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File No.37:春夏秋冬・ひっくり返し作戦!その2

 ――さーて、あたしとルリナちゃんで季節を満喫しちゃおうと決めた丁度同じ頃。


 皆も忘れちゃったんじゃ無いかしら。あたし達のイチャイチャを邪魔する悪ーい奴らがまた何か企んでいるみたい。


 前回のリフレッシュ休暇から帰ってきた、悪の組織『ジャックス』が!!


 ☆★☆★☆★


 ――所在地不明の『ジャックス』のアジト。懐かしいねぇ! さて例の片目に眼帯付けたベクター大佐は何してるのかしら?


「諸君! リフレッシュ休暇も名残惜しいと思うだろうが、もう良い加減に世界征服計画建てないと“悪の組織”としての沽券が失われる!

 戦闘員の皆さんは健やかに破壊工作を行い、戦いの際は傷害保険が掛からない程度に、事故や怪我なく倒される事! 良いな!!」


「「「ニィィィイ!!」」」


 一年以上の長いリフレッシュ休暇が、彼らに何を変えたのだろう。


 ベクター大佐並びに戦闘員の皆様方の眼は、休みの有り余った英気で輝きに満ちているし。悪の組織も『働き方改革』を決めたのか、ブラックだかホワイトだか分からんカオス企業と化していた。


「ぁいや〜、皆の衆お待たせぇ。今日から再起動じゃからの、怪人も奮発して2体分も造ったから存分頑張りんしゃい!」


 ベクター大佐の司令本部の奥から登場は、煮ても焼いても食えぬヘンテコ爺さんのプロフェッサー・ファントム。そしてこちらも久々に登場は、ジャックス怪人がなんと2体も。2倍分の増しまし!


「恐怖・北風兄ちゃん! と」

「美健康の恐怖・太陽妹ちゃん、で御座います!」


 妹よ、それは紫外線の意味でかしら?


 特撮コメディなのに怪人出てない事に気付いたジャックスは、今回は兄妹揃っての登場。

 青い北風コーデの兄に、赤い太陽コーディネートの妹、おしゃれな身なりに怪人というよりは、大学生っぽく見える。


「今回はこの兄妹を使って、このブレイドピアの天気をメチャクチャにして大パニックを起こしてやろうという訳だ!」

「この兄妹、造るのに何百万も掛けたんじゃからな。ちゃんと使命は果たすんじゃよ」


 怪人製造にそんなに金掛けたの?なんて思ってる貴方。実はリアルに特撮の方でもかなりコスト掛かってるらしくて、一週間掛けてジャンボジェット並の金額換算で掛かるんですって。さぞかしジャックスの北風・太陽兄妹も……


「こいつら二人分の()()()()にかなり金掛けてもうたわい。奨学金手続もしたし」


 怪人が大学通ってんの!? 二人分も費用払ってるとか、別の意味で良い経費使ってると思うんだが。


「とにかく兄妹の大学の門出と、ブレイドピア混乱の為に、全力を上げて任務を遂行するのだ!!」

「「はっ!」」


 ジャックスのやる気満々なオーラに、怪人達もやる気になる。

 ……だけど、そんな悠長な事言ってる場合じゃないんじゃな〜い? ほら、戦闘員くんが焦った顔で大佐に報告しにきたよ!


「ニィイ! 大変です、ブレイドピア全体の気候が!」

「何? まだ怪人は活動しておらんぞ?」


 ベクター大佐が、急いで世界の全体マップを確認してみるならば。

 東は春の桜が爛漫に咲き乱れ、南は前回同様ビキニお姉さんやら波乗り野郎らが浜辺で群がり、西は実りに実った秋の果実が林に成るなる。


 そして北の位置、広大な高原の山々が聳え立つ『ノースマウンテン』地区では森が雪に埋もれて白銀の世界。冬真っ盛りのスノーシーズンと化す。そこにはあたし達、ヒロミとルリナちゃんが絶賛スキー満喫中!


「な、何だこれは! 世界全体の春夏秋冬が入り混じってるではないか!!」


 これ悪の幹部じゃなくて、防衛省・気象庁らが言う台詞だと思うけどな。


 早い話、あたしがトクサツールの力によって、ブレイドピアの各名所の見所シーズンを一気に凝縮させちゃいました!


