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神子候補生ですが、神友メグちゃんと一緒なら大丈夫。  作者: 黒いきつね
第1部 囚われの日常
5/22

神子展覧会 最終商品説明会 準備

お読みいただきありがとうございます。

 神講堂前に集まった作業神等の話し声が聞こえる。


「こりゃ─天神界史上最高落札銭額が拝めるかもな」


「いや─、どうなるのか、楽しみだな」


「この仕事引き受けておいて、なんなんだが、上手く行く訳ね─だろ」


「いや、わかんね─ぞ、こんな辺鄙な場所で開催するんだ」


「最高神様の御力も届かないかもしれないだろ」


「無理無理。お前、最高神様を舐めすぎだ。天罰くだるぞ」


「俺らが計画どうりすれば、上手くいくって」


「無事終わったら、朝まで祝勝会だな。楽しみだぜ」


 神講堂(ゴットホ─ル)では、作業神達が本日最終商品説明会(メインイベント)の準備におわれながらも集団で集まり旬の話題に花を咲かせていた。


 シャルは【神能の儀】の継承神をきめる競売がいつもどうり行われて、自神は今回の展示会でも下界投下は、免れるだろうと思い巡らせていた。


 だが作業神達は、今回の儀式でシャルが下界に落ちると事前に()()()()()()()


 シャルには、知らされていない。


 まあシャルは薄々気づいてはいたが、どうせ神友メグちゃんが、助けてくれるだろうと高を括り、自神は脳裏世界のシャルちゃん大映画場で、以前みんなと遊んだ『カゴの中のお姫様ごっこ』の記憶上映を500柱の幼いシャルリアと一緒にしゃべりながら楽しく鑑賞している。


 ─ここ、やっぱり最高だね。


 ─メグちゃんの熱いキス見ただけでとろけちゃった。もうふにゃふにゃだよ。


 ─あのキスの仕方は反則だよね。


 ─いっつも、記憶なくなるもん。


 ─あっもう少しでお母さんがやられるよ。こりゃレアってるね。


 ─や─い。メグちゃんにやられて悔しそう。


 ─この場面何度見てもす─っとするよね。


 ─今度はメグちゃんの必殺炸裂キスに負けないようにみんな、じっくり見ましょ。


 ─ちゃんと研究するのよ。


 ─このまま、負けっぱなしは、嫌だもん。


 ─今度は、メグちゃんをギャフンって言わせようね。


 ─((そうだ、ギャフンって言わせよ─))


 ─今度は甘える感じで行こうね。


 ─メグちゃんの濃厚キスに対抗する協議会略して『のっかい』開廷!!


 ─(((わ─い)))


 ─((がんばろ─))


 ─やるぞ─ちゅるちゅるちゅる


 ─私はちゅっちゅっの練習するね。


 ─私は甘える仕草の勉強をするね。


 ─私はメグちゃんに習ったお舌の使い方を極めるね。


 ─どうせなら、必殺技みたいに名前つけない。


 ─いいね。それ、それでは、皆さん挙手をしてお答えください。


 ─はい、可愛らしくシャルちゃんキッスがいいです。


 ─はい、シャルちゃんチュッチュは、どうですか。


 ─はい、快楽促進粘液混入キッスはどろどろしてよくないですか。


 ─はい、シャルちゃんプリティ─キッス。


 ─はい、きゃぴってチュッ。短いけどきゃぴきゃぴしてるよ。


 ─はい、ぺったんこKISS。やっぱべったんは外せないよ。


 ─はい、シャルちゃんぷるぷるKISS。


 ─はい、シャルちゃんレロレロKISS。


 ─はい、シャルちゃんエロエロKISS。


 ─はい、シャルちゃんクチャピチャKISS。


 ─はい、シャルちゃんクチュクチュKISS。


 ─はい、シャルちゃんムチャクチャKISS。


 ─はい、シャルちゃんメチャクチャKISS。


 ─はい、シャルちゃんビチャビチャKISS。


 ─はい、シャルちゃんピチャピチャKISS。


 ─はい、シャルちゃん爽やかKISS。


 ─はい、ピンクファイヤ─KISS。


 ─はい、メグちゃん大好きKISS。


 ─はい、愛のがっちんこキッス。


 ─はい、シャルちゃんフェアリ─キッス。


 ─はい、プリティ─レインボ─キッス。


 ─はい、シャルちゃん純愛キッス。


 ─はい、スパイラルタイフ─ンキッス。


 ─はい、メグちゃんにメロメロよキッス。


 ─はい、シャルちゃんちゅるちゅるキッス。


 ─はい、恋の予感よキッス。


 ─はい、シャルちゃんバラ色キッス。


 ─はい、メグちゃんと一緒に甘いキス。


 ─他にはありませんか─


 ─思ったより少ないですね。


 ─少し時間をとりましょうか。


 ─意見が纏まってから、もう一度検討しますね。


 ─では、次にお隣の子とキスの練習しましょ。


 ─さぁみんな、準備は出来たかな─


 ─((は─い))


 ─今回は、甘えるようにやさしくしましょうね。


 ─((は─い))


 ─それでは皆さん、Let's study lovely kiss time.


