第5話 ギルドの違いと3人目
投稿頻度遅くて申し訳ないです。
改訂版の投稿をはじめました!
この世界とは少し仕組みが細かく設定されていて、初めからVRMMOが導入されている世界です。
もしかしたらそちらの方が読みやすいかも……。
是非チェックお願いします!
最後の1人がログアウトをするとこの中心都市「ラミナ」には俺と小柄な少し赤らめている顔がデフォルトな「リン」だけだった。
周りには瓦礫が散乱し、近くの建物は半壊していた。
土煙が発生し、遠くまではあまりよく見えない。
彼女こそが俺とは違い、魔滅シリーズを手にした技術、経験値諸共最強プレイヤーだ。
「君は……」
「リンって呼んでください!」
凄い勢いで名前呼びを要求された。
「……リンはいつからクロミナをやってるの?」
「……だいぶ昔です」
"昔"という曖昧な言葉遣い。
5年前や実装と同時に、ではなく"昔"。
覚えていないほど過去の話なのか。
5年前くらいの記憶は残ってるとおもうんだけどな。
俺はそこに何故か違和感を覚えた。
「覚えてないの?」
「え、あ、う、うーん、よ、4年くらい前……かな?」
慌てるような言葉が聞こえた。
それと同時に俺に聞いてきた。
「か、カイトさんはいつからクロミナをやってるんですか?」
こちらがタメ口で発言しているのに対して相手は敬語か……年齢的に自分が下だと判断したのか。
そんなことを考えていた俺はこれまでの人生を話した。
「なりたくて"放置民"になったんじゃないんだ。最強も特に目指していたわけではない。俺は実装と共にこのクロミナにログインした。"あれ"がなかったら俺もあいつらやリンみたいな"上級プレイヤー"になっていたに違いない。」
「"あれ"?」
「ああ、俺はクロミナが実装されたその日に心肺停止で病院に搬送されたんだ。」
「ええ?!し、心肺停止?!」
「そうだ。だから止むを得ず5年という月日、このゲームを放置せざるを得なかった。」
リンは少し暗い声で そうなんですね、と言った。
少しの沈黙が流れたあと誰かの声が聞こえてきた。
遠くからなのであまりよく聞こえない。
遠く、というよりは小さくて聞こえないの方が正しいだろう。
リンは少し俯いた様子で固まっていた。
「……リン、またお前はインターネットをやっているのか?……」
男の太い声がリンから響く。
「……もし現実世界とリンクしたらどうするんだ?!少し勉強が足りないんじゃないか?あまり言うこと聞かないと………お仕置きだぞ」
親なのか、少し説教じみた言葉が分かる。
現実世界とリンク……?
インターネットを介して事件が起きたらいけないという親の娘に対する防衛精神なのか。
ゲーム世界のリンではなく、現実世界のリンはごめんなさいを連呼していた。
そして何かを殴る音さえも、聞こえた。
……虐待?!
いや、そう決めるのはまだ早い。
スマホを地面に落としただけかもしれない。
自分にはどうすることもできない問題である。
声を押し殺して佇んでいた。
その後、その男は部屋から出て行ったのか、リンからは何も聞こえなくなった。
そのあとリンは何事もなかったように、
「すみません、こっちの用事で……」
リンは申し訳なさそうに頭をかく。
「大丈夫なのか?」
「え」
リンは素っ頓狂な声を上げた。
「もも、もしかして……き、聞こえてましたか、?」
恐怖心なのか、羞恥心なのか、声が震えて聞こえる。
答えは後者だったようだ。
急にはわわわわと慌てだし、顔を更に赤く染めた。
「すみません、み、ミュートにしたはずだったんですが、お、お見苦しい所を聞かせてしまいました、。」
「それはいいけど、ご両親とはうまくいってるの?」
俺は言ったあと後悔した。
そんなことを聞く必要はない。
ただの赤の他人の両親の話なんて関係ないにも程がある。
それはリンも同じだろう。
関係ない人に両親の話をする必要なんて無い。
だが、リンは少し俯きながら、
「あまり上手くいってるとは、言えないかもしれないです。お父さん、少し厳しいので、」
リンは呆れたように笑った。
そうか、とそのくらいしか答えることができなかった。
その後、少しの沈黙が流れた。
すると遠くから誰かが歩いてくるのが見えた。
それはプレイヤーだった。
こんなもう事の終わりみたいな時にログインしたのか?
