表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神子候補生ですが、神友メグちゃんと一緒なら大丈夫。  作者: 黒いきつね
第1部 囚われの日常
6/22

神子展覧会 下界投下直前 マリティカの決断

お読みいただきありがとうございます。

『我は世がつくりし世界を導くものなり』

『我は世がつくりし世界を育むものなり』

『我は世がつくりし世界を見まもるなり』

『我は世がつくりし世界を儚むものなり』

『我は世がつくりし世界を憐れむものなり』

『我は世がつくりし世界を慈しむものなり』


神講堂内を沢山の神々が行き交う中で神の1柱が重低音で口上を述べているわ。


は─、私はマリティカ、青色のゆるゆるふわふわな長い髪が自慢の女神よ。


は─、もう違うか。今から下界投下されちゃうから、もう女神と名乗れないのね。


は─、天神界の生活楽しかったわ。名残惜しいわ。


は─、下界投下されたら、この楽しい記憶も全て消え去るのね。


は─、最後の自己紹介だから、しっかりしなきゃね。


髪の色と同じ青色のワンピ─スを着て、今は水晶岩(グラスポッド)の床に男性神の皆さんから、女神はこう座るべきと教わったペタンコ座りしてるわ。


勿論言われたとおりに両手を膝と膝の間に差し込んで座っているわ。


チャ─ムポイントは、優しいタレ目のお目目ちゃんと、水のように透明な手足。


手足は本当に透けて見えているわ。それは、神水で出来てるからそう見えるのよ。


凄いでしょ。羨ましいでしょ。いつでも神水飲み放題なんだからね。


皆からは『マリちゃん給水器』っていう最強称号までもらっちゃったわ。


私初めはこの神水の手足がない状態だったのよ。


お母さんが私を創造するときにドジして、四肢欠損で神界に生まれたの。普通ならすぐに治せるはすなのに、治すときにお母さんがドジして私の神体を形状記憶して、さらにドジして固定化までしたのよ。


当時はどんだけ失敗するのよって思って凄く切れたわ。


その後、有名な医神にみてもらったら、何故かこうなっちゃったわ。


医神からは、【神水創造】【神水精密操作】【神水硬化】の神能を賜って、今では手足以上に私にフィット、勿論大大大満足だわ。


背後ではお母さんが、医神から貰った神能請求書をみて、血の涙(ブラッドティア)を流していたわ。いい気味よ。


そんな私も、競売にかけられ、目出度く競り落とされましたわ。ちくしょ─。


偉そうな神様が私の搭乗している水晶岩(グラスポッド)の前に立って宣言をくどくど唱えてる。


この神が私を競売で競り落とした神様よね。この神が私の上位神(じょうし)になるのね。


見た目は髭を生やしたムキムキおじいちゃん。白い神衣がとっても似合ってるわ。


よろしくお願いしますと頭を下げたけど、ガチ無視されたわ。


は─、しょうがないわ。今は自神の唱える宣言に夢中で、私なんか眼中にないのよね。


『我は諸行無常の世のありて、混迷を極める世を憂うものなり』

『我は世界を支え導く新たな担い手を欲すものなり』


神の1柱が両手を振り上げて、口上を垂れているが周辺の神々は全く聞いていない。


は─、この重低音ボイス、凄くお腹に響くわ。強い神威を込めているのね。


(ぎゅるるるる~・・・きゅるっ)