「またトクサツ戦士の仕業か! ええぃ、これではこの回の投稿時期が分からなくなるではないか!」


 ※この回は5月に投稿したものです。


 ベクター大佐の命により、ノースマウンテン地区へと向かった北風・太陽兄妹。因みに二人共免許取り立てペーパードライバーだったので、これも必要経費でチャーターヘリで向かったんだとか。大学生だねぇ〜


 ☆★☆★☆★


 ―――ノースマウンテン・最大の名所、ノース高原スキー場。


 冬のシーズンはとっくに終わってる筈なのに、人工雪でも無いのに気温を下げてマジ雪を降らせたあたしは、ルリナちゃんのモフモフなスキーウェアに和みながらもスキーを楽しんでいた。


 そこへようやく、北風・太陽兄妹の怪人がやってきた。


「おいっ! お前がトクサツ戦士のヒロミか!?」

「5月でジメジメし始めた時期に何をやってんのよ!!」


「何って、合体イチャイチャボーゲン♡」


 通常の2倍の長さのスキー板を、ムカデ競走感覚に二人で付けてのあたしが前で、ルリナちゃんが後ろ。トクサツ戦士状態のあたしの腰に、ルリナちゃんが抱きついて滑降ボーゲンときたもんだ。


 はぁん、ルリナちゃんのモフモフなコートが気持ち良くて雪解けちゃいそ♡


「ッッ、貴様ーー! 季節外れに女同士でイチャイチャしやがってリア充め!!」

 あたし達の百合に嫉妬してるのかしら。北風兄が心底悔しそうな顔で物申してきた。こうなればあたしも反撃したくなる。


「何よ、勉強してないのに徹夜でゲームしてる顔の癖に! あんた彼女出来てないんでしょ、作者みたいに」


『ほっとけ!!!』by作者


「じゃかぁしい! 俺なんかなぁ、怪人だから木枯らしとか北風吹いてくるから、女には寒がられるしスカートめくれてスケベ呼ばわりされてんだぞ!!」

「あたしだって夏冬問わずに『暑苦しいから』って、何もしてないのに男離れてくのよ!」


 ……そりゃ、あんたら北風と太陽の怪人だからね。あたしも何も言いようが無いわよ。

 だけどこれが彼らの怒りの火に油を注いだのか、本格的にあたし達に襲い掛かってきた。


「もう、あったまきた! こんなゲレンデの雪なんか溶かしてやる!!」


 鶏冠にきたのは太陽妹。怒りのボルテージが太陽衣装から光熱を発し、それがゲレンデ全体に広がって一瞬にして雪を解かしていく!


「うわぁ!」

「きゃあ!」


 スキー板で一心同体になっているあたし達。ゲレンデ雪が解けた事により滑降力が失われて、次第に板は横転。二人纏めてもんどり打った。


「今度は俺の番だ! 吹き飛んでしまえ!!」


 ゴォォォォオオオオオオ!!!!


 北の風は凍てつくほどに、あたしやルリナちゃんの肌に触り、冷たいを通り越して痛い。

 更に風速も台風並みの北風は、廻り廻って西の地区から吹き飛ばしたクルミや酸っぱいかりんの実が、あたしにだけ集中してぶつかっていく。さっきの発言が地雷になっていたようだ。痛〜〜い!!


「どうだリア充め、参ったか!」

「今度は二人纏めて喰らってみなさい!」


 一人でもヤバいのに、兄弟パワーで北風・太陽のパワーが合わされば、ノースマウンテンに集中する天変地異と化す!!


「だーーー! 暑いんだが寒いんだが分かんないッッ!!」

「ハァハァ、もう駄目……! こんなスキーウェアも着てられないっ!!」


 この異常現象に限界を迎えたのは一般ピーポーなルリナちゃん。厚着のスキーウェアを瞬時に脱捨てて、その勢いで慌てて()()状態になるまで脱ぎそうになり留まる……って何ぃ!!?


「ねぇ太陽ちゃん、もうちょっと温度上げて! ルリナちゃんのした」


 ―――――バシッッッ!!!!


「………ゴメン、今の忘れて」


 流石にこんな修羅場でそれ求めたらビンタもされるか。はぁ〜ぁルリナちゃんの水着姿がまた恋しくなる……待てよ?


