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バドミントンと印刷機

作中は食欲の秋です。

「あれ? お嬢様、何故こちらの食堂でおやつを食べておられるのですか?

辺境伯と夫人は城におられないのですか?」


 食堂で騎士のナリオが声をかけて来た。


「お二人は今、お部屋デート中なの。

あちらも今、チョコパフェを運ばせたのだけど、私は邪魔にならないように、こちらでラナンとパフェを食べる事にしたの」


 そう。私は今、騎士や使用人が使う方の食堂に来てラナンとパフェデート中なのだ。


「そ、そうなのですか。ご両親を二人きりにする為にこちらへ。

お嬢様はお優しいのですね」


「たまにはお部屋デートも良いと思って」


 ふふふ。


「ところで、そのパフェと言う同じ物、我々騎士も食べられるのですか?」

「今日のおやつだから厨房に注文すれば1回は食べられるわ」

「ありがとうございます!」


 すぐさまオーダーに行くナリオ。

 いつの間にか食堂に来たローウェもオーダーに行った。


 男性騎士二人は隣のテーブルで、仲良くチョコパフェを食べ始めた。


「甘い! 美味い!」


 ナリオの語彙はシンプルだな。


「これは美味過ぎる。神の食べ物では無いだろうか?」


 ローウェは天啓を受けた人みたいな顔をしてそう語った。


「神が下さった植物に入っていたのだからそうなのでは?」

「はっ! 正しくそうだった! あの不思議植物!」

「アイスだけでも美味しいのにチョコレートまで入っている」


「ナリオよ、我々はまるで王族のような贅沢をしているのでは」

「そうかもしれないな。ところでローウェ。食べ終わるの早いな」

「美味し過ぎてあっと言う前に消え……食べてしまった」


 二人の騎士の感動っぷりを眺めつつ、私もラナンとチョコパフェを仲良く食べた。


「ラナンも美味しい? 今日は豪華にアイスとチョコの共演よ」

「はい。甘くて冷たくて、とても美味しいです」


 ラナンも花のように微笑んでそう言ってくれた。


 *


 本当にチョコレートが美味し過ぎた。


 両親も晩餐の時にチョコパフェの感想を聞いたけど、やはり美味しいと言ってくれた。

 しかし、美味しい物ばかり食べるとやっぱり気になる。

 カロリーが。


 そんな訳で、やっぱり保留していたバドミントンの道具を作る事にしようと思った。

 カロリーを消費する為に楽しく動きたい。

 できれば遊びながら。


 前世販売されているガットはほとんどの物がナイロンで出来ていた。

 昔は羊の腸を細くねじって糸状にしてガットを作っていたらしいのだけど、後に羊では生産も間に合わないこともあり、牛の腸が主流となったらしい。


 つまり牛か羊の腸を仕入れてガットを作って貰う。


 そしてラケットの長さは成人女性の腕の長さくらいでオーダー。

 およそ67か68cm位かな。


 それと羽根、シャトルの方はシャンパンの栓に鳥の羽根を刺したものを使っていたらしい。

 コルクのような物に羽根を刺して、コルクが何度も打たれてぼろぼろにならなように、布か何かで覆って固定して貰おうと思う。


 ラケットとシャトルを図に描いて遊具を作る工房に依頼をした。

 なんとか頑張って完成させて欲しい。


 *


 活版印刷の方もこういう意図で使うからこういう物が欲しいと計画書と図面を書いて職人に依頼をした。

 金属活字の材料として比較的簡単に鋳造できる金属が有れば良いのだけど。

 細かい所は創意工夫して頑張って欲しい。

 可能なかぎり相談には乗るから。



 *


 数日後。


 またも冬支度の事でお母様と打ち合わせとお茶の時間。

 バドミントンの道具を作る為、工房に依頼をした話などもしていたら……


「そのバドなんとかが出来上がるまでは、ダンスレッスンをすれば運動になるから、そうなさい」


 お母様は教育熱心でいらっしゃる……。


 お茶菓子として、ポテチにチョコをかけた、とても美味しいけどカロリーが凄そうな物を食べている時にそう言われた。

 確かに運動をした方がいいのは分かるのだけど。


「でもここには私の身長に合う子供がいませんし」


 城の使用人に同じ位の子供がいても、彼等に貴族のパーティー用のダンスレッスンは必要無いだろうし。


「騎士のアーノルド・グレンにティアと同じ年齢の騎士の子供がいます。

今度レザークが休みの日に交代で息子のセドリックと一緒に城に来るので彼とレッスンをするのですよ」


「何故グレン卿は子供と一緒に出勤を」

「あちらも息子のダンスの練習の為に相手が欲しいらしいのよ」


 逃げ道は無かった。

 ダンスレッスンって照れるんだよね。

 手は繋ぐし、顔や体も近いし。


 でも将来パーティーとかで恥をかかないようにという親心があるのは分かるので、

「分かりました。お母様」

 と、言う他なかった。


「そう、良かったわ。ところで、お人形のケープが編めましたよ」

「わあ! 可愛い! ありがとうございます!お母様!」


 紫色の毛糸で人形サイズのケープができていた。

 胸の前で紐で結べるように作られているから勝手にずり落ちないで良い。


「お人形のお洋服は出来たの?」

「バドミントンと印刷機の絵を描くのに忙しくて……まだ布を巻いています」

「忙しかったなら仕方ないわね」


「でも冬支度の燻製は私がやらなくても、料理人達がもうやり方を覚えてやってくれてますし、なんなら騎士も手伝ってくれてますから助かっています」


「なるほど。冬の暖炉前で燻製を一番、美味しく食べているのは騎士達ですものね」

「暖炉前でお酒を飲みがら、燻製を食べる男前って最高に絵になるんですよ。見てるだけで楽しいという」


 私はキリっとした顔で、そう言いきった。


「……ティア。あなた、好みが渋過ぎるのではない?」


 はい! 否定出来ないですーー!!

制作依頼品。


バドミントンと印刷機。


お人形のケープ(ゲット済み)


食べた物。

チョコパフェ。チョコかけポテチ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今日の更新、、何故に午前3時? ティア様の好み、、確かに渋いです、、でもそこが良い♡(◍•ᴗ•◍) [一言] で、殿下以外の男性とダ・ダンスですか、、また、虜になる方が増えますぞ!爺や…
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