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第2話 4年後


大人気オンラインゲーム「放置対戦☆クロスラミナ」は今年で4周年。


アプリは全世界で20億ダウンロード、プレイヤーの数も比べ物にならないほど多くなっていた。


4年で大きなアップデートや、VC.の追加など、多くの機能が追加された。


それにより一種のSNSアプリとしても人気を博していた。


さらに、大手ゲームメーカーの製品や、PC版にも実装され、ますます人気になっていた。


そこで出てくる問題として何年も放置した複数のデータを裏で販売する行為が挙げられるが、クロミナはログインする際に自分のメールアドレスと、携帯電話番号、さらにはマイナンバーを入力することが求められるので、そこの点は問題ない。


プレイヤーの個人情報の管理は運営側はマイナンバーの管理はできない。


プレイヤーの個人情報が漏洩したらえらいことになるからだ。


なんといってもこのゲームの楽しいところというのはどんなことでも、どんな行動でも(規約に反しない限り)自由が認められているのだ。


この世界と、現実世界はリンクしていないため金銭のやり取りはできないが、ゲーム内で存在しているお金の賭けや、貸し借りはできることになっている。


また、最近では組織を作って協力して対戦するケースが増えており、メリットとすればダンジョン攻略が早い事がある。


しかし、デメリットとしてはレアなアイテムがドロップしたとしても獲得できるのは1人だけ。


なので組織には入らず、ソロでプレイするプレイヤーも多いそうだ。


しかし、初心者なら楽にレベル上げをすることができる組織への入隊が勧められるようになっていた。


このゲームは社会現象になっていた。




ここは「放置対戦☆クロスラミナ」の中の中心都市、「ラミナ」の2番街の一角にあるカフェ、「ラミ=cafes」。


この世界でのカフェの存在意義は待ち合わせ場所に使用したり、作戦を立てる場所に使用されたり、またはギャンブルが行われる場所としても使われている。


「ラミ」には何人かの客がいた。


カウンターにはマスターがいた。


流石にNPCである。


その客の中に二人の男が話していた。


「なあ、聞いたか?エルメス…超強い人の話!」


するとエルメスと呼ばれるタンクトップを着た体つきはムキムキで口に黒い鬚を生やした男が頷いて答えた。


「ああ、知ってるとも。なんせその人は三年前から始めて3年間放置してたんだったよな、運営も過去最長って報告してたよな!まじすげーよな!」


「ああ、でもこんな面白いゲームよくプレイせずにいられたよな、俺なんか毎日やってなきゃ気が済まねーぜ?」


「でもこのゲームの醍醐味は放置だからね…放置すればするほど強くなる!…でも運営は意地悪だよな、どんどん面白いステージ導入してくるしさ〜」


「放置させる気ねーよな」


二人はそれなーとお互い笑いながら話していた。


それから二人は顔を見合わせ、話を変えた。


「それとさ、サクヤ…伝説の剣の話、知ってるか?」


サクヤと呼ばれる金髪スーツのいかにもヤクザっぽい男は答えた。


「もちろん知ってるとも、ゲームが導入された直後のガチャで低確率で排出されたこの世界に一本しかない幻の剣だろ?あれは今誰が使っているのか謎に包まれていて、今もなお使用されていなくて力を蓄えてるっていう噂もあるっていう…」