 シャルの脳裏世界では、なにやらピンクの香りがふわふわと、漂ってきている。


『のっかい』に参加せずに、今から始まる世紀の場面の中のメグちゃんの熱い抱擁を、神眼を皿にして凝視しようとしている幼いシャル達もいて、この世界は何かやばい気がしないでもない。


 幼いシャル達はみんなそれぞれの立場で真剣に記憶上映を見つめていた。


 記憶上映は素晴らしい出来で、みんなで批評し合ってその場は熱く燃え上がっていた。


 勿論、悪者役はお母さんが鉄板で、メグちゃんにアツアツに焼かれた。


 お姫様がシャルで、王子様がメグちゃんで、只今最終局面(クライマックス)が上映されている。


 作業神達の期待と不安を余所にして、シャルは、自分自神の世界に閉じこもっていた。


 作業神等の話し声はまだ、なりやんでいない。


 周囲の眼を気にしていないのか、声がこちらの方まで流れてきた。


「この計画が完遂したら、やっと帰れるんだよな」


「そうだな。長かったな。神霊界の奴らの慌てふためく面を早く拝みたいぜ」


「絶対にこの計画を成功させようぜ」


「最後の最後まで、気を抜かずに頑張ろうぜ」


 その後、作業神達は最終商品(シャルリア)の話題で花を咲かせながら、着々と舞台を整えていった。


 その向こうの広場をさらに奥にすすむと、簡易な灰色の神合成樹脂で(おお)(かぶ)された屋根がみえ、


 壁面が無く周りの景色がすっきり見えるよう、4本の細い神金属の支柱だけが屋根を支えた、待合室を兼ねた神具テントが設置してある。


 神具テントの傍では、この展覧会を統括している神霊─『セント=シャルディリア─ス』が、次の出番を待つ時によくみられる、緊張を垣間見える硬い表情と、その緊張を解きほぐそうとする、立ち振る舞いを見せながら、立ち竦んでいた。


 通称ディス、又はお母さんと呼ばれているが、ここでは敢えてディスが、その名称で呼ばれると頬を緩ませて喜び、大層機嫌が良くなる呼び名『神霊様』と言う名称で示すこととする。


 神霊様の御姿は、長身で非常に肉付きの良い体型をし、膝まで真直ぐに流れ落ちている長い銀髪を風にゆらめかせ──


 優美で緩やかな衣装全体に、神糸で結われた格子状の刺繍が施された神体の肌が、露骨に見える神衣装を何枚も重ね着して──


 装飾品は、女神の両腕には気合の入った神腕輪が3重につけられ──


 全ての指には大きな神晶石がついた神指輪がはめられ──


 重たくゴテゴテした神イヤリングが揺れていて──


 長い銀髪に合わせた長さの透けたケ─プのついたゴ─ジャスなティアラがピカピカひかり──


 そして、なんといっても、()()()()()()()()()()()()()を、全て自然に着飾り自然に着こなしていた。


 御尊顔は、今のまだ幼さが残るシャルリアの風貌をかなり大人びた感じに成長させ、より妖艶な色気をつければ、神霊様の御顔とまったくそっくりの瓜二つに映る。


 瞳のお色もシャルリアと同じく藍色の瞳だが、目元は切れ長になり、その目線で見つめられた男性神は、神体を大きく仰け反らせることだろう。


 今この場にいる神霊様は、お化粧もばっちり決めているので、さらに妖艶さと色気に磨きが掛かっていた。


 神霊様は普段の性格がとても残念なのだが、今日の神霊様は、いつもと一味違い落ち着ちついた、どことなく冷たい雰囲気を漂わせている。


 だが、そんな些細なことなど今はどうでもいいと、この場にいるほとんどの男性神等は、きっとそう言うだろう。


 男性神等が彼女神の御姿のを見る際に、まず最初に視線が向かう先は、なんといっても、()()()()()()()()()の下にある神衣装がはち切れんばかりの大爆乳だからである。


