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【150話】やりたいようにやる(アウグスト視点)

この話にて更新に一区切り付けますので、この後完結設定に移行します。

次の更新再開を暫し、お待ちください。

現在10章から先の物語を製作中です。


『追記』

4/16に更新再開しました。

9章続きからです!






 真実は確認のしようがない。

 だからこそ、目に見えないものは、確かめたくなるものである。例えそれが確率的に低かったとしても、それが違うと断言できるだけの証拠がない限り、鼻で笑い飛ばすのは無理なこと。


 緊迫した空気が肌身に染みる。

 夜の執務室には、ピリリとしたスパイスと共に楽しい予感が満ち満ちていた。


「内通者? まさか」


 セントール子爵の狼狽える様子を俺は内心楽しんでいた。

 そうでなきゃなぁ。もっと娘の心配をしろ。ちゃんと向き合えよと視線を飛ばす。

 これは完全にブラフ。あのリーダーが裏で魔女と今も繋がっている可能性は多分ないだろう。けれども、関係性があるというだけで、こういった運用が可能になってくる。


 ──悪いけど、ちょっとばかし利用するぜ。


「魔女と親しげに話してましたよ。あのパーティのリーダーがね。……それでも、あそこに大切なひとり娘をただ置いておく気なんすか?」


「……んむぅ」


 悩んでいる。

 しかし、強行して娘を連れ戻すという選択は取れないはず。

 何故なら、娘との賭けに負けたのだから。

 武術大会で彼女は優勝した。

 俺たちが負けたから──。


 そうなれば、この人に取れる選択肢などひとつしかない。

 俺を【エクスポーション】に送り込むことだけだ。


「だが、【神々の楽園】はどうするんだ」


 結論に至ったセントール子爵の最初の言葉はそれであった。

 それに対し、俺はヘラヘラしたままに言葉を返す。


「あ〜、適当に理由つけて一時的なパーティ移籍みたいに言っとけば──」

「そんな軽い立場でもあるまい。お前は、あのパーティの中枢に入り込んでいる。あそこのリーダーがそんな提案を受け入れるとは考えにくい」


 確かにその通り。

 でっちあげた薄っぺらい建前はすぐに看破される。

 俺が【神々の楽園】を簡単に離れるなんてことは出来ない。

 それなりの地位も築いてきた。

 だからこそ、こうして偉そうに振る舞ってもお咎めなしの良いご身分でいられる。積み上げたものがあるからこその縛りがあった。


 けれども、その話の欠点を挙げるのであれば、


「前提が違うんすよね〜」


 優先すべきは、【神々の楽園】?

 それは違うと真っ向から否定できる。

 何故なら元々俺は、この屋敷で雇われている身。


「アンタが俺の1番の雇い主。なら、簡単だろ」


「…………」


「命令すればいい。【神々の楽園】を脱退して、【エクスポーション】に乗り換えろ、と」


 軽々しく、俺らしく告げる。

 そう難しいことじゃないだろう。

 命令ひとつで動かせるじゃないかと。


 元々【神々の楽園】に加入したのもある種の打算からだった。

 そして、その目的もほとんど果たしたようなもの。

 俺にとっても、この人にとっても【神々の楽園】の重役ポストに居座り続けることに対して、さして大きなメリットはない。


 ──俺は力を得た。


「もうあの場所に固執してないし、それに──あっちのパーティは色々楽しそ……やりがいがありそうっすから」


「言い直さなくていい。もうお前の魂胆がダダ漏れだ」


 ろくでもないやつでも見るかのようにセントール子爵の視線は冷たい。

 失礼な。

 俺はそんなお遊び気分だけで動いてるわけじゃない。

 まあ、少し。ちょっとだけ、そう、本当に少しだけだ。


 人生に変化を求めるのは、人として当然。

 平穏を望む者がいれば、また俺みたいに刺激的な日常を望む馬鹿もいる。 


 ──利害も一致しているんだから、言えよ。言いたいことを。


 決断を下せ。

 本能のままに動いてしまえ。

 俺は告げられる言葉を待ち続ける。

 ただ静かに、俺みたいな馬鹿野郎には似合わないくらい真剣な面持ちになって──。


「分かった」


 短い言葉。

 けれども、この場においてはそれで十分だった。


「だが、準備する時間は必要だ。色々整うまで少し待て」


「へへっ、そう言ってくれると思ってましたよ〜」


 ──これで俺は、遠慮することなく【エクスポーション】に介入できる。

 いい大義名分を得られたものだ。

 存分に楽しもう。


「忠告しておくが、勝手な行動は慎め。お前が引っ掻き回すと各所の対応が狂う」


「あいあい、分かってますよーっと」


 さて、そろそろいいか。

 俺は踵を返して、立ち去る素振りを見せる。


「アウグスト」


 呼びかけてくる声は、似合わず弱々しいもの。

 俺は振り返ることなく、背を向けたままクスリと笑う。


「なんすか……」


「迷惑かけるな」


 ──今更なことを。何を言ってるんだか。


「じゃあ、お給金に期待しときます」


「ああ」


 飛んで火に入る夏の虫。

 馬鹿な俺にピッタリな言葉だ。

 今から俺は、ろくでもないことに多く遭遇することになることだろう。

 これは決して善意とか、そういうのではない。

 俺がやりたいからやること。


 誰にも指図はされない。

 金のために、楽しいことのためだけに動くのみ。


 日付は既に変わってるような時刻。

 街の灯りはごく僅かで、世界が寝静まっているかのような空気が目の前を流れていく。


「はぁ、俺含め、人ってもんは、本当に面倒な生き物だなぁ……」


 ひとり呟き、セントール子爵邸の庭を歩くのだった。





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  邪智暴虐の闇堕ち聖女〜追放された元聖女は理不尽な世界へ復讐するため、悪逆非道な制裁を執行する〜

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― 新着の感想 ―
[良い点] 続き書いたら星増やすね…
[一言] 更新再開楽しみにまってます!
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