「そうだ、その剣が新しく実装されたダンジョンの中に隠されてるかもしれないって言う情報が手に入ったんだ!」


サクヤは目を丸くした。


「ほ、本当か!?それだったら行くしかねーじゃんか!」


サクヤとエルメスは興奮していた。


二人はダンジョンに行くことを決意し、すぐさまその場所に向かった。




転送魔法(テレポート):解除!」


サクヤとエルメスは今日実装されたダンジョンにやってきた。


"転送魔法(テレポート)"とは自身の体を特定のポイントに転送させることができるとても便利な魔法である。


魔法も一年前に実装されたばかりである。


「うっへぇー」


サクヤは嫌な顔をしてダンジョンの方を見た。


そこには大きな人だかりができていた。


「おいエルメス、俺らだけの情報じゃなかったのか?」


「情報が拡散されていたみたいだな、流石に俺ら2人だけの情報じゃあ差別が生じちゃうからな」


サクヤは渋々ダンジョンの方へ歩いて行った。


マップには沢山のプレイヤーが表示されていた。


そこには1つの青い大きな点が表示されていた。


サクヤとエルメスは顔を見合わせた。


「あれは…」


サクヤとエルメスの目の前には黒光りした鎧で身を固めた騎士が立っていた。


そこの周りには大きな人だかりができていた。


そう、あの騎士こそが先程話していた3年間放置していた現世界最強のプレイヤーと呼ばれている…


「"聖騎士デュラム"!!」


2人は大きく声をあげた。


2人も見るのは初めてだったからだ。


聖騎士デュラムは大きな組織を形成しており、このダンジョンを攻略しに行くそうだ。


「なぁ、サクヤ、俺らも入れてさせてもらうか?あの人について行ったら攻略できそうじゃね?」


「…いや、やめようぜ?エルメス…俺らは組織は作らない、入らないって決めたじゃねーか。それに、付いて行った所で得られるものはないだろ?」


エルメスは少し考えるとそうだなと言って考えを改めた。


聖騎士デュラム等がダンジョンに入ろうとした次の瞬間!


「おいエルメス…なんだこの黒い大きな点は…」


サクヤが見る方にはマップがあり、そこには1つの黒い大きな点が存在していた。


さっきまではなかったのに…。


するとそこには、頭から角を生やし、羽を生やしたあたかもファンタジーの世界の悪魔のようなモンスターが立っていた。


その悪魔は一瞬で周囲のプレイヤーを一掃した。


圧倒的な強さだ。


サクヤとエルメスはなんとか岩の陰に隠れることができた。


見ると聖騎士デュラムと悪魔が一騎打ちをしている様子だった。


サクヤとエルメスは何が起こっているのかわからなかった。


一瞬にして何十ものプレイヤーが気絶した…ゲームバランスが崩れるほどの強さだぞ?!


2人は聖騎士デュラムと悪魔の一騎打ちをしばらく見ていたが、結果はすぐ決まった。


聖騎士デュラムが地面を舐めた。


サクヤとエルメスはどうすることもできなかった。


しかし足音がこちらに近づいてくるのがわかった。


サクヤはこのままではまずいと、エルメスに伝え、逃げることにした。


後ろを振り返らず、真っ直ぐな道を歩き続けた。


すると一瞬悪魔が後ろに姿を見せたかと思うと、画面が少し暗くなり、一度も見たことがなかった、気絶したことを知らせるとともに、復活のチャンスがあるカウントダウンが表示された画面が出てきた。


このカウントダウン中にほかのプレイヤーが気絶中の自分を蘇生させることで復活することができる。


しかし、2人とも気絶したらしい、カウントダウンは100秒から0になっていた。


するとスタート画面に切り替わり、再度「クロミナ」の世界に2人は入った。


するとそれと同時にメールが届いた。


このメールはプレイヤー全員に配布されるもので、閲覧できないプレイヤーは存在しない。


エルメスが読み上げた。


「"魔王軍襲来!討伐クエストLV.☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆"?!!」


2人はひどく驚いた。


なぜならこれまでの最高難度の討伐クエストのレベルは☆☆☆☆☆☆だったからだ。


いきなり☆10のクエストを見たらそれは驚くものであろう。


それは「クロミナ」をプレイする全てのプレイヤーがそう感じただろう。


それから半年…プレイヤーは何度も、何人もこのクエストに挑戦した。


しかし、

運営の製作ミスなのではないかと思うほどの強さであるため、クエストをリタイヤする人も多々いた。


しかも、魔王軍に負けると最大1ヶ月、プレイすることができなくなるペナルティも兼ね備えられていた。


このクエストは攻略できない…


誰もがそう感じていた。


そして、いつしか