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第8話 波乱の予感


黒川さんとチャットをしている最中、俺の元には一通のメールが届いた。


それは澤田社長からと思われるものだった。



カイトくん。もしよかったら連絡先を交換しないかい?君を呼び出すときにも便利だからね。それと、今後のことについても意見等を貰いたい。返信を待っているよ。

澤田



連絡先交換か。


俺は断る理由も特にないのですぐさま返信した。



もちろん大丈夫です。メタリアのことも何か進展があったら教えていただけると嬉しいです。



メタリア…。


彼は今どこで何をしているのだろうか。


彼の目的は俺を倒すこと、そしてクロミナを破壊することだ。


何が狙いなんだ?


俺を倒したところで実際なんの利益もない。


ましてやクロミナを破壊するなんて以ての外だ。


となると、目的は別にあると考えたほうがいいな。


俺は考えながら机に向かうことにした。



4月12日火曜日朝5時。


やはりクロミナが無いと早起きできるな。


俺は早起きできない理由をクロミナのせいだと考えていた。


その時にスマホのチャットアプリに通知が来ていたことに気がついた。


黒川さんからだった。


まずい…。


昨日の17時30分にチャットを送ってもらっていた……。


まずいことになった…。


初めてできたチャット友達の通知を無視してしまっていた。


こんな朝早いけど返したほうがいい。


まず謝ろう。


俺は黒川さんのチャットを見た。


相変わらずだな。


黒川さんはやはり聖騎士ファンだった。


そこは揺るがないな。


俺は少し安心したように笑った。


当然ながら黒川さんは聖騎士が好きであって、カイトのことが好きなわけでは無い。


もしカミングアウトするようなことがあってはまたリナのように幻滅させてしまうこともあるだろう。


黒川さんには話さないほうが絶対いい。


本当に好きなものが汚されるのは一番精神的にキツイと思うからだ。


俺はそのことも踏まえ、チャットを打った。



[おはよう。昨日は返信できなくて本当にごめんなさい!黒川さんはやっぱり聖騎士が好きなんだね。崇拝してるみたいで面白い笑]



驚いたのはこのチャットを打った数秒後に既読がついたことだ。


起きていたのか?


それにしても早いな。


俺は今度こそは未読スルーはしないと、トーク画面で構えていた。


すると数秒後。



[おはよ。全然大丈夫だよ!気にしないでね。うん!好きだね笑木下君はどんな人がタイプなの?]



え、?


黒川さんの切り返しに驚いた。


そこで俺のタイプを聞いてくるのか!


勉強になるな。


それにしても好きなタイプか…。


考えたことも無かったな。


だめだ。


考えてもどうも経験が少ないせいか、こういう時どういう返答をすればいいのかわからない。


俺は既読スルーと思われるのも嫌なのでなんとなく返しておいた。



[優しい人かな]



恥ずかしい!


なんだその返答!


まぁ嘘では無いから大丈夫か。


そうだよな、そもそもタイプっていうのは人のことだよな!


これでポ○モンのタイプとかだったら恥ずかしくて気絶するまであるけど流石にさっきの話の流れからして無いよな!


俺は再び返答を待った。



[他には他には??]



いやいや…。


殺す気ですかね?


質問の意味は合っていたことがわかったがさらに要求してきたか。


どうしよう。


俺が数分間考えていると先にチャットが来てしまった。



[ごめんね、困らせちゃったよね。朝早くからごめんね]



いや、そんなことないんだが…。


俺が返信しようとチャットを打っていると続けてチャットがきた。



[また学校でね。学校でも話しかけてくれたら嬉しいな〜]



いつのまにか会話が終わっていた。


その後も俺が了解したことを伝えただけだった。


チャットって、難しい。


その事実だけが残った。



日が昇り、鳥のさえずりが聞こえる。


俺はいつも通りの道をいつも通りの速さで歩いていた。


またいつも通り、何事もなく1日が終わると思っていた。


だが。


自分の下駄箱を覗いたときから何かが始まっていたらしい。


上履きの上には1つの手紙があった。


今時手紙なんて珍しいな。


普通ならメールとかでやり取りするものだと思うのだが。


俺は中を教室でじっくり読もうと思い、懐にしまった。


教室に入ると黒川さんがいつも通り俺の隣の席で座っていた。


「おはよ、黒川さん」


俺に気づいた黒川さんは笑って


「おはよう、木下くん」


と返した。


俺が荷物を降ろしながら座り、懐から取り出した手紙を机の上に置くと黒川さんが話しかけてきた。


「き、木下くん?そ、それは…。」


随分と驚いているようだった。


なにを驚いているんだ?


「ああ、なんか朝下駄箱に入ってたんだよね。なんだろ?」


黒川さんは大きく目を開いてこちらを見ていた。


「それって、ラブレターだよ!」


「ラブレター?」


「うん…多分だけど、下駄箱に手紙なんてラブレターしかないよ」


俺は考えた。


確かにな。


ほかの手紙だったら家のポストか、直接渡せばいいもんな。


てか、ラブレター?!


俺が?


まさか、そんなことないだろう。


だって友達も1人しかいないインキャだぞ?


「な、なぁ黒川さん。そんなことはないんじゃないか?俺なんかが手紙なんてもらえるはずないし。一番近くで見てきた黒川さんならわかるんじゃないか?俺はインキャみたいだって。」


「そんなことないよ。その…木下くんだってモテると思うよ?」


黒川さんもどこか恥ずかしそうにしているのが見て取れた。


俺も恥ずかしくなってきた。


手紙をもらうということは緊張するものだな。


俺は兎に角中を見てみることにした。


そこにはこう綴ってあった。



木下戒斗君へ

私は戒斗君に伝えたいことがあります。

今日の放課後に体育館裏に来てくれないかな?

他に用事とかあるようならこの手紙は捨てていいから。

待ってるね。

神谷



うわぁ。


黒川さんも覗いてきた。


これはどう見てもラブレター…らしい。


呼び出す所も典型的だな。


神谷…聞いたことのない名前だな。


俺は黒川さんに聞いてみた。


「黒川さん、神谷って人知ってる?」


即答だった。


「も、もちろんだよ…この学校1の美少女とも言われる人だよ…知らないほうがおかしいよ…」


黒川さんはどこか落ち着きがない様子だった。


学校1の美少女からのラブレターか。


俺はその人のことについて無知だ。


そして、この手紙が本当にラブレターなのかもわからない。


確かに典型的なラブレターとも見て取れるが、実際は違うことだってありえる。


「放課後行くの?」


黒川さんが聞いてきた。


「うん…一応行ってみるよ。」


黒川さんは小さく頷くと前を向いてスマホをいじりはじめた。


さて、どうすることか。


俺には情報が無さすぎる。


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