第16話 メール
「メタリア?!」
馬鹿な…!
あの今まで一緒にいた男がチーター?!
いや、確証はない。
「澤田社長!この世界に暗視の能力付与は課金でできますか?!」
「え、課金での能力付与はできないよ」
やられた…
俺らに課金したからと言っていたことは全て、"チート"だったのだ。
「何かあったの?」
「澤田社長…さっきまで僕らが一緒にいた男いたじゃないですか?」
「ああ、そういえば5人グループだったね、君のグループは」
「その中にメタリアがいました。」
「?!証拠はあるのかね?」
「?澤田社長はあの場にいて聞こえなかったのですか?」
「いや、あの男の存在は知ってる。だがその男の話の途中で聴覚コンピュータが遮断されたんだ。奴だったとしたら妨害電波のようなものが飛ばされていたのかもしれないね…」
「それだけではありませんよ…そのチーターが何の変哲も無いカエルに妨害電波を流したとは考えられません。」
「!ということはつまり、」
「ええ、澤田社長の存在を認知していたということになります。」
俺の存在を知っての行動か?
だとしたら全てに説明がつくな。
「つまり、僕らが繋がっているということもバレたということになるね…」
「そうなりますね…」
かなり澤田社長は焦っていた。
それはそうだろう。
運営会社の社長がこのクロミナの世界を陥れようとしていた存在と接触してしまった、ということになる。
それはまずいところまでいくと、社長のクロミナを動かす全権限を奪われる危険性まで出てきてしまうということだ。
すると、その時。
俺に一通のメールが来る。
「誰からかね?」
「見てみます」
俺はメールを確認すると目を丸くしてしまった。
「メタリアからです!」
俺が声を出すと澤田社長もメールを覗いてきた。
メールを見るとこう書いてあった。
『おめでとう!カイトくん。
魔王を倒したみたいだね。
君がこの世界最強だってことは知ってたよ。
僕はそれがとても憎い。
君は僕が倒すよ。
君は結局、僕と戦う運命にある。
僕のことは大分バレちゃったかな?
近頃クロミナ界でまたすごいことをしようと思ってるんだ。
澤田社長にもよろしくね。
それじゃ。
すぐ会えると思うよ。』
こうして、クロミナ界全てに俺の名前が知れ渡ったと共に、新たな敵が俺の前に立ちはだかるのであった。
第2章ー周知編ー完




