ギルドランクC
ルーキーハンター達との戦闘から数週間が経った。ルーキーハンター達を返り討ちにしたことは珍しいことだったようで、少しずつステインの仕事も骨のあるものが増えてきている。
そして、一通の手紙がステインに差し出されていた。丁寧に封筒に納められたその題名は「ギルドランク試験のご案内」である。
ステインのギルドランクはまだ最下級のCランク。できる仕事は大きく制限されるし、名声もない。だがギルドランクBになれば、上級の仕事やギルド本部の施設利用にも多少融通が利くといった利点がある。
乗り気でないギルドマスターのエクスレイとは正反対に、エルザは乗り気だ。彼女はこのギルドを金稼ぎの方法としか見ていないようで、それ以外の名誉や栄光などはどうでも良いのだろうか?
「ジョシュア、君はどうしたいかね?」
「むろん参加すべきです」
エクスレイの問いに間髪いれずにジョシュアが答える。ジョシュアがこのギルドで得ることを望んでいるのは「名声と栄誉」である。だからこそ「ジョシュア・エンデュミオン」の名を轟かせるために参加を熱望しているのだ。
エクスレイその答えをきくと、大きく息を吸い込んだ。
「……わかった。では皆で参加しよう」
エクスレイは先ほどの態度はどこへやら、うきうきとした声色でそう言う。
「さっきまでとは正反対ね」
どこか言葉に棘を含ませながらエルザが問うと、エクスレイは咳払いを一つだけ落とした。
「えぇと、そう、そうだ。試験までそんなに日にちに余裕はないから、今のうちかた武器や道具の準備をしておいたほうがいいだろうね」
話題を無理やり変えようとしたようで、エクスレイはおどおどとした様子でジョシュアとエルザを交互に見遣る。ころころと表情の変わる老人は、どこか愛嬌をにじませている。
「ジョシュア、あなたまさか拳銃だけで参加するつもりじゃないでしょうね?」
エルザがいぶかしげに問うと、ジョシュアはゆっくりと、首を横に振った。