お腹がブルブル震えてて、思わずお腹がなっちゃったわ。もう、恥ずかしいわ。


周りの神々に聞かれなかったかしら。お顔は赤くなってないかしら。


マリティカは両手で顔を覆い隠しながら、辺りをキョロキョロと見渡した。


視線の先には、神々達は皆ニヤニヤしながらマリティカを見つめ、彼女神(マリティカ)に聞こえないように小声で何やら言い争っている。


そこへ1柱の神が仲裁して、彼らの意見を神紙に書き連ねている。


神々は神紙に書き綴っている神に、お銭札(おさつ)をどんどん渡していっていた。


大変込み合っていて、白熱した神々の修羅場のような状景が、マリティカの目に映る。


どうやら、マリティカで賭け事をしているようだ。


マリティカも、周囲の様子から何をしているのか、ピンっときて謎はすべて解けた。


あっそう、ほ─んと、神々ってごみだわ。私を競売にかけておいて、さらに賭け事の対象にするの。


へ─、もうみんな、屑神(くずがみ)塵神(ちりがみ)滓神(かすがみ)ね。サイテ─だわ。


『新たな担い手よ。我が世界にきたりて、我が神命を成せ』


神の1柱は、周りの神々から全く注目されていないのに憤慨して、より大きな声と動作を付けて観衆の目を引こうとするが、

周りは賭け事に夢中になり、神の1柱の孤独のお声はすぐに空間に掻き消えていった。


『星を導きあまねく空や海や大地に命の聖炎を』


『あまねく大地に鳴り止まね調和の鐘音を』


『生きとし生きるものに世を奉る信仰の聖印を』


神の1柱の口上は、尻つぼみに小さくなっていき、少し声が震えている。


マリティカは、神の1柱の瞳がうっすら滲んでいるのを見て、気づいた。


神の1柱のムキムキおじいちゃん、端折って、ムキ爺は、泣いてるわ。


誰も聞いてくれないから、悲しくて泣いてるんだわ。ムキ爺可哀想。


上位神(じょうし)のムキ爺が困ってるなら、私がムキ爺を助けないでどうするのよ。


そうよ。ちゃんと話を聞いてあげなきゃ。そうだわ。まずは聞く姿勢よ。


マリティカは女の子座りをやめ、美しく座り直す。


そう、正座で姿勢を正しい所作をとって座る。


たしか座るときのこつ(ポイント)は、神骨盤をきっちり立てるように意識して(かかと)(かかと)をしっかりくっつけて、揃えた(かかと)に私のサラサラお尻ちゃんを載せて座るの。


しっかり座ると、神腰への負担も少ないので神腰痛持ちの神々にもおすすめできる、理想的な座り方になるって教わったような。


私のお胸様も強調されて、慎ましいお胸様もしっかり主張できて喜んでいるわ。


お胸様も私もムキ爺のお話しっかり聞くねと微かに弾んだような感覚がちょこっとした。


あとは、両手を太ももの上にそっとおいて、タレ目のお目目ちゃんの標準をムキ爺に合わせる(ロックオン)


しばらくお目目を合わせてると(ロックオン待機中)ムキ爺(ニパッと笑顔になった)私に気づいてくれた(私の心が着弾した)


マリティカのタレ目とムキ爺のムキ目がつながった(リンクした)


