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File No.40:トクサツ少女のクリスマス!

トクサツ少女・石ケ谷ヒロミは、異世界へ転生された(自称)花の美少女である!


彼女が転生してきた世界は、悪の組織に支配された英雄都市【ブレイドピア】である。


神より授けられたチートツール【トクサツールベルト】で『トクサツ戦士HIROMI』に変身しながら、いつかは巨乳になるために……な訳じゃ全然なくて!!


英雄異世界の平和を守るために戦うのだ!!

 ――あたし、石ケ谷ヒロミ!


 あの気まぐれオレンジなんちゃらの作者の事だから、またトク転をすっぽかして、ゲームウォーリアーやらA.I.M.Sに現を抜かしてブランクを空けてるなとか思ってたら大間違い!


 ちゃんと更新の為にスケジュールを空けたんですって! という訳で今回はクリスマスイブの為の特別エピソード!! 今日は一話限りだけど、今夜は女子のイチャコラをイメージしながらシャンパン片手に読んでね〜♪ あ、リ◯リ◯観ながらの方が効果的かも。


 ◇◆◇◆◇◆


 ―――日にちは12月24日のクリスマスイブ。


 異世界であるブレイドピアも、この日は聖誕祭として祝われる特別な日となっている。


 あたしとルリナちゃんの住むマウンペアの街では、遠く離れた樹海の森からもみの木を伐採し、その木に飾り付けやLED照明と地球に優しいコーティングライトを付けて、クリスマスツリーに見立ててあちらこちらに飾ってる。西欧の風習と何ら変わらなくも暖かい、祝福の一時がそこにはあった。


 さて我らが愛しのあたし、ヒロミちゃんは何をしてるのかとゆーと。


「―――えぇ? あたしとルリナちゃんでクリスマスプレゼントを運べって!?」


「そうなんだよ、本来はブレイドピアの治安を管理する我々『W.I.N.D』の役割なのだが、ご覧の通り不景気で隊員も不足しているのだ。そこで恥を忍んで、ヒロミ君達にもお手伝いを……」


 夢と希望を与える仕事としては聞こえがいいが、どうも人手不足のボランティアを押し付けてるようにしか聞こえない依頼をあたしに押しかけてきたのは、W.I.N.Dの総司令官でサブロー・スタンバナードのおっちゃん。久しぶりだねぇ。


 どうやらこのブレイドピアのクリスマスは、イブの夜の間にW.I.N.Dが税金を使って国民の欲しいものをリクエストしたプレゼントを直に奉仕する習慣があるらしい。


 そのプレゼントの内容は子供騙しな玩具ではなく、プリペイドカードやワインセラー、プレミアム◯ン◯イの何万以上の変身ベルト、挙げ句の果てにはキャバクラの割引クーポンエトセトラ……リアルに欲しい物をちゃんと与える良心的な仕事であった。


「ちょっと待ってよ、クリスマスの習慣があるならサンタさんの存在はどうしたのよ。これじゃ兵士に配給貰ってるみたいじゃない」

「そのサンタとやらは、この世界では封印された英雄の一人とされているのだ。数年前に姿を消してからは代理として我々がその役を担っている」


 そういえばそんな設定だったわね、この小説。諸にあたしの活躍でカヴァーされてるから忘れてた。


「それに君達には陸海空両用機の『キューティクル号』があるだろう? それを使ってマウンペアの街周辺の世帯にプレゼントを上げてほしいんだ。頼む」

「そんな! あたしの愛車はソリじゃないのよ! せっかく今夜はルリナちゃんと水星の◯女観ようと……」


「君に依頼する家は皆同棲暮らししてる世帯だぞ。しかも女性同士の」


「仕方ないなぁ♡☆」

「ヒロミさん、浮気は駄目ですよ」


 ◇◆◇◆◇◆


 かくして、お世話になってるW.I.N.Dに一肌脱ぐ事になったあたしとルリナちゃん。


 総司令部である基地の中では、W.I.N.Dの隊員達が小型ヘリやパトロールバイクを用いて、プレゼントの入った白い袋をちょいと担ぎながらブレイドピアの各地域に出動する。

 中には最近口数が減ったような気がするタケルとフィーリアのバカップルの姿も。


 耳を済ませばフィーリアが『私がタケルきゅんのプレゼントになるぅ♡』とほざいて袋の中に入るボケをかましてる所が見えた。甘いわ、あたしならルリナちゃんを抱きながらその上にサンタの衣装着るわ。


「ヒロミさん、また変な妄想してないで私達も行きましょうよ」

「何でバレた? あ、待って。ちょっと変身してから行こう」

「トクサツ戦士になる必要あるんですか?」


「うんにゃ、今日は特別仕様で変身するの」


 そう、今日は素敵なクリスマスイブ。そんな日に接客して草臥れてる貴方、息子のプレゼントを予約して取りに行ったのを誤魔化してる貴方に、あたしの特別バージョンの変身をお送りしましょう!


