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File No.39:戦闘員だって恋がしたい!

 

「――巻~き毛クルクル!


 ――わ~たあめクルクル~♪


 ――クルリと回って……トクサツ変〜身ッッ!!」


 あたしの掛け声が終わったと同時に、ベルト中央のシャッターが自動で開き、虹色の結晶『トクサツールコア』が現れた!!



「そ~~れッッ!!」


 ギュビビビビビビィィィィィン!!!!!


(ナレさん)トクサツ少女・石ケ谷ヒロミは、変身ポーズでベルトの『トクサツールコア』にエネルギーを溜めることによって、【トクサツ戦士・HIROMI】に変身するのだ!


「今年の七夕、奇跡的に夕方晴れたから星空見れるかもよ! トクサツ戦士・HIROMI、参上ッッ!!」


 ――クルンッ♡︎(バイザー越しのウィンク時に出る効果音)


(ナレさん)この気象情報は、作者も全く予想していなかったのだ!


「……あのー、ヒロミさん?」

「なぁに、ルリナちゃん」


「何で開始早々に変身したんですか? 怪人も出てないのに」


 うーん、ルリナちゃんの言い分も分かる。でもね、長いことこの小説の主人公やってると、『マンネリ嫌い』っていう作者の本質から読めることがあってね……


「あと数行もしないうちに、何か起こると思ったからよ」

「数行って何が――――」


 ドバァァァァァァァァァッッッ


「キャーーー!!」

「ほらね、あたしの言った通りぃぃぃ!」


 突如あたしの家から流れ込んできた、濁流のような水の大波小波。

 それがあたしとルリナちゃんのマリアージュ前提の距離感をも引き離し、二人の間に大きな川が出来上がった。


「ダメです、こんな大きな川じゃヒロミさんに近づけません!」

「よーし待ってて、今そっちに飛び込ん………ぶへぁ!!」


 川を遮ってルリナちゃんの方へ飛ぼうとしたあたし。しかしトクサツ戦士の力を持ってしても、川の間に特殊なバリアが張られていて、思うようにそちらへ向かえない!


「どうしよう。川が邪魔でルリナちゃんのとこへいけないよ〜、うぇぇえ〜〜ん!!」


 〜♪〜♪〜♪


 誰よ! 最愛のルリナちゃんを引き離されて泣いてるのに電話して来るのは! タケルじゃないの!!


「何!? オチ要因が大事な時に電話寄越すんじゃないわよ、川でルリナちゃんに会えないときに!!」

『誰がオチ要因だ! こっちも急に川が流れ込んでフィーリアが引き離されてるんだ!!』


 あっちも川流れてんのかい! ……まぁ、あのバカップルは引き離してもフィーリアが無理やり来そうだし。そんなに危惧して無いけど……いやダメダメ。放っといたら彼女にシバカれる。


「もしかして、この町でも同じような事が?」

『あぁ、各所で何処からともなく川が流れてきて、カップル達の距離を離そうとしているらしい。そいつを引き起こしてる怪人が何処かにいるはずだ!』


 いるはずだ!って言うのは簡単だけどさ。ただでさえ家の中に川が流れて動けないってのに、どうやって……



「こーげこーげこーげよ♪ もっとこーげよ〜♫」


 …………はい。人の家で川流れしてる怪人(バカ)発見。


「うぉらあ!!!」


 あたしのハイキックが、怪人の脳天に直撃!

 もんどり打って川に落ちた怪人は、星型のサーフボードに再び乗ってあたしと対峙する。


「なぁんだあ! せっかくカップルを引き離した天の川でサーフィンしてたのによー!!」

「悪趣味過ぎるわよ! よくもあたしのルリナちゃんを引き離してくれたわね!!」


「んなこと知った事か! このジャックスの怪人、恐怖・ミルキーウェイ青年が、お前らカップルの恋路を天の川で断ち切ってくれる!!」


 ンマー! 何て命知らずな怪人なのかしら!

