
『『人格者』チームの皆さん、そちらの様子はどうですか?』
頭にイヴさんの声が響く。
コンタクトという遠方からやり取りのできる特殊な魔法である。
「こっちは今のところ誰かいる気配はないですね。『本能』チームの方はどんな感じですか?」
『向こうも、まだ【アウトローズ】の発見には至っていないね。大丈夫、まだまだ始まったばかりですから』
励ましの言葉を聞き、俺たちは落ち着いた声音で返事を返す。
そうまだ始まったばかり。
焦る必要はない。というか、焦って失敗したりしたら、それこそ笑えない話だ。
「レオ、そこの角が見えない……先に頼めるか?」
「おっけ。……っ、よし。この路地も異常なし」
未探索の場所は段々と狭まる。
【アウトローズ】の常套手段として、物陰や死角からの奇襲があるとイヴさんから聞いた。
多分、アレンやアイリスにその手の卑怯な技が通用することはないだろうけど、念のためある程度の攻撃を喰らっても、大丈夫な俺が先頭で進んでいる。
「いませんね……」
「そうだね。でも、ここはちょっと静か過ぎるよ」
不気味なくらいに静寂が周囲を支配する。
ただの勘だが、ここに【アウトローズ】の冒険者が潜んでいるような気がしてならない。
はあ、嫌な役回りだな。
「冒険者同士で、戦わなきゃいけないなんて……おかしな話だよな」
呟いた言葉にアレンも頷いた。
「僕もそう思うよ。けど、道を踏み外した彼らを野放しにしておくのは危険だ。誰かがやらないといけないことなんだから仕方ないんだろうね」
「そうなんだろうけどなぁ……」
「レオは、あまり戦いたくなさそうだね」
「できることなら……でも、そんなこと言ってちゃダメだってことくらい分かってるよ」
また甘さを見せてしまうところだった。
そういう曖昧な線引きが結果、危険を招くことくらい嫌と言うほど知っているはずなのにな。
『躊躇してはいけませんよ』
肩がビクリと上擦った。
イヴさん、急に会話に割り込んで来ないでください。
びっくりして心臓止まるかと思ったわ。
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