第14話 聖騎士vs魔王
ようこそ。
俺は魔滅剣を空に向けた。
魔滅剣は虹色に輝き、この場にいる全てのプレイヤーに光った。
『そ、それは魔滅剣……?!く、くそ!おのれぇぇ!!』
魔王は魔法を打った。
[闇魔法=ギガダークボール]
魔王が放った巨大な漆黒の球体は俺めがけて飛んできた。
俺は空高くに掲げていた魔滅剣を静かに振り下ろす。
キンッ!
漆黒の球体は綺麗に斬れ、消滅した。
そして、俺の剣が生んだ風圧により前方のコロシアムが崩壊した。
『お、おのれぇぇ!』
その後も魔王は魔法を打ち続けた。
[闇魔法=ギガダークボール]
[闇魔法=ギガダークボール]
[闇魔法=ギガダークボール]
[闇魔法=ギガダークボール]
俺は時間があまりないことに気づき、一つずつ斬っていたら間に合わないことを悟り、武器スキルを使うことにした。
武器スキルというのは剣術スキルとはまた別のもので、武器固有の技のことである。
必殺技みたいなものだ。
俺は剣を鞘に納めた。
そして、剣を握り、構えた。
全ての球体が並んだとき…
そして、魔王の動きが反動によって動かなくなっている…
今だ!
[武器スキル=シャイリアル・スラッシュ]
一閃。
俺の斬撃は球体と魔王、全てを貫通した。
武器スキルや、剣術スキルは魔力を消費し、自分の攻撃パターンの変化や、攻撃力を上げることなどができる。
俺の武器スキルは攻撃力特化。
魔物に対して攻撃力も上がるので、総合計攻撃力は153万2500だった。
ズゥン…と魔王は倒れた。
その瞬間、クエストクリアを知らせる音が鳴り響いた。
周りにいたプレイヤーは歓喜の声を上げた。
しかし、俺の攻撃でも魔王の体力メーターの減少速度は遅かった。
やはり150万くらいの体力はあったのか。
俺は剣を鞘に納めた。
すると後ろからリナが走ってきた。
「…カイト?カイトなの?」
リナに聞かれる。
「ああ…」
俺は静かに答える。
「リナには話さなくちゃいけないことがたくさんあるんだ。今まで隠してたことも謝らないといけない…」
リナはこちらを見てくれない。
「騙してたってこと?最低…」
静かにつぶやく。
でもその声からは怒りは感じられなかった。
「でも…来てくれるって、信じてた!」
リナはこちらを見て笑った。
「それは聖騎士が?」
「ううん、カイトがだよ。」
「え?何で俺?」
リナはニコッと笑うと続けた。
「私はいつも信じてた。前のお花畑の時も。カイトが私を、私達を助けてくれるって。あの時いなくなったのは聖騎士になるためにシャットダウンしたからなのね?」
「ああ、そうだ。」
「学校でも除け者扱いされてる私と、初めて一緒にグループになったくれたじゃない?その時点で、私の中ではカイトは…その、聖騎士エグバートと同じくらい……」
リナは口ごもった。
俺の方をチラチラと見て顔を赤らめている。
「リナ。このクエストが終わって、『ラミナ』に転送されたらみんなと一緒に『ラミ=cafes』で待っていてくれないか?」
「え?カイトは?」
「俺は後から合流する。今、やらなくちゃいけない仕事があるんだ。」
「わ、わかった。みんなに伝えておく」
リナは反対側を向いて転送準備に入った。
「そこでさ!」
急な俺の言葉にリナは振り返る。
「今度は俺の話を…聞いてくれる?」
リナは、はっと気づいたような顔をして笑いながら
「いいよ!」
と答えてくれた。
俺はこの4階から最後に転送されたリナを見送った。
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