 さすが女神である。全く垂れ下がっていない。


 神霊様のあの部分だけ天神界の重力が仕事を放棄しているかのように見える。


 2つの山脈は容易に男性神の御顔を丸ごと飲み込んでしまいそうだ。


 神霊様を遠くから見守る作業神等の神眼は、全て彼女神の御胸様を凝視して全く離れる様子が見られない。


 神霊様が、動くと弾力をもって弾む御胸様を凝視している作業神等は、皆鼻の下をだらしなく伸ばし、股間に両手を添えて、しゃがみ込もうとしている。


 作業神だけでは無い。


 大勢の貴神等が神霊様の周囲一面を取り囲むように覆い尽くしていた。


「お─、なんという爆乳じゃ、まさに大爆乳神じゃわい」


「は─、御銭払ったら揉ませてくれるかな」


「俺は御銭払って顔を爆乳で包んで欲しいな」


「天神界の()()()()()()()()を飾るに相応しい御胸様だのう」


「あのネックレスさえ持っていなきゃ、間違いなく俺の嫁さん候補なんだけどな─」


「いつも映像で見るポロリを是非、間近で観戦したくなってよ─」


「わざわざ、こんな辺境地まで来てしまったぜ─」


 貴神等は、それぞれに神霊様のお姿を拝見し、まわりの神等と話しを咲かせ盛り上がっていた。


 貴神等の注目を一身に背負った神霊様は、聴衆の神眼に淡く(はかな)く映り込むように、それでいて(りん)として佇んだ御姿にも見えるように、自身の明暗・色彩・輝度(コントラスト)を背後の後光さんと長時間入念に調整していた。


 しみじみとした声色が大空に溶け込みはじめた。


「もう少しでこの雑用から開放されるのですね」

「長かったようで、少し懐かしい気がします」


 溶け込んでいく声色は、別れゆくように(はかな)く消えてなくなった。


 感慨深い感傷にとらわれて、思わず空を仰ぎ見た。


 空では、無数の神鳥が優雅に羽ばたいていた。


(今日で全てを終わらせましょう)


 神鳥に想いをはせ、自身も天高く羽ばたいていくのを仰ぎ見ると、神霊様はそっと誓った。


 後ろでは変わらず後光が神霊様が神々しく見えるように輝かせていた。


 神霊様は、自身の透明度が気になっていたのを思いだしたようで、しきりに消えたり、薄く見えるように一生懸命作業に没頭していく。


 神霊様は少しでも自神が神々しく(こうごうしく)見えるように姿勢を正す。


 ピカッ(綺麗だよピカッ)


 かかと・お尻・後頭部を押しつけるように立つ。


 ピカッ(お姉ちゃん)ピカッ(綺麗だよピカッ)


 足のかかとを揃えてつま先は少し開いた。 


 ピカッ(お姉ちゃん)ピカッ(素敵だよピカッ)ピッカン☆.。(煌めいてるピカッ)


 足の裏全体で体重を支えるイメ─ジを持つようにし、あごを引いてまっすぐ前を見つめ柔らかに微笑む(神面スマイル)


 ピカッ(お姉ちゃん)ピカッ(最高だよピカッ)ピッカン☆.。(素敵だよピカッ)


 右手の上に左手を載せ、体の前で組む。


 ピカッ(お姉ちゃん)ピカッ(神様みたいピカッ)ピッカン☆.。(バッチグ─ピカッ)


 完璧姿勢(ゴットポ─ジング)になった神霊様の後光(シンサイン)立ち振る舞い合格(ピッカ。リン、リン。)(サイン)を放つ。


 ピカッ(お姉ちゃん)ピカッ(うっとりするピカッ)ピッカン☆.。(ばっちりピカッ)


(もう完璧です。これで、天神界中の神々は、私の美貌に平伏すことでしょう)


(今日は、貴女神にとって最後の天神界の日になりますよ)

(貴女神に幸あらんことを祈りましょう)


 神霊様は、今日も()()()()()()()()()()()()()()()()を自然に見えるように身につけて、脳裏でシャルリアに(はなむけ)のお言葉を贈っていた。