俺は少し疑念を抱いていると
「ここにいたのか、リン」
と男の声が響いた。
土煙の中から現れた人は青の鎧に身を固め、髪の毛も青く染め、ましてや目の色までも青にしている全身青色が嫌でも身につく印象だった。
その青色の人は背が俺とリンよりも少し高く、声の低さや落ち着いている様子から判断しても大分年上だということが伺えた。
「スカイルスさん!何してたんですか!!もう戦いは終わりましたよ?!」
すると落ち着いた様子で
「いやー、悪い悪い。こちらも他ギルドと色々あってな。」
「他ギルド?もしかして、また"黒龍"ですか?」
「!なんで分かった?」
「いや、先程お会いしたものですから。」
2人が何やら高次元な話をしているのをただ立ち竦むことしかできなかった俺に気づいたリンは、すかさず俺に紹介してくれた。
「あ、紹介しますね。こちらの青い人は……」
「おい、青い人とはなんだ青い人とは。」
リンが紹介しようとしたところで止めに入る。
「いいじゃないですか。青い人でも。第一印象は青なんですから。」
「……まぁ、いいか。続けてやれ。」
「はい。カイトさん。こちらの方は"クロミナ4大組織"の1つ、組織"鳳凰"の総統。"ブルー・スカイルス"さんです!」
「よろしく」
「よ、4大ギルド?鳳凰?」
突然知らない単語を幾つも言われたので思わず聞き返してしまった。
「はい!……ご存知無いですか?」
そこには「え?なんでわかんないの?」的な嘲る感じの感情はリンからは感じなかった。
ただ単純に知らないことに少し驚いているようだった。
「ああ、知らない。あんなに罵倒された位だからな。もしよかったら教えてくれないか?」
その発言は自分で言って少し驚いた。
自虐を含んだその発言はそれでも正確に自分の気持ちを正直に伝えているように感じたから。
「も、もちろんです!たっぷり教えます!」
「……いや、たっぷりじゃなくてもいいけどね……」
「いや、ここは私が話そう。」
スカイルスさんが割って入ってきた。
年上としてここは話しておきたかったのか。
まぁ、教えてもらえるのならどちらにしてもありがたい。
「"クロミナ4大組織"とはこの世界に存在する大きな4つの派閥の事だ。個人でも組織は編成することはできるが、これは少しちがう。これは公式に決められた組織だってことだ。」
「公式?つまり会社が……?」
「ああ、そうだ。クロミナの会社の意向に沿って設立されたのがこの4つの組織だ。まぁ、派閥間ではイザコザも多いんだけどな」
「"鳳凰"はどういうギルドなんですか?」
スカイルスさんはすこし考える素振りを見せた。
「そうだな。俺たちの表向きは"誰でも歓迎!私達と一緒に強くなりましょう"なんだが、実は裏では"魔滅"シリーズを持つ人が2人所属してるヤバイ組織だったりするんだ。」
「2人?!それって……」
俺が誰かを聞こうとした時。
スカイルスさんが来た方から誰かが来た。
「すいません、遅れやした〜」
そこには巨大な斧を背中に担いでいる黒系統の服で統一したボサボサ髪の青年が立っていた。
目は横に長く、目の下にはくまができていた。
「お、来たか。今丁度お前たちの話をしてたんだ。」
「なんすかそれ?面白い話っすか」
「いや、彼にね」
スカイルスさんがこちらを向くとその青年もこちらを見てきた。
「あんたが最強プレイヤーっすか。いや、何。風格からして強そうっすね。」
「いや。俺は最強プレイヤーなんかじゃない。俺はステータスが高いだけの所詮"放置民"さ。」
「な、なんでそんな気弱な声なんすか。その姿からはもっと迫力ある声出してくださいよ」
「そんなこと言われてもな……」
すると俺に聞こえない位の声でリンに話しかけていた。
リンは俺にも聞こえる声で先程俺を罵倒して帰った集団の事を事細かに説明した。
すると。
「あ?何だその糞みてぇな話笑えるわ(笑)何が悪いんだよ。このゲームは"放置ゲー"だろ?放置でレベルを上げて最強になって何が悪い。それで経験や知識が無いと言われてもどうしようもねぇだろ。つーか言ってるテメェらも経験知識そんなねぇだろカスが。上級プレイヤーが経験値溜めをしてレベルを上げていくようにカイトさんは放置をすることでレベルをあげたんだ。そこには慣れや実質的な強弱は生じるとしてもステータス、レベル部門で最強プレイヤーなのに変わりはない。それに話に総合力を持ってくるのはあまりに都合がいいわ。それはただの上級プレイヤーの弱い抵抗に思えてならねーな。」
「…………」
あまりに早い速度で正確に先ほどの集団の罵倒をするものだから驚いた。
そしてそれは俺にとってとても清々しく感じた。
「で、ですよね!あー、あの場所に死神くんもいてくれたらよかったのに……」
「いや。いなくて正解だっただろう。いたら今のように相手を罵倒し、怒りのあまり皆殺しにしていただろう。」
「なんすかそれ。俺がなんか狂犬みたいな扱いじゃないっすか。まぁ皆殺しにはしますけど。」
「死神くん?」
俺はリンの発言から汲み取ったプレイヤー名と思われる名前を読んでみる。
するとその青年がまた無気力な声を上げた。
「あぁ、俺の名前っす。"shinigami"っていう名前のプレイヤーなんでコイツが君付けで呼んでるだけっす」
「こ、コイツって呼ばないでください!私にはリンという名前があるんですから!」
「あぁ、そうだな。」
「カイトくん。彼が先程話していた2人目の"魔滅"シリーズの所持者だよ。」
「魔滅シリーズ所持者……!」
「まぁ、そんな御大層なもんじゃねぇっすけど。一応この背中のやつが"魔滅戦斧シャイリウム"っていう代物っす。」
憤怒しているリンを放っておいて俺の方を向く。
「なんで、気軽に名前で呼んでくだせえ。俺も気軽に呼ばせてもらうんで。」
「年齢は……」
「年齢とかは関係ないっす。俺がこの人ならタメ口でもいいかなって思った人にはタメ口を認めてるだけなんで。カイトさんはタメ口でいいっすよ。俺は癖で初対面の人には敬語長になっちまうんすけど。まぁこれが気軽なんでそうさせてもらいますね。」
「わ、分かった。気軽に呼ばせてもらう。」
「あーー!ってことは私にはタメ口で呼ばれたくないってことですか?!なんなのその差はーー?!」
「別にいいじゃねぇか。」
「別にいいんだけどねー?!」
別にいいんかい。
最後まで見てくださりありがとうございました!
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改訂版の方が違和感ないです(笑)
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