おっと、声の調子が戻ったみたいだよ。良かった、良かった。


落ち込んでいた肩が直って凄いムキムキが際立ってきたわ。


やっぱり神様は自信を持って(たたず)んでたほうがかっこいいわ。


2柱の神はお互いの(わだかま)りがすっかり解消され、恋人のようにじ─っっと凝視している。


もう2柱の神は、タレ目とムキ目が繋がったの(ガッチンコ)で、思念波でお互いの思いを語り合う。


─はじめまして、私はマリティカって言います。


─ムキ爺、よろしくです。不束者ですが、頑張ります。


-お─よいよい。こんな儂の話を真剣に聞いてくれてありがとな。

─儂はコバルトリス─リュオ─ラじゃ。コバちゃんでもムキ爺でも好きな呼び名で呼んでよいぞ。


─じゃあ、コバ爺って呼んでいいですか。


─よいよい。


─お主のことはマリちゃんと呼んでも良いかの─。


─みんなからもマリちゃんって呼ばれてるからその方がうれしいわ。


その言葉を聞き、コバルトリスは、この上がないぐらいに嬉しかった。


2柱のいる思考世界が桃色に染まった。蝶蝶がひらひら舞っている。


木々がどんどん生まれ育ち森となり、木々が桜の花を咲かせ、揺らめいている。


これは2柱それぞれの心の状態が反映された現象である。


コバルトリスの創造した世界では、彼神は、孤独であった。


他の神も創造したが、ウザイ、臭い、うるさいと煙たがられ、彼神と話をしてくれる神はその世界にいなかった。


話す相手がいないなら、創造すればいいと考える者もいるだろうが、彼神は、それをして散々失敗した。ぐれて魔神と化した神もいた。


だが、コバルトリスは、諦めない。


次に自神で検討し実行したのが、天神界に来ることだった。


自神が統治する世界に閉じこもっていては、他の世界の神々と交流できない。


交流できなければ、神友はつくれないから、是非とも行きたい。


本当に行きたいなら、理由を作れば良い。


幸いと言うか、コバルトリスの統治する世界も使える神子が圧倒的に少なかった。


そこで、神能の強い神子を獲得したいと自世界の神々に対し粘り(お願い。)強く(許して。)説得し(勘弁して。)全ての(誠心誠意)神々の了承(本気の土下座で説得)得ること(神々全員分の)がなんとか叶い(お土産購入絶対厳守)


ようやく天神界の大地に足をのせることができた。


天神界の圧倒的な神風景にただただ圧倒され──


様々な場所に趣いては、神友を作るために励んだか何故か空回り──


出会った神々からは、田舎者は邪魔だとばかりに冷たく突き放され──


風の噂で、天神界史上最高神能を持つ神子が競売にかけられると聞き──


それならばと目的神子が出品される競売会場の水晶神殿に空間転移──


お目当ての神子の予想落札銭額を聞き──


とても手の届く銭額(きんがく)ではなかったので泣く泣く諦め──


なんとか予算銭額ギリギリ(おさいぶギリギリ)の神子を落札したが──


本来の目的である自神と仲良くしてくれる神友が欲しいという願いは叶えられていない。


コバルトリスは、己が目立てば、神々の目にとまり、どこかの派閥に入れるかもしれないと大袈裟な口上を述べて神威を撒き散らかしてみたが、誰も自神に関心を示してもらえない。