 そんな輩は我が直々にナイル河に叩き落として24時間土左衛門漂流させて……


「ヒロミさん、殺意ダダ漏れですよ……」


 あらいけない、では改めまして。―――正義の名の元に粛清して差し上げますわ☆


「お嬢様ぶって付け上がらせとけば、隙アリィィィィィ!!!!」

「おっと!」


 ミルキーウェイ青年は手持ちのボートを漕ぐやつ((かい))の棒を振り回して、あたしに不意打ちを狙うが、得意の瞬発力で交わしてセーフ。


「今度はこっちの番よ! クルクル〜!」


 あたしは腕を交互に回し、ベルトに埋め込まれたトクサツールのエネルギーをチャージさせて……


「HIROMIちゃん・祝☆海開きワイドゴムボート!!」


 目の前に巨大な長方形ゴムボートを出現させた!


(ナレさん)『HIROMIちゃん・祝(略)』とは、激しい水流にも転覆せず、頑丈なゴムに空気を入れたボートで、丁度作者の誕生日に海開きするお祝いに作られたピンクボードなのだ!


 作者の誕生日なんか知ったこっちゃないって思ってる貴方。あたしも同意見よ。

 うーん、でもせっかくのボートを一人で乗るのは虚しいな。そうだ!


「ヒロミニちゃん! キミに決めた!!」


 ―――ポンッ!!


 あたしは英雄印のカプセルを投げて、渦巻き状の光線が弾け出たと同時に久々に登場だよあたしの娘(前提)、ヒロミニちゃん!!


「さーさーのはーさーらさら〜☆ ヒロミニちゃんさんじょー!」


 ――くるるんっ♡︎(バイザー越しのウィンク時に出る効果音ミニバージョン)


「まま、ボートすいすいするぅ〜!!」


 そういえばヒロミニちゃんが戦いに出たのも花火以来だったわ。あの子元気余って無茶苦茶張り切ってるもの。


「よーし、あのチャラチャラな天の川男を追っ掛けるよ!」

「そーはさせるものか! お先〜!!」


 サーフボードで天の川に乗って、あたしの家から逃げるミルキーウェイ青年。続いてあたしとヒロミニちゃんのゴムボートで追跡する。


「「きゃは〜〜〜☆☆」」


 ミルキーウェイ青年が作り出した天の川は、くねくねとカーブを曲がるかと思えば、流れによって急降下してのウォータースライダー状態。

 最近エキサイティングに欠けていた日常を打破するように、あたしとヒロミニちゃんは大はしゃぎ。


「おのれぇ、俺の天の川をプール代わりに楽しむとは生意気な! これでも喰らえ!!」


 怒ったミルキーウェイ青年があたし達に向けて投げ込んだのは、袋に包まれた飴玉……って何でアメちゃん!?


「題して、『ミルキーくんはパパの味・飴玉攻撃』だ!!」


 ママの味じゃないの!? てか何気にべっとりしてて痛いってか邪魔っけ! もう頭きた!!


「ヒロミニちゃんと一緒に! クルクル〜〜」

「くるくる〜〜」


 あたしとヒロミニちゃんの合体技、今回はこちら!


「HIROMI&ヒロミニちゃん・痰切りのど飴ビッグボール!!」


(ナレさん)二人が創り出したキャノンボールクラスの巨大飴玉は、作者が毎朝舐めてるという昔懐かしの痰切りのど飴を鉄球代わりに使った危なかしい技なのだ!


「エアコン付けてて喉傷めないうちに舐めときなさい! それっ!!」


「ぐみょっっ」


(ナレさん)痰切りのど飴は、想像以上に硬かった!


 それにのど飴の重さで波に乗れなくなったミルキーウェイ青年の動きは、サウザンリーフ地方のナイトクラブの近くで完全に止まった。


「天の川流れも終わりよ! これで止めを……」


 あたしはいつものように『HIROMIちゃん・キッス』で止めを誘うとした、その時!


「――――あっ! カズヒコさん!!」


 ナイトクラブの店から現れたのは、戦闘ちゃんのサオリちゃん! それにカズヒコさんって、もしかしてこのミルキーウェイ青年が!?


