燃え盛る剣
何回かジョシュアの魔法銃が火を噴いたが、それでも二人は散歩にでも来たかのような気楽さで、廃工場の内部を歩き続けていた。
「目につくのはゴミばっかり。せめて死体でもあれば荷物あさりができたのにそれすらないなんて……」
ひどく残念そうにエルザが言う。ジョシュアはその言葉に対してくつくつと喉を鳴らして応えた。
「こんなところで死ぬ奴はいない、ってことだろうな」
ジョシュアは笑い声をあげているが、目元は笑っていない。冷たい、冷たい瞳のまま喉を鳴らして笑っている。
「……ねえ、おせっかいだと思うけれどその笑い方直したほうがいいわよ。本当に気味が悪いわ」
エルザが言うと、ジョシュアの顔から笑みが溶け落ちた。
「本当に面白くて笑っているときはもう少しうまく笑えてると思うんだが……愛想笑いは苦手でな」
ジョシュアが咳払いを一つ落とす。それと同時にエルザの風魔法の探知機にも反応があったのか、エルザが前方を見つめた。
二人が注視していることに気付いたのか、気配の主は悠々と姿を現す。今までに比べてひときわ大きな犬型の魔物だ。魔物は一声遠吠えをすると二人の目の前に立ちはだかる
「まるで射的だな」
ジョシュアは言うが、エルザは一筋冷や汗を流す。
「まずいわ。大勢ここに集まってる。きっとさっきの遠吠えで仲間を呼んだんだわ。おびただしい数よ」
エルザの言葉に、ジョシュアはふっと穏やかな笑みを浮かべた。
「じゃあこいつを殺して、体勢を立て直してから皆殺しにしよう」
魔物は目の前の二人を食い殺そうと、口を開いて飛びかかる。だがジョシュアの銃撃がそれよりも早く、体に突き刺さった。体毛が燃え、魔物が悲鳴を上げる。
「あんまりいたぶるのは好きじゃないんだ。おとなしく死んでくれ」
そんなセリフを吐きながら、ジョシュアは魔物に走り寄りながら魔法を展開する。自らの左手に魔力を込め、左手ごと炎の剣で包み込む。
「『炎剣』、『パイロキネート』!!」
炎の剣は魔物の首をたやすく切断した。肉の焼ける匂いと、血の焦げる匂いがあたりに充満する。
あっけなく、戦闘は終わった。
「さて、それじゃあ離脱して皆殺しの用意だ」
ふっと穏やかに笑みを浮かべて、ジョシュアが言った。