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洞窟内で素材狩り実習

学院の授業で洞窟探索です。

 レイラ王女の贈ってくれた椿は、指定した畑から一番近い転移陣のある教会を使って、荷車で運んでくれた。

 椿の苗木は無事にライリーに届き、樹木の扱いに詳しい農民が畑に植え付けてくれた。


 あとは、すくすく育ってくれるのを待つ。

 早く油が欲しい場合は、一部だけポーションで育成を早めてみるかな。

 でも、とりあえずは保留。



 * *


 今日のランチタイムのお弁当はギルバートと一緒に学院のガゼボで食べる事に。

 まだ春のお花が咲いてるし、天気も良い。


 お弁当の中身はツナマヨおにぎりと豆ご飯で作ったおにぎり。

 フキの煮物とセリと椎茸とワカメのお吸い物。

 かなり和に寄っている。


「ツナマヨ美味いな」

「ツナマヨは若者に人気なので、そんな気がしました」


「甘辛いフキの煮物も美味しいぞ」

「それは大人に人気の味です」

「俺は大人なので」


 ふふっ。


「ところで、明日の授業はワンド作りの為の素材収集の課外授業で、洞窟に行くらしいですね。

洞窟っていかにも冒険っぽくて、ドキドキします。

綺麗な鉱石が見つかると良いのですが」


「俺も当然一緒に行くが、油断するなよ。

凄く強いのはいないらしいが魔物も出る所だから」


「はい。そう言えば演劇、殿下はヒーロー役でライバル役の私とは絡みがそこそこ多いですね。城に戻ったら台詞の読み合わせをやりましょうか?」


「練習はかまわないが、誰も止めてくれないから、俺がヒーロー役に決定してしまった。

せめて其方がヒロインのメアリー姫だったらな」


「でも私は、悪役が楽しみですよ」


「悪役が楽しみだって? 何故だ?」

「普段言えないようなセリフも言えますし、騎士役はドラマチックでは」


 前世で声優さんも悪役は楽しいって言ってた気がする。


「そうか? しかし、其方が……死ぬ役なんて」

「あはは。ただの演劇の配役じゃ無いですか〜」


 私は心配いらない、気にし過ぎだと笑ってみせた。


「はあ……其方は楽しそうだな……ニコニコして……可愛い」

「!?」


「癒されたいから、ほっぺに触ってもいいか?」


 え!?


「ここは学校なので無理です!」

「そうか……」


 びっくりした! 急に何を言い出すやら。

 湯上がり卵肌の頬擦り、柔らかほっぺの感触がよほど良かったとか?


 でもね、頬に触るとねー、角度によってはキスしてるように見えるから、知ってるから!

 少女漫画でよく見る誤解されるシーンだわ。


 神聖な学舎でふしだらって陰口言われかねないから、学院内は油断できないのよ。

 柱や壁の後ろから見てる人間がいるかもしれない。

 そして私は周囲を見回す。


 あ!


 いる──! いたわ、本当に!

 木の後ろに、黒髪ロングウェーブヘアの半分くらいがはみ出ているわ!

 あれ、レイラ王女でしょ!?

 危ない、危ない。


 てゆーか、あんなとこから何故コソコソ見てるの?

 隠れるにしても木からはみ出てるし、ギャグ?

 王女の取り巻きにいたっては後方に控えていて、丸見えですし。


「レイラ王女が木に隠れて、こっちを見ていますよ」

「俺たちは食事をしてるだけだから、別に」


「もー、さっき止めなかったら、無防備に私の顔を触るつもりだったでしょう。

角度によってはキスしてるように見えて危険なんです」


「ここが学院だからいけないんだな……」


 何やら家に帰れば触っても良いのだろう? 的な響きなんだけど……。

 話を変えよう。


「午後から、洞窟散策のグループ分けですよ」

「俺は当然其方と一緒のグループに入るぞ」


「仲良しで四人組作って〜とかではなく、くじだったらどうします?」


「まさか、クジだなんてそんな……スキルの被らない者と組ませるべきだろう。

魔物も出るのに。パーティーのバランスは大事だ。

万が一クジ引きとかだったら俺は教師に抗議する」


 そこで昼休み終了を告げる鐘が鳴った。


 そしてグループ分けの時間、教師が教卓で指示を出す。


「魔法の実力テスト上位から先に選んで、グループリーダーとして、ばらけて貰います」


 !!

 そう来たか……。


 パワーバランスを考慮して、ギルバートと私は別のグループになった。

 どっちも上位組だったので……。


 でも、レイラ姫とギルバートも違うグループだから、そこはセーフかな。

 それと、リーバイ子爵令嬢のオリビア嬢が私とグループが一緒なのは嬉しい。


「セレスティアナ嬢が一緒で心強いです。よろしくお願いしますね」

「ええ、私もオリビア嬢と一緒で嬉しいわ」


「何故一緒になれないのか……俺はセレスティアナのガーディアンなのに。

学院の教師、おかしいだろ」


「これは学院の授業ですし、教師が安全の為に実力で振り分けたので……仕方ないですよ」


 殿下は魔力の弱い人達のお守りでリーダーポジションだ。

 私は別グループになった事を不満気にするギルバートを宥めたりした。


 学院からライリーに戻って、私はギルバートにほっぺをなでなでされた。

 そんなに私のほっぺに触りたいなんて……、赤ちゃんのほっぺ並に魅惑的なのかしら?

