第6話 クロミナの無い日常
クロミナは長期メンテナンスに入ったため多くのクロミナプレイヤーは暇になったことだろう。
4月10日日曜日。
クロミナ以外にメンバーと繋がっていなかったため、約一週間メンバーの声を聞くことはないと思うと少し心細かった。
今日は一日勉強しようと決めていた。
流石にここのところクロミナばかりやっていて勉強はあまりできていなかった。
この機会に勉強をしておこうという算段だ。
午前9時。
俺は勉強机に向かってペンを持った。
午後1時。
俺は少し休憩がてらネットサーフィンを楽しんでいた。
ネットにはクロミナの記事もたくさんあったが、その他のゲームもたくさんあった。
しかし、SNSアプリでもあり、ゲームでもある"クロミナ"はやはり強かったらしい。
今やSNSアプリの中で一番の人気を誇っている。
ゲーム目的じゃなくても使用できるため汎用性が高いのか。
その記事の中には今回の長期メンテナンスに関する記事もあった。
信憑性はわからないが、新しいバージョンのアップデートが来るのでは?とか、遂にあの新作ゲーム機器に対応か?などがあった。
どれも信じてしまいそうな記事だが、ネットの情報は鵜呑みにしてはいけない。
それも一つの情報として頭に入れておくぐらいがちょうどいい。
俺はスマホの電源を切り、ペンを持った。
4月10日日曜日。
午前10時。
「寝坊したぁ…」
私は無意識のうちに止めたためであろう倒れた目覚まし時計を直して起き上がった。
昨日の夜からカイトのことを考えてなかなか眠れなかったのだ。
「・・・」
私は布団のなかに頭を擦り付ける。
カイトの声、姿が頭から離れない。
私、いつからこんなになっていたの?
その答えは出すことができない。
何故ならその答えを持っている私が答えられないからだ。
早く会いたいな…。
明日になれば学校で会える。
でもカイトは私に会ってもリナとは思わない。
黒川さんという彼の友達に思われるのだ。
話した方がいいのかな…
いや、それは無理!!
私と彼の友達という関係が壊れてしまうかもしれない。
そのあとに残るのはそれ以下かそれ以上だ。
それ以上になるんだったらいいな…
って、何言ってるの私は!!
無理無理。
話すなんて無理だよ!
例え話したとしたら何になる?
初めは驚くでしょ、そしてゲームの中の私と現実の私の差に驚いて軽蔑するでしょ、私死ぬでしょ、もう無理じゃん!!
そこで告白したら?
カイトは100%私のこと恋愛対象として見てないから無理。
あんなイケメンだもん絶対モテてたよね。
早くしないと誰かに取られる…?
いや、あのインキャ感だったら大丈夫だよね…。
とにかく、もし話すとしても彼女になってからかな…
な、なんてね!
私は布団から顔を上げて遅めの朝食に向かった。
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