また失敗したと肩を落とし諦めかけたところ、目の前に天使の微笑み(にっこりさん)を浮かべた──水の女神(マリティカ)がいた。


姿勢よく正座をしてコバルトリスを笑顔で見つめている。


彼神の心は打ち砕かれた(ハ─トブレイク)。痛い。凄くジンジンして痛い。熱い。心が熱い。


心が繋がった(ガッチンコ)。彼女神の心の不安と安心と憐憫と自愛と感謝の心が交じり合う。


─マリちゃん、いろいろ大変だったみたいだの。


─そうよ。聞いてよ、コバ爺。すっごい言いたいこと沢山あるのよ。

─でも、時間ないわね。せっかく仲良くなれそうだったのに。


─もっと前にコバ爺に合いたかったな。


─ここの時間は、儂とマリちゃんが管理しておる。


─2柱が望めば、どれだけでも話し合えるぞ。


─本当。嬉しい。いっぱい、たくさん、山ほど聞いてもらうから覚悟してほしいわ。


─その前に立って話すのも、味気ない。ちょっと待っておるのじゃ。


2柱の前にお洒落な丸机と椅子が2柱分現れ、その周囲は桜の庭園と変化した。


鹿や角馬の集団が創造され、彼らは庭園の中でゆったり歩き寛いでいる。


小川も創造され、なんとも、(みやび)な空間が出来上がった。


─ほれ、ここに腰掛けて座って話せば、よいじゃろ。


─コバ爺凄い。かっこいい。素敵だわ。


こうして2柱による話し合い(お見合い)は始まった。


この空間内では、お互いの心の揺れ動きが空間に現れる。


マリちゃんとコバ爺の話し合いは盛り上がり、マリちゃんのここに至るまでの出来事──これまでのあった出来事──負けじとコバ爺も自分の生い立ちから、世界の創造の話──


その中であった楽しい話、大変な話など、ありとあらゆるお話しを仕合い──


お互いのエピソ─ドに感動し──笑い──悲しみ──楽しみ──怒り──時間が自分達で操作できるので、時間を忘れて、大いに盛り上がった。


空間には大きな巨大樹がそびえ立ち、様々な妖精が楽しそうに飛び回っている。


天空には、空高く浮島がいくつも浮かびあがっている。


多くの浮島からは滝の水が地上に向かって真っ逆さまに落ちていた。


滝の水は、高所から落ているため、地上部に到達するころには、水の霧となり、辺り一帯を淡い陽の光をあたった霧の薄雲が満たしていく。


幻想的な風景が作られていく中で、コバ爺の呼び名がコバちゃんに格上げされた(バ─ジョンアップ)


コバちゃんは、自神が待ち望んだ神友が出来たと喜んだが、今は、【転神の儀】の真っ最中だったと譜と我に返る。


マリちゃんは、自神が欲しくてたまらない神友、もしかしたら自神の伴侶になってくれるかもと、ちょっと甘い期待を持った女神。


思いっきり吊り橋効果なのだが、二人の波長は合っている。


ダメ元でコバちゃんは、自神の心の底からグイグイと組み上がってくる熱い思いを伝える。


─マリちゃん、よかったら、神子じゃなくて、儂と神友になって、一緒に儂が統治する世界を一緒に見守ってもらえんじゃろうか。


─コバちゃん。ありがとう。凄い嬉しいわ。こんなに嬉しいの生まれて初めて、私もコバちゃんと一緒にいられたら本当に嬉しいわ。


─でも、コバちゃんは、その世界の創造神で、最高神。


─みんなの模範になるべき頂点の神様だよ。


─だから、他の神様の約束も破っちゃ駄目よ。


─その事で、コバちゃんの世界にき裂や争いごとが起こって欲しくないし・・・・。


─それに私、コバちゃんが精魂込めて大切に見守っている世界を、一度私の目と体と足、全てで感じてみたいの。


─私は、コバちゃんと話をして、この神様だったら、自神の全てを捧げてもいいと思ったわ。


─私は競売にかけられて、本当に嫌な気持ちになったけど、今は嬉しいわ。


─こんな素敵な神様に出会わせてくれて、運命の神様にお礼を言いたいわ。


─コバちゃんの今の楽しい出会いの記憶も転神したら、忘れると思うと怖いけど、私はコバちゃんを信じてるから、また生まれ変わった私を導いてください。


コバちゃんはまた心を打ち砕かれた(ハ─トブレイク)


──苦しい。


──痛い。


──感じたこともない心の痛み──痛い──熱く痛い。


否、あったかもしれないが、遠い遠い昔のこと。


もうすでに、砂で出来た城のように脆く崩れ去っていた。


泣きたい──大声で叫びたい──絶叫したい。


──無理じゃ。儂はマリちゃんの言う通り、儂は世の世界の創造神じゃ──


創造神としての矜持(きょうじ)がある。重責を担う神としてお役目を果たすべきじゃ。


世界を統治するには責任が伴う。これまでのように心を無神にして、儂はマリちゃんの思いを受け止めるのじゃ。


それからのコバちゃんはマリちゃんのお父さんのように相談にのり、転神時の注意点を事細かく説明する。


もしかしたら、転神が上手くいかず、少し記憶が残るかもしれん。


その場合の対処法など、ありとあらゆる場合に備えた対処法を教えた。


マリちゃんも真剣に聞き、わからない事柄、難しい事柄を積極的に吸収していった。


転神が成功したら全く記憶が残らないにも関わらず、2柱は今の時を大切に過ごしていく。


2柱は名残惜しいが、また会える。きっとまた仲良くなれる。そう、約束した。


そして、2柱は共に手を携えてコバちゃんが創造した世界を見守っていくと誓い合った。


2柱の交わった脳裏世界内のお話し合いは涙と共に終わりを告げた。


そして舞台は現実世界に場を移していく。


『我が使徒となり永遠にわたりて共に星の行く末を見守らん』


神鎖神隷聖印(セイント・チェイン)