 まあ、同じグループになれなかったイライラは鎮まったようでよかった。


 * *


 翌日


 素材狩りに洞窟へ出発。


 森の中に有る洞窟。

 そこまでは高価な転移魔法を封じ込めた移動用スクロールで行ったので一瞬だった。

 流石に貴族のお嬢様もいるのに森をいっぱい歩けとは言えないか。


 我々はぽっかり空いた洞窟の入り口前に集合していた。

 前衛には男性陣。


 奥は暗くて見えない。


「洞窟……怖いですね」


 オリビアがビビりながら私のマントの裾を掴んでいて可愛い。


「こういう洞窟って大抵コウモリの寝床ではないでしょうか」

「ええ!? やめて下さい、セレスティアナ嬢、怖いです!」


「わ──っ!!」


 急に上げられた教師の大きな声につられ、びっくりした女性達が悲鳴をあげた。


「「きゃ──っ!!」」


 すると、洞窟から一斉に沢山のコウモリが音に驚いたのか、飛び出して来た。


「「きゃあああああっ!!」」


 更なる女性達の絶叫が周囲に響く。


「えー、さっきのは、コウモリを追払う為の大声でした!」


 教師がしれっとした顔でそんな事を言う。

 こやつ、なかなかの食わせ者。


「先に言って下さいよ! 驚くでしょう!」


 半ギレの女性陣が抗議しているが、教師はまたもしれっと言い返す。


「あの悲鳴もコウモリを追い出すのに役に立つので」


「落ち着いて、オリビア嬢。あれはただのコウモリでしたよ」


 私は震えてるオリビア嬢に声をかけた。


「十分怖いのですけど! 何でセレスティアナ嬢は冷静なのですか?」

「何が来るか分かっていれば、ある程度は大丈夫です。

ですが急に飛び出て来たのが虫だったら、私でも悲鳴を上げていたでしょう」


「コウモリが平気で虫はダメなんですか?」

「虫みたいに感情の分かりにくいのは苦手ですね。

魔物と違うやつだと攻撃して良いのかも一瞬迷いますし」


「セレスティアナ! 大丈夫だったか?」

「ギルバート様、コウモリが上空を飛び去っただけなので大丈夫です」


 私を心配して、後方に来てくれたようだ。


「ギルバート様ぁ! とっても怖かったですわ!」


 何故か私を差し置いてレイラ王女がギルバートの腕にしがみついて来た。


「……レイラ殿下、貴方のグループはあちらです」


 ギルバートが離れた所にいるグループの方向を指さした。


「ギルバート様もこちらのグループではないではないですか」

「私はセレスティアナ嬢のガーディアンなので」

「狡いですわ」


「いや、別に狡くは……王命ですし」

「私と親しくした方が、演劇の役作りにもなると思いませんか?」


 レイラ王女はめげずに食い下がっている。なかなかのガッツだ。


「それは……本番で何とか致しますよ」

「レイラ王女殿下……」


 私は努めて冷静に声をかけた。


「な、何ですか? セレスティアナ嬢」

「戦闘を担当する人の腕は空けておいて下さい。手や腕を掴まないように」


「ひ、左腕ですわ、利き腕は空けています」

「腰の武器は片手剣では有りません」

「……」


 レイラ王女はあからさまにムッとした顔になった。

 おやおや? どうやらあのカメリアは友好の証では無かったようだ。

 まあ、せっかく貰ったのであれは返さないけど。


「レイラ姫、ここは」


 取り巻きも流石に姫を諌めるように声をかけた。


「わ、分かったわよ」


 微妙な感じになってしまったけれど、入り口で揉めてる場合では無い。

 我々はこれから実習で洞窟内に入る事になる。


「先頭としんがりには教師と騎士がおります。皆様、冷静に、洞窟内に入って下さい」


 教師が灯りを灯したワンドを手に前進した。


 指示に従い、我々も灯りを灯し、暗い洞窟内へと足を踏み出した。


学院の実習。素材狩りです。

GWなのでなんとなく深夜投稿してみました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本命がいたらモテとか邪魔でしかないのでギルバート殿下イライラしてるんだろうな~。 王女も婚約したばかりで他の女によろめくようなの録な者じゃないから…。そんなつもりがなくても自分にも相手にも悪…
[一言] レイラ王女が、ちょっと可哀そうかな、ストーカーみたいになって、同じようにギル様と楽しい食事したいだろうに、せっかくの学園生活、、ギル様ももっと優しく接してあげて下さい、13~15歳の女の子は…
[一言] モンスターの出る洞窟か〜 ちょっとおしおきしても良さそうなシチュエーションですね〜 マトモに情報収集してないからかもしくは他国の事だから姫さんの情弱ぶりが出てきてますね〜 本人は両想いであ…
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