「止めてヒロミさん! カズヒコさんを殺さないで!!」

「嘘!? あのチャラ男がサオリちゃんの恋人!?」


 いやその言い方は語弊があるか、ごめんなさい。


「お、お前は……サオリ……!!」

「カズヒコさん、もう戦うのは止めて! 元の優しい貴方に戻って頂戴!!」


 戻ってって言ったって、あたしのキッスじゃ異性だと大ダメージ食らっちゃうし。どうしたら……って、あれサオリちゃん?



 何で網タイツの太ももに彼氏の下半身当ててるの? あ、これはヒロミニちゃんには見せられな


「ホォォォオオオオオオオオ☆☆☆」



 ※目に余る高度テクなので、表現はここで伏せさせて頂きます。悪しからず……


 …………あ、もう終わったかな。

 サオリちゃんの顔には似合わぬテクニシャン技の愛故か、ミルキーウェイ青年から通常の戦闘員・カズヒコ君に戻ったようだ。何で戻ったかは探求しないように。


「……おぉ、トクサツ戦士HIROMIよ。俺の愛するサオリを出会わせてくれたんだね。ありがとう……」


 いや、あたしはただ天の川でスライダーしただけなんだけど……どういたしまして。


「これからアジトに帰る前にタピオカ飲み行くけどサオリも行く?」

「わ~い行きます〜♡」


 いや直で帰れよ!? 大佐に粛清されてもあたしゃ知らんよ!?


「…………こんどあのテク、ルリナちゃんにやってみよ」


 あたし網タイツ持ってたかしら。ラバースーツでも良いかな。


 ◇◆◇◆◇◆


 ―――ところが、ベクター大佐も頭を冷やしたのか、カズヒコ君とサオリちゃんがアジトへ帰還した際に謝罪した所、なんと彼女らの交際を許してくれたらしい。


 カズヒコ君は恋に溺れていても、ジャックスへの忠誠心は忘れていない事を分かっていた大佐は、七夕に因んで7月7日、一年に一回のお付き合いの条件で認めてくれたそうだ。面倒見が良いおっさんだねぇ。



 因みにあの後、サオリちゃんからカズヒコ君に聞いた話によると。

 あの七夕短冊に『世界征服を達成しますように』って書いていた戦闘員の全員がSNSで陰口叩きまくってたらしい。


 ラミネートフィルムよりも薄い忠誠心だね。



 ……さて、あたしの方も家は天の川が消えて、どうにかルリナちゃんの距離を引き裂かれずに済んだ。


 だけど家に帰ってもルリナちゃんが居る様子もなく、扉のドアノブを離そうとした時、まだあたしと彼女の短冊が残っていた。ルリナちゃんの短冊には……


【ヒロミさんと、いつまでも一緒に幸せに暮らせますように ―ルリナ―】


「―――――ルリナちゃん」


 あたしの眼が潤む。早くむぎゅ~したいよーなんて思い始めた途端にサプライズ。


「み~た〜な〜〜!!」

「ぁんっ、背中にマシュマロ♡」


 後ろから不意打ちハグで迫ってきたルリナちゃん。たわわに実った果実があたしの背中をケアして戦いの傷を癒やしていく。



 ……でもホントに、ルリナちゃんとずーっと一緒に暮らしたいなぁ。戦いなんかしないで、イチャコラな人生を贈りたい。―――戦いって何だろうな。



 ―――その夜。奇跡的に晴れたブレイドピアの夜空。

 異世界に瞬き、織姫と彦星を象徴する二つの星が天の川を渡って一夜限りの邂逅。そして………



『はふぁぁぁぁぁぁぁああああああああ☆☆☆』



 星空の彼方にて、物凄くにゃんにゃんしたそうです。………酷い終わり方!!

ヒロミ「全国の小学生だった皆! 七夕の給食で、天の川に因んで『フルーツポンチ』食べさせられた人は正直に挙手しなさい! 作者は毎年おかわりしてました(笑)――――クルン♡︎」



そしてブックマーク、感想、評価『★★★★★』等でこれまで以上にヒロミ達を応援しよう!

皆さんの応援が作者だけでなく、ヒロミ達のファンレターになります!


次回も『トク転』を宜しくね!!

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