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【121話】帰れない原因が判明した……





「まあ、事情は理解してる。レオっちたちに協力するってのも、大賛成だ」


 旧教会都市の入り口の方に視線を向けたまま、アウグストは、ユラユラと身体を揺らす。

 意識は完全にこちらに向いていない。

 彼の感情は完全に視線の先に注がれていた。


「まっ、私たちも探し物見つかるまで帰るわけにいかねぇからな」


「それもあるけど、どっちみちこの場所の問題を解決しないと帰れないらしいしね」


 他人事であるかのようなアウグストの発言に疑問符を浮かべる。


「問題を解決しないと帰れない?」


「そだよ」


 顔だけこちらに向け、アウグストは何もない空間に手を置く。


「見えない壁があるんよ、ここ」


「────!」


 空気を撫でるようにアウグストは手を動かす。

 その異様な動作にモナとアイリスもアウグストの触れている場所が気になり、そちらに駆けていく。


「壁……」


「本当に、見えない壁みたいなものがあるわ」


 先行きが怪しい。

 逃げないというよりも、逃がしてもらえない。

 俺たちに選択肢など、もとより与えられていなかったようである。




▼▼▼




 閉じ込められた。

 その事実を認識するのに、時間はそれほど掛からなかった。

 そして、この旧教会都市で神隠しが発生している原因究明も同時に済ませられる。


 ──出れないなら、帰ってこられないのも当たり前だ。


 外に出られないのであれば、いくら剣術に優れたアレンであっても帰ってはこれない。

 透明な壁。

 物理攻撃も魔法攻撃も無意味であり、破壊は不可能。

 そもそも、この壁が壊せるものであるかも疑わしい。


「根本的な問題をなんとかしないと、出る方法はなさそうですね」


 アイリスは強行突破は不可能と判断し、そう発言する。


「人為的ってことは、この壁を張り巡らしたやつがいるってことよね?」


「多分ね〜。まっ、その黒幕を暴くのが難しいんだけど」


 アウグストの告げたことは正しい。

 ここまでゾンビしか見ていない。

 黒幕がいたとして、そもそもこの旧教会都市内に居座っているかするも分からない。


「けど、探すしかないんだよな?」


「その通り。俺たち閉じ込めやがったカス野郎をぼこして、帰るだけ!」


 乱暴的であるが、大筋アウグストの意見に同意する。

 黒幕を倒す。

 透明な壁によって出られないなんて、人為的以外にありえない。だからこそ、その人物を突破すれば、必然的にここから脱出できるのだ。


「ついでに行方不明者の発見にも繋がるかもな。生死は、どうか知らないが」


 レジーナは目を瞑りながら、そんなことを言う。

 黒幕を倒せば、必然的に行方不明者がどうなっているのかを知る鍵となる。発見できるという意見にも頷ける。


 5人のSランク冒険者。

 それぞれが少しずつ違う感情を抱き、旧教会都市の謎を解明しようと動き出す。


 



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