 作業を終えた作業神達は上空の神晶石(グランダイト)群に吸い込まれていく。





 ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★




 水晶神宮殿(クリスタルパレス)の上空では神鏡球(ミラ─ビット)の連隊が自由に大空を駆け巡っている。


 連隊は15機が1チ─ムとなり、計3チ─ムが大空で、様々な状態に即した訓練飛行を行っている。


 大空にを飛び交っている全ての神鏡球(ミラ─ビット)は、『天神日輪放送(サ─クル放送)』が所有する撮影用神機だ。


 神鏡球(ミラ─ビット)は、当初軍事用偵察神兵器として開発されたが、現在では、天神法の改正によって民生放送用として使用すること可能になった。


 性能は軍事用として作られただけあって、重力制御ユニット搭載、高速移動ユニット搭載、短距離転移ユニット搭載、神障壁ユニット搭載、神速映像転送ユニット搭載、軽く性能を列挙しただけでも、かなりの高スペックの機体だということがわかる。


 撮影した映像は、神速の勢いで編集加工され、神々のお茶の間に流される。


天神日輪放送(サ─クル放送)』は、独占単独放映権を勝ち取り、自社の最新型神鏡球(ミラ─ビット)を46機を惜しげもなく投入してきた。


 現場監督神『サ─ク=ゼノバランス』は現場でこのあと始まる本日最終商品説明会メインイベントの準備におわれていた。


 彼の風貌は、金色無精ひげを生やし、ボサボサのそれ程長くない金髪に、茶色肌の厳つい雰囲気のおじさんという印象で、眉間に皺がいつも寄っているかのように深く刻まれ、強さを感じさせる表情でしていた。


 体格もかなり大柄で、軍神と言われても、誰もが信じられる神体をしている。


 気合のはいった声がゼノバランスの搭乗している神鏡球(ミラ─ビット)内で反響してうるさい。


「ノスタ─ル、本日最終商品説明会でシャルリアが神子として競売にかけらる情報の真偽はつかめたのか」


 ゼノバランスは自神が搭乗している神鏡球(ミラ─ビット)から、巨大水晶岩(グラス・ポッド)を撮影しながら、返答をまっている。


 神鏡球(ミラ─ビット)内では、反響音が鳴り響き始まる。


「作業神にも確認を取りましたが、本当らしいです。こりゃ、天神界中大騒ぎになりますよ」


「総監督にも取材攻勢かけたんですが、ノ─コメントだそうですよ」


 ノスタ─ルから、報告を聞いたゼノバランスは、何やらきな臭くなりそうな空気を感じ取る。


「ジャスタ─。何やら面白い映像が取れそうだぞ」


「お前は第1連隊を指揮してお姫様をしっかり撮ってやれ」


「サンディ。お前は第2連隊を指揮して、水晶神殿内を全てかば─しろ」


「ハ─ティア。第3連隊を指揮して、緊急事態に備えて上空待機だ」


「了解」「了解」「了解」


 指示は出したが、まだ何か抜けてる事はないかと、頭を捻る。


「アルフジャイラ様、聖神霊教会からのコメントはどうなりましたか」


 聖神霊協会はシャルリアの後ろ盾であり、教皇神の愛子だ。下部が反乱でも起こすのか。


「ゼノバランス。お前の詠みは結構いい線いってるみたいよ」


「聖神霊会天神界本部は寝耳に水で非道い騒ぎになってるわ」


「教皇神みずから、そちらに向かうそうよ」


「こっちで教皇神追いかけるから、着いたらそちらの指揮に入れてあげてね」


「了解」


 おいおい。こりゃ荒れるぞ。神戦闘行為でもおこるんじゃね─か。


 ゼノバランスは天を仰いだ。


「皆、聞いたか。今俺たちは特等席に陣取ってるんだ。しっかり準備しとけ」


「死んでもすぐ、生き返んだ。泣き言言わず最後まで取り続けろ」


「「「「「「了解」」」」」」



 ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★



 売れ残った大勢の神子候補生達は、九死に一生を得て気が緩み安堵していた。


 神講堂《ゴットホ─ル》内の夥しい数の水晶の中から、


 彼らは本日最終商品説明会(メインイベント)を茫然自失の状態でぼんやりと眺めていた。


 ただ、全員が放心状態ではなく中には、変わった神子候補生もいた。


 神子候補生『グレオガスト』は、水晶岩(グラス・ポッド)の中で腕立て伏せをしながら、


 この時間を満喫していた。


「10001、10002、10003・・・・」


「おい、そこのお姉ちゃん、俺と一緒に暑い汗を流そうぜ」


 彼神は茶色、短髪、ワイルド、ムキムキ脳筋さんであった。


 ムキムキ脳筋さんは、周りの神も一緒に汗を流そうぜと誘っているが、


 誰も彼に関心を見せず、作業神達は、残された作業を続けていた。


「どうか、シャルちゃんが無事に戻りますように」


 神子候補生『エマメルダ』は、緑髪の長髪のメガネっ子、緑色の長い髪が乱れるのも構わずに頭を何度もさげ、これから始まる最終商品説明会が、上手くいかないようにと手を合わせ、祈り続ける。