御力の篭ったお言葉と光の鎖がマリティカの神体を包み込む。


光が晴れると、マリティカの神体には、赤い鎖の模様が全身に刻まれた。


これでマリティカは、未来永劫に渡る契約を結んだことになった。


後は新しく地上人として生まれ変わり、世界を見守り続けるだけだ。


その刻印を施したコバちゃんは、涙が水が滴り落ちるように泣いていた。


お顔は威厳に満ちているのが、無性に不釣り合いな印象に感じる。


だが、本神は全く気にしていない。むしろ誇らしい。


自神の新たな逞しい神子の誕生を祝う晴れの舞台。


この涙は、それに相応しいとコバじいは考えていた。


─コバちゃん。ありがとう。


─マリちゃん。頑張るのじゃぞ。


2柱の思念波長は、ぴったり重なり合う。


そこへ、賭け事を取り仕切っていた1柱の神がマリティカに話しかける。


「大変素晴らしい絆が感じられる2柱の神に、我々から謹んでお慶び申し上げます」

「つきなしては、マリティカさんに最後のお言葉を賜りたいのですが宜しいでしょうか」


神々はマリティカの今生の言葉で、賭け事をしていたようだ。


最後にどういう負け惜しみの言葉を吐くかでかけていたのだ。


普通なら怒りに震えるところだが、マリティカは違った。


マリティカも言いたい言葉があった。この世界に対して。


1柱の神はマリティカを見つめている。答えを聞きたいようだ。


マリティカは1度頷き、ゆっくり立ち上がり、辺りを見渡した。


正座で付いたワンピ─スのシワを手で払い、両手をお腹の前で組み、大きく息をすう。


そして、マリティカの思いを、この場にいる全ての神々に伝えるために口を開く。


「ありがとう。嫌なこともたくさんあったけど、ありがとう」


言葉を紡ぎ、頭を下げる。


「ありがとう。皆、いつもたのしかったね──ありがとう」


「ありがとう。お母さん色々わがまま聞いてくれて──ありがとう」


「ありがとう。運命の女神様、こんな素敵な出会いを──ありがとう」


「ありがとう。皆に祝福を──天神界の神々に祝福を──天神界に祝福を」


糸を紡ぐように言葉を紡ぎ、何度も頭を下げた。


「それから、コバちゃん──これから宜しくね」


そして、コバちゃんに向かって今生の最後の笑顔(にっこりさん)


