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第6話 出会い

夜8時。


夕飯のため一時的にやめたが、すぐに再開した。


カイト2027のレベルは7。


とっても弱い。


しかし、ネットの情報ではこれはSNSアプリとしても確立しているらしい。


レベル高い低い関係なくチャットや電話や掲示板をすることができるのだ。


だからネット上で出会うだけならばレベルは関係ないらしい。


しかし、そこから一緒にクエストをするとなれば話は変わってくるそうだ。


何はともあれ、先程からずっとサーチしているのだがなかなか引っかからない。


「サーチ」というのは一緒に戦ったり、会話したりする仲間を見つけるために自分のプロフィールを公開し、興味を持ってくれた誰かが俺のことを承認してくれればその人と仲間となることができる仕組みだ。


でもレベル7でクエスト参加希望者なんか足引っ張るだけだと思われて承認なんかされないんだろうな。


そんなことを考えていたが。


俺に希望の光が射した。


突然画面に「承認されました」の文字が。


早速相手のプロフィールを見るとレベルが同じの初心者みたいだった。


名前を「リナ」と書いてあった。


名前からすれば女の子っぽいが、わからない。


俺はすぐさまフレンド申請をし、VC.ができるかどうかチャットを送った。


返事はすぐに帰ってきた。


[もちろんOKです( ̄^ ̄)ゞよろしくです!(●´ω`●)]


ふむ…


これで男だったら引くな。


そんなことを思いながらVC.を繋げる。


誰かわからないと人なら話せる。


高校生活になんら影響をもたらさないからだ。


「こんばんは…」


俺は控えめに声を出した。


するとすぐにかえってきた。


「は、はい!こんばんは…えっと、は、はじめまして!」


声からして女の子だった。


「リナさんは女子…?」


控えめな表現で聞いてみた。


「そ、そうです…高校1年生です…」


まさかの同年代。


「そうなの?俺も高1だよ。奇跡的だね。」


「そ、そうなんですか!?や、いやーすごいな、まさか同年代の人と出会えるなんて。」


「同年代だから敬語なしにしない?」


「い、いいんですか?やったー!嬉しいです!」


俺は楽しかった。


これだ。


これが高校でやりたかった会話。


それから俺とリナはとても親密な関係になっていった。


リナは結構伝説とかが好きなようで、魔王軍を倒してくれる勇者を待っているらしい。


驚くことにとても話が合った、というか話しやすかった。


姿はやはり女の子。


さらりと肩まで伸びた黒色の髪の毛が綺麗だ。


リナは女剣士の格好だった。


スキンの話をしていなかったか。


スキンはこの世界の自分の分身のようなもので、ガチャによっては「キャラクター」と呼ばれる"放置"によって能力値が上がるスキンも得ることができるが、それが得られなかった人は自身で自分の分身である「アバター」を作ることができる。


無論、俺はそれだ。


リナも俺と同じ「アバター」みたいだったが、俺のように質素な服ではなく、ちゃんとした女の子っぽい戦闘服だった。


その後はカフェに行って話したり、簡単なクエストに行ったりと、とても楽しい時間を過ごした。


時刻は11時。


そろそろお互いやめることにした。


俺は満足だった。


こんなに楽しいことをしたのは何年ぶりか…!


雑魚呼ばわりされていたグループとは大違いで、とにかく楽しかった。


高校生活はこうでなきゃな。


俺は明日に備えて寝た。




翌日。


教室に入ると早速クロミナの話で持ちきりだった。


まぁだろうな。


昨日は散々やられたからな。


レベルが高かった奴らは30日間待つんだろうか。


それとも俺みたいにログアウトするのだろうか。


クロミナのグループが話している近くにある俺の椅子に座ると話がよく聞こえてきた。


「やっぱり俺らは敵わなかったんだよぉ〜なんで魔王軍なんか行ったんだろう…やめとけばよかったぁー」


「まぁでも仕方なくない?それがうちらの実力だったってことで。」


「でもさ、30日間できないのはきついよね、」


「だよねぇ」


「そういえばアイツ、何も役に立ってなくね?」


俺のことだ。


「そうそう、アイツなんてグループにいなければよかったのにね」


理不尽極まれない発言である。


まぁ事実だから仕方ない。


しかし、そこで思いもよらぬ人から声がした。


「そんなことないよ」


楓だ。


「カイト君は必死で俺を助けてくれた。最後の攻撃ができたのはカイト君のおかげだ。でもあの時俺の魔法でみんなを転送させればよかったんだ。悪いのは俺だよ…」


まさかのカースト1位からの発言。


さらにもう一人続く。


「そうよ。カイト君は私も助けてくれたわ、私を助けたせいでカイト君は倒れた。命を張って助けてくれたのよ。」


あれは確か高木佐奈(たかぎ さな)っていう女子か。


「だからカイト君を悪く言わないでくれ。」


楓の最後の言葉にみんなが丸くなる。


俺もなんだか恥ずかしくなってきた。


俺の目線に気づいた愚痴をこぼしていたクラスメイトたちは俺の方に近づいてきて言った。


「ごめん、カイト君、悪いこと言っちゃって。」


3人ほどから謝罪を受けた。


俺はすぐに返した。


「いや、気にしないで。所詮俺は雑魚だからさ。逆にこんなことしかできなくて申し訳ないよ。」


「カイト君…」


これくらいのフォローで大丈夫だろう。


このまま3人は引き下がると思ったが続けた。


「でも俺ら君のチャット無視して動いて…結局一番あの場で理解していたのはカイト君だったことに気づかずに…」


「いや、俺は大丈夫だよ。レベルもこのアカウントにも未練はないからさ。またアカウントを作り直してみんなみたいに強くなれるように頑張るよ。」


そう、俺は所詮雑魚。


何もこのクラスメイトのことを悪く言う権利は備わってはいない。


授業が始まるチャイムとともに解散していく。


これでいい、これでいいのだ。


まだ高校生活は始まったばかり。


焦る必要は無い。


そう俺は自分に言い聞かせた。

ご意見、不透明な点ありましたら是非お聞かせください。(もちろんご感想もお待ちしております)

毎日投稿していきますので、よろしければブックマークしていただけるととても嬉しいです!

最後に。

6話、最後まで見てくださり本当にありがとうございます!

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