第8話 新グループ結成
その後、俺とリナは少し大きなクエストに行くことに決めた。
その際にもう一度サーチをすることにした。
今度はグループ入隊希望者募集だ。
サーチをするためには中心都市「ラミナ」にある共通ギルドに行かなくてはならない。
ギルドとは1つの小さな国の様なものだ。
ギルドは小規模のものから大規模なものまで大きさは様々で、グループと呼ぶ人も多い。
昨日の高校のグループもギルドってわけだ。
そして、そのギルド全てをまとめるのが、共通ギルドで、クエストに出発する手続きをするのもここだ。
共通ギルドに着いた俺とリナは早速グループメンバーを呼びかけた。
その間俺とリナは他愛ない話をしていた。
数分後。
承認の合図が届いた。
俺らは喜んだ。
こんな低レベルなギルドに入る人が今もいることに驚きながら。
そして承認してくれた人が共通ギルドに、そして俺らの前に姿を現した。
スキンからして女性だろうか。
黒髪ショートの女剣士の格好だ。
レベルも比較的高く20。
頼りになりそうだ。
「はじめまして!」
リナが話しかける。
するとその女剣士は無言だ。
微動だにせず無言。
どうしたのかと俺とリナは顔を見合わせていると、一通のチャットが来た。
[はじめまして。大学1年のミズキ、女です。仲良くしてください。]
なるほど、VC.はできないのか。
俺とリナは理解した。
「はーい!よろしくです!ミズキさん!」
リナが元気よく答える。
「よろしく。」
俺も答える。
するとすぐにチャットが送られてくる。
[ミズキでいいよ]
すぐに了解したリナは早速呼ぶ。
「了解です!ミズキ!」
ちらりと俺の方を見るリナ。
「よろしくな、ミズキ」
これでいいのかと、目線を送る俺。
無視られた。
依然としてミズキは無表情である。
表情の変化も場面に応じて行える。
画面右上のニコちゃんマークのところを押すと多様な表情に変更可能だ。
いちいち顔の表情を変えるための操作している場面は省かせてもらう。
あくまでリアルな現実のようなリアルタイムでの表情の変化をお楽しみいただきたい。
俺は一体誰に言っているんだ。
そんなことはどうだっていい。
ミズキか、仲良く出来そうだ。
そんなことを考えているともう一人、承認がくる。
俺らと比べると背丈が小さい。
小太りで髪がはねている。
「アバター」は黒色のコートで腰には剣が刺さっていた。
スキンからして男だ。
リナが話しかけようとするとその男が先に声を出した。
「なんだここは?俺みたいなつえー奴が必要みたいだな!仕方ねえ!俺がいてやるよ!」
なんだこいつは。
声からして小学生だろうか。
まだ幼い声がする。
でもしっかりとした、ガキ大将のような声だ。
レベルは19。
まぁ強いが、まぁ…。
名前は純白の翼。
うわっ。
そういう年頃だもんな。
年齢知らんけど。
すると俺の元に個人チャットが送られてきた。
ミズキからだ。
[コイツ、殺っていい?]
怖っ!ミズキ怖っ!
だめだ!ミズキ!
そんなことするな!
俺は急いでガキ大将もどきに話しかける。
「ああ、よろしく頼むよ」
「へ!そうだな!」
確かにミズキが怒ったのも理解ができる。
だが、グループになった以上俺らは仲間だ。
「君のことをなんて呼べばいいかな?純白の翼って呼びづらいからさ」
リナとミズキも隣で頷く。
「へっ、そうかそうだな。俺のことは翼様とでも読んでもらおうか!」
あー。
その時個人チャットが届く。
2通だ。
リナとミズキから。
[ゴミ]
[厨二]
おい!お前ら。
まさかこれアイツの名前案か?
俺に言わせようとしてんな。
自分で言え全く…。
「リナはそれでいい?」
俺はリナに問いかける。
リナからは静かにチッと舌打ちが聞こえ、俺の方を睨んだ。
何だ?
こいつももしかして怖い系か!
すぐにリナは答えた。
「うぅーん、い、いいんじゃないかな?ミズキはどう思う?」
ミズキも無表情ながらリナの方を睨んでいる気がした。
なかなか話さないミズキに純白の翼は気づいた。
「あ?おねーちゃん喋れねーの?口ついてるでしょ?」
ばっか!こいつ!
ミズキが剣に手をかけた。
「待て純白の翼!ミズキはチャットで話すんだ!ちょっと待ってろ!」
俺は仲裁に入る。
「そうよ厨二!待ちなさいよ!」
リナも同情する。
それより厨二ってお前。
気づいていなかったみたいだからいいけどな。
するとグループチャットでミズキの返答が来た。
[いいんじゃないっすかー( ̄∀ ̄)]
棒読みだ。
「だとよ」
俺が言う。
「よっしゃ、よろしく頼むぜ!カイト!リナ!ミズキ!」
こいつは…
馴れ馴れしいな。
まぁいいが。
ミズキ的にはよくなかったらしい。
剣を今にも抜きそうだった。
なんとか俺とリナで止めているとまた承認の通知が来た。
「また来た!」
レナが嬉しそうに言う。
ミズキの溢れんばかりの怒りも収まった。
共通ギルドに入ってきたのはまたもや小さめな男の子スキンだった。
レベルは5。
一番下か。
でもこのグループにレベル制限はない。
白髪がよく似合う青い目をした男の子だ。
「よろしくな、」
俺が言う。
「よろしくー!」
リナも隣で答える。
するとその男の子はもじもじしているような口調で話し始めた。
「あっ、は、はじめまして、あの、ツカサと言います…」
どんどん小さくなっていく声に可愛らしさがあった。
するとミズキから個人チャットが届く。
なんだ?
グループチャットでいいじゃないか。
[惚れた\(//∇//)\]
はぁぁぁぁぁぁ!?
惚れた?
馬鹿な?!
俺はすぐさまミズキにチャットを送る。
[冗談だろ?]
すぐ返ってくる。
[ううん。タイプドンピシャ(≧∇≦)]
まじかよ。
なんて言ったっけ?
こういうの。
ロリコン?違う、ショタコンか!
[とにかく、挨拶くらいしろよ]
俺が催促していると翼が声を上げる。
「なんだよ、もっと声あげろよ!男だろ?しっかりしろっ!」
まぁわからんでもないが。
でも年上に囲まれたら誰だって緊張するだろう。
お前は少し肝が座りすぎた、翼。
隣にいるミズキの目は暗殺者のような目をしていた。
あ、殺すわ。
ミズキを止めにかかろうとしたが、もう手遅れそうだ。
手には剣が握られている。
今にも襲いかかろうとした。
その時。
「ごめんなさい、翼さん。今度から気をつけます…なので、その、よろしくお願いします!カイトさん、リナさん、それにミズキさん」
にこっとツカサは笑った。
俺らに風が吹いた(実際は感じただけだが)。
暖かい優しい、春を感じさせる風だ。
隣のミズキが膝から崩れ落ちた。
「ミズキ!」
「ミズキ?!」
俺とリナの呼びかけにも動じない。
これは堕ちたな。
数分後。
俺の個人チャットに1通の通知が来た。
[しあわせ…]
だめだこりゃ。
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第8話、見てくださり本当にありがとうございました!