あたり一面にハズレ券が大雪が吹雪くように吹き荒れる。


2柱には、それが祝福の紙吹雪に思えた。


コバちゃんは涙が滴り落ちるのも構わず、マリティカの今生の姿を目に焼き付けた。


『輪廻転生』


コバちゃんは最後の別れの言葉を紡いだ。


すると、マリティカの床面が暗黒に染まり、マリティカは、暗黒の底に落ちていった。


マリティカは、恐怖で神体が怖がってブルブル震えている。


叫びたい気持ちを懸命に抑え、落下の恐怖にも耐える。目はとてもじゃないが開けていられない。


目をギュ─ッと瞑る。両手は抱き抱える。神体は小さく丸める。


落下はしばらく続いた。徐々に神体の感覚がなくなってきた。


何だか神体が溶けてしまったような気がした。


だが、凄い速度で下に落下しているような体感がある。


突如、目を瞑っているのにも関わらず、光が目を焼くような強烈な光が目に飛び込んできた。


「いった─い」


眩しくて目に強烈な激痛が襲う。


思わず声が漏れてしまった。


強烈な激痛で涙がと目止めなく流れ落ち、目を何回も瞬かせる。


すると、自神が、白い部屋の空間に浮かんでいるのが、分かってきた。


え──、聞いてたのと全然違うよ。


コバちゃん助けて──。


不思議に思い神体中を見ると赤鎖の刻印が全て消えていた。


そんな──、コバちゃんとの絆が掻き消えちゃったんですけど、そんな軽い絆だったの。


うっそ───ん


輪廻転生したら、神体が崩れ落ちて、魂が暗黒海の渦に飲み込まれるって言われたのに・・・


「ここはどこなのよ──責任者出て来て~」


「説明してよー」


思わず声に出して叫んでしまった。室内は、なんの反応もなく、何も変化はなかった。


取り敢えず、空間に浮かんでいるのは、どうにかしたいわ。


どうにかして降りられないかしら。


思考を読まれたのか、空間に浮かんでいたのが、徐々に解除され、ゆっくりと床面に降り立つことができた。


「あ〜テステス只今マイクのテスト中」

「皆さん、長らくお疲れでした。ある程度目処がつくまで、そのまま眠って寛いでいなさい」

「以上、更新終わり」


綺麗な澄んだお声が室内に響き渡った。


あれっ──凄く聞いたことのある声が、聞こえたんですけど、どういうことなのよ。


私のさっきまで、熱い昼ドラのようなやり取りをしたのに、どうしてこうなるの。


今後どうやって収拾をはかればいいのよ。


もしかして、ず─っと聞いていたんじゃ。くっころだわ。


もしかして、輪廻転生しなくても良いんですか。


どうせ私の思考を隠れて読みながら、お得意のうすら笑みでも浮かべてるんでしょ。


聞いてたらさっさと答えてください。


メグフェリ─ゼ様──

----------メモ設定 参考資料------------


転神の儀 


下級神人を神子として下界転属永久隷属させる神の儀式。今回の儀式内容はコバちゃん専用方式です。他の神等は、こんな時間をかけません。コバちゃんは、目立ちたかったので、このような仰々しい儀式方法を選んだようです。


【転神】


神等が作った下界投下をさした略語

他には下人化(げじんか)猿人化(えんじんか)・下転という呼び名の略語もある。


絶対貰える素敵な特典。


・神界追放(雇い主の創造神から認められれば神界に戻ることができる)

・神界の記憶、転神時強制消去。

・御力神力も含めあらゆる能力に上限がつく。

・何度も輪廻転生を繰り返すと【器】摩耗する。

(器が摩耗すると御力暴発しやすくなる)

(神界で器が壊れた神子は、輪廻転生して生まれた瞬間御力暴発がおこる)

・不老不死スキル 強制消去。(神子 再取得不可能)

・寿命があり、神体ではなくなるので病気でなくなること有り。

・死亡で担当世界での輪廻転生強制ループ

  (前世記憶強制消去、能力転神時初期データ上書き)

・その世界の創造神の小間使い。

・貴神等に娯楽を提供しつづける舞台奏者。

・何回も輪廻転生し器が摩耗した神子は、永久の闇に捨てられて消滅する


【神水創造】


神水を創造する神能。


【神水精密操作】


神水をかなり細かく操作できる神能。


【神水硬化】


神水を固くさせる神能。


屑神(くずがみ)


毎年年末に開催される『お尻を拭くのはかみで笑』という神番組で天神界の神々の中でたった1柱に贈られる栄光ある神の称号(笑)


塵神(ちりがみ)


毎年年末に開催される『お尻を拭くのはかみで笑』という神番組で天神界の神々の中でたった1柱に贈られる栄光ある神の称号(笑)



滓神(かすがみ)


毎年年末に開催される『お尻を拭くのはかみで笑』という神番組で天神界の神々の中でたった1柱に贈られる栄光ある神の称号(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