「クルックル~♪ シャキーン!!」


 ご唱和下さい、トクサツ変身・クリスマス版!!



「――サ〜ンタさん来る来る〜


 ――ト〜ナカイ来る来る~♪


 ――もみの木一回転で……トクサツ変〜身ッッ!!」


 あたしの掛け声が終わったと同時に、ベルト中央のシャッターが自動で開き、虹色の結晶『トクサツールコア』が現れた!!


「そ~~れッッ!!」


 ギュビビビビビビィィィィィン!!!!!


(ナレさん)トクサツ少女・石ケ谷ヒロミは、変身ポーズでベルトの『トクサツールコア』にエネルギーを溜めることによって【トクサツ戦士・HIROMI】、今回はクリスマスの為の特別コスチュームで変身するのだ!!


「トクサツ戦士・HIROMI、真っ赤なサンタコスだよ〜〜ん☆」


 ――クルンッ、シャン♡︎(サンタ帽乗っけたバイザー越しのウィンク時に出る効果音)


 ご覧あそばせ、あたしのクリスマス仕様トクサツ戦士・HIROMI!

 赤白のサンタコス、下の方はミニスカだけどピッチピチのスーツの上に来てるからパンツは見えません(最重要)。すべすべから転じてもふもふ率150%アップ!


 極寒の空でもダイジョーブなサンタ天使、一夜限りなのが惜しい限定エディションだよ!


「あの〜ヒロミさん、私ちょっと寒いです……」

「………………」


 あたしの傍らで、薄着故に寒さでブルブル震えてる子鹿ちゃ……じゃないや、ルリナちゃんがあたしのサンタコスを羨ましそうな目で見つめる。


「良かったら着る? あ、サンタ帽も」

「キャ~い! もふもふのぬくぬく〜♡」


 ……クリスマスエディション、十行程度で終わっちゃいました。


 だがご安心を。ダイヤモンドセクシーなルリナちゃんが、モフモフのサンタコスとミニスカ仕様で助手を努めてくれますッッ! これはこれで結果オーライ!!


 ◆◇◆◇◆◇◆


 そして我が愛車、『キューティクル号』の飛行モード・車輪を下に稼働させてホバー飛行で宙を舞う。

 せっかくのクリスマスだから、ヒロミニちゃんも出して三人でプレゼント配りを行うことになった。


「まま、ゆきー!」

「タイミング良いですね、ホワイトクリスマスですよ!」


「それは良いんだけど……あたし運転してるから危なっかしいわね」


 ブレイドピアの夜空に、しんしんと降り注ぐ淡雪の祝福。聖なる夜に舞う雪は、物騒な世への苛立ちをも浄化させる不思議な魔力があるんだとか……或いは寒さでそれどこじゃねぇとツッコまれるんだとか。


 ともかく、飛行運転してるあたしにとってはスリップの心配は無いけども、チャーター便に追突されないか心配になる所。それともう一つ気になったのは、


「そーいやこの街、煙突付けてる家無いじゃん!!」

「皆オイルヒーターと石油ストーブとオコタにゃんにゃんで寒さ凌いでますから……」


 せっかくのサンタ仕事に煙突が無いとか、なんて風情のない異世界でしょう! じゃあ何か? あたしゃインターホン押して『サンタクロースだよ(裏声)』ってやらなアカンのかい。恥ずいわ!!


「やっぱり降りて玄関で渡しましょうよ」

「う~ん……あ、そうだ! こんな時のトクサツールじゃないの。クルクル〜の」


 あたしのインスピレーションは不便な状況を容易く打破してくれる。想像力に勝るご都合展開はなし!