「地上に落ちた皆の魂が安らかになりますように」


 そして、絶望して落ちていった仲間達を(しの)んで、祈り続ける。


「また皆でにこやかに笑いあえる素敵な日常に戻りますように」


 また昨日までの素敵な日常が取り戻せるようにと、祈り続ける。


 神子候補生『エマメルダ』は、展示会が終わるまでみんなのことを思い、


 必死に祈り続けていくことになる。


 祈りを捧げる姿を、ずっと離れた場所に設置してある水晶岩(グラス・ポッド)の中から、


 見守っていた神子候補生『ミルエッテ』は、親友が無事だったのを知り、思わず赤色の瞳から涙がこぼれる。


「シャル、あんたも生きのこりなさいよ」


 そしてミルエッテは、もう1神の親友にもエ─ルを送る。


 会場内では、神鏡球(ミラ─ビット)神講堂(ゴットホ─ル)の主要な箇所に設置され、360°全ての角度から映像を撮り始めた。


 天神界各地に投影設置された映像を見ている暇神達は皆、それぞれの思いを巡らしながら、本日最終商品説明会の開始を見守っている。


(シャル。貴女神(あなた)のことは忘れないわ)


(私は貴女神(あなた)を未来永劫に渡って見守り続けます)


貴女神(あなた)は私に逆らわずに己の運命を受け入れなさい)


 神霊様は己の脳裏内でシャルリアに諭すように語りかける。


 ほぼ全ての準備が整ったと確認した後光さんは、最後の仕上げに神霊様の足元に円形型の光板が見えるように煌めかせ、光の円盤に乗った神霊様は、御力を使いぐんぐん空間に浮かび上がる。


 神霊様の身につけたネックレスも後光さんの光を浴びて、この世の物とは思えないほど、()()()()()()()()()


 展覧会場では、司会を務める神霊様の頼れる部下神が場の雰囲気を盛大に盛り上げていた。


 もう、いつでも次の進行に移れそうだ。


 次は、神霊様が開会に宣言をすることになっている。


 司会神が頷いて、出番の合図をした。


「それでは、統括神霊セント=シャルディリア─ス様より開会の宣言をおねがいいたします」


「皆様、どうかお静かにお聞きいただきますよう、重ねてお願い申し上げます」


 会場全体を見渡せる位置に到着すると、会場中が静寂に包まれた。


 神霊様は神威を込めたお言葉に、御力を纏わせて浮遊水晶島の隅々にまで響き渡るように口上を述べ始めた。

----------メモ設定 参考資料------------


天神日輪放送(サークル放送)


 四大放送事業者の1つ。

 他3社

 天神光臨放送(ライト放送)

 天神中央放送(セントラル放送)

 天神天空放送(スカイ放送)が放送事業をはとんど独占している。


----------メモ設定 参考資料------------


勲章のネックレス


 お母さんだけが唯一身に付けることを許された天神界の負の遺産。お母さんの天神界での今までの行為を祝して最高神から賜った自慢の逸品ではあるのだが、誰もがなんと言われようとも絶対に身につけたくない逸品だ。これを胸元から下げているだけで、お母さんはいつも注目の的となり、そのネックレスはこの世のものとは思えないほどに、禍々しい輝きを放っている。


----------メモ設定 参考資料------------



借銭硬貨


 天神界の借用書の代わりになる硬貨。ある一定以上の債務者には、必ず神体の見える箇所に身に付けなければならない天神界の法律がある。


借銭硬貨の種類は、


1千億借銭硬貨

1兆借銭硬貨

10兆借銭硬貨

百兆借銭硬貨

1千兆借銭硬貨

1京借銭硬貨

10京借銭硬貨

百京借銭硬貨

千京借銭硬貨


 借銭硬貨は全て中心に穴が空いている。価値の高い硬貨になるとデザインと品質が禍々しくグレードアップしていく。天神界では、硬化の中心の穴に神念糸を重ねて通して、ミサンガ・ブレスレット・ネックレス・ベルト替わりにしたりと、なるべく目立たないようにお洒落に着こなすのが、定番となっている。

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