「もしかして、あの二人の着てる()が北風と光熱を出してるんじゃ……?」

「……確かに! としたら、怪人の核は洋服……!?」


 ルリナちゃんの核心めいた発言が、あたしの想像力に刺激を与えて、ピーン☆と来た!


「良く考えたら、大学生みたいな歳でその格好は派手すぎるわよ! 太陽とか北風とかより、大学生らしい格好しなさーい!! クルクル〜!!」


 あたしは腕を交互に回し、ベルトに埋め込まれたトクサツールのエネルギーをチャージさせて、北風・太陽兄妹にそのパワーを打ち放つ!



「HIROMIちゃん・大学生の服は清楚よりもカジュアルがオーソドックス光線!!」


(ナレさん)『HIROMIちゃん・大学生の(以下略)』とは、『大学生は大学生らしく、カジュアルな服で大人しくしなさい!』と痛い学生に警鐘を促す、教育的光線なのだ!


「「うわぁぁぁぁ〜〜〜!!」」


 光線に命中した北風兄ちゃんと太陽妹ちゃん。センス的に痛かった北風・太陽コーデが消えて、良く早稲田とかでお目に掛かる、未来に満ちた大学生のカジュアルコーデに兄妹揃ってイメチェン完了!

 それと同時に、北風と太陽光熱の呪縛は解かれ、二人の忌まわしき邪念も開放された。


「あれ、ここは一体……?」

「あたし達、何をしてたんだろう?」


 おそらくあの兄妹はジャックスに拉致されて、開発した痛コーデを着せられて洗脳されたのだろう。あたしの力でそれも解かれ、清く正しい一般的な大学生に戻ったようだ。


「「で、今日は何月ですか? 何で自分ら雪解けたスキー場に居るんですか??」」


 ………えっと、色々説明するのめんどくさいんですが、一応確認の為に。


「「 5 月 で す 」」


 ……やっぱり、季節ネタを一気に処理しようとするのは無謀だったのかもしれない。色んな人から混乱を招いちゃう。そう悟ったあたしとルリナちゃんなのでした。



 ☆★☆★☆★


 ―――かくして、北風・太陽兄妹は洗脳が解かれた事によって、ジャックスの天変地異作戦は失敗に終わったは良いけれど。


 あの後に『W.I.N.D』から異常気象の問題で、あたしにお叱りの言葉を受けた事によって、ブレイドピアの気候を元通りにさせた。まだ消化してないのもあったけど、仕方ない。作者の気が変わらんうちにクリスマスの日だけは確保しておこう。


「やっぱりお前らのせいだったか。サブロー司令官の自宅の桜の木がまた実ったって大騒ぎだったんだぞ」

「どーせルリナちゃんの水着目的でやったんでしょ」


 ちくしょー、タケルにフィーリアめ。オチだけの出番の癖して、こうもあたしにチクチク刺してくるのかしら。……まぁ当たってるけど。


「大体四季ってのは、その場の空気と風情があって季節を象徴されるものなんだ。例えばこたつの上でアイス食べてるのも何となく違和感を感じないか? それと似たようなもんだ」

「いや、それが好きって人もいるし……」


 タケルは久々の出番で張り切ってんのか、説教モードで長くなりそうな予感がしたあたしだったが、オチの方は意外な人が急に乗り出した。



「そうかしら? 私なんか、冬に桜餅食べて、スイカジュース飲んで、スイートポテト食べて、ストーブの前ので温んでるの好きだけど?」



 ………フィーリア。四季一周回って辿り着いたようなボケかますの止めてくれない? 突っ込みきれないわ!!




 ――おまけ――


「くっそぉ〜! 大学生兄弟の洗脳が解かれてしまったぁ〜!! 覚えてろトクサツ戦士めぇ〜!!」

「まぁ、えぇじゃろ。あいつらの大学費用の負担保証人はベクター大佐にしといて良かったわい」


「テメェこの俺が安月給だって知っての契約か!!?」



 大学経費を払ってくれる悪の組織って、一体……。



ヒロミ「全国の大学生の皆! 奨学金の返済は、アルバイトや社会人の給与を配慮して、計画的に返済しようね!」――――クルン♡︎



そしてブックマーク、感想、評価『★★★★★』等でこれまで以上にヒロミ達を応援しよう!

皆さんの応援が作者だけでなく、ヒロミ達のファンレターになります!


次回も『トク転』を宜しくね!!


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