「HIROMIちゃん・どこでも玄関!」


(ナレさん)『HIROMIちゃん・どこでも玄関』とは、異次元に繫がるドアを開ければ、指定した家の玄関或いは部屋のドアをショートカットしてワープできる例のあれっぽいけど、自由度はそんなに無い移動ドアなのだ!


「ルリナちゃん、このプレゼントを持ってこのドアに入って、その人に渡してあげて!」

「ええっ? でもプライバシーとかは……」

「大丈夫よ、ちゃんとノックすればドア開くから」


(ナレさん)不法侵入はヒーローとして許されないのだ!


 ルリナちゃんは早速どこでも玄関にコンコンとノックすれば、『出入りOK』のサインが。


「じゃ、行ってきますね!」


 と、ルリナちゃんはキューティクル号の座席に立てた玄関のドアを開いて、プレゼントを渡しに向かった。


 ――――数分後。


「ただいま戻りました!」

「おかえりぃ、どうだった?」


「あのプレゼントの中身、水槽だったんです。そしたら美女二人が『さかなー』やら『チンアナゴ〜』やら変なポーズしてましたよ」


 ………あれが異世界にも通じてたとは意外だ。


「でもこれなら楽にプレゼント渡せるね。次行ってみよー!」


 その後はマリー・B・クインさんのナイトクラブにもお邪魔して、戦闘ちゃん達にもプレゼントを上げたら大喜び。特に改造のボディペイントを落とせるクレンジングオイル貰えて泣いてる子も居たとか。


 途中で百合っ子達が丁度チョメチョメしてる時に押しかけちゃって大変な事態になったり。別に女同士に男が割り込むとかタブーな事はした訳じゃないけど、ルリナちゃんが逆ハーされるのだけは流石に止めた。


 色々トラブルはあったけども、女の子達の笑顔を見れただけでも胸の奥はホクホク。それもあと一つの依頼でおしまい。ちょっと寂しいかな。


「最後はどんな人のプレゼントですか?」

「えーとね、お見合い中の百合カップルからだわ。愛しのハニーと結婚したいから、プレゼントに“惚れ―――」

「ヒロミさん、前ッッ!!」


 プレゼントリストに集中しちゃって、余所見した所で正面にチャーターヘリ!! 急いで急旋回した拍子に、袋の中の最後のプレゼントが……


 ――――ポロッ


「あ゛ーーーーッッッ!!!」


 上空1,500フィートのキューティクル号から巨大な玉のようなものが落ちちゃった!


「どうするんですか! プレゼント渡せなかったらサブロー総司令官に何て言われるか……」

「そこは安心して、リストのプレゼントをトクサツールで複製すれば済む話よ」

「あ、それもそうですね」


 普通ストーリーの核になりそうなアクシデントをトクサツールで済ませる能天気解決はさておいて、そもそもあのプレゼントは何だったのか?


「で、結局プレゼントは何だったんですか?」


「女同士で結婚したいから、“惚れ薬玉”をプレゼントにしたんですって」

「それをW.I.N.Dが作った時点で疑問が湧くんですけど」

「でも責任持って作らなきゃ、あたしとルリナちゃんのイチャイチャで作られた惚れ薬作ってあげよう」

「ここでやるんですか!?」

「車中デートだよ! ほらぁ持ってきたチンアナゴの玩具でデュフフフフフ♨」

「やぁん、くすぐったぁい♡」


 ◆◇◆◇◆◇


 ―――で、結局惚れ薬玉は何処に落ちていったかとゆーと。


「……何でクソジジイとむさ苦しい戦闘員共でクリスマスを過ごさなアカンのだ」

「まぁ良いんでないの! 芋焼酎にシャケ食べ放題なんざ滅多に出来んことじゃぞ!」

「シャケなんか嫌じゃー! せめてローストチキンとシャンパンをくれぇぇええええ!!」




 ジャックスの野外アジト全般が数分後、()()()と化した事は言うまでもない。

ヒロミ「全国の良い子の皆! クリスマスプレゼントを貰ったら、真っ先にお父さんお母さんに向かって『サンタさんありがとう』と言おう! 決して『ポケ◯ン、バージョンが違うじゃねーかボケェ!』とか言っちゃダメ!――――クルン♡︎」



そしてブックマーク、感想、評価『★★★★★』等でこれまで以上にヒロミ達を応援しよう!

皆さんの応援が作者だけでなく、ヒロミ達のファンレターになります!


次回も『トク転』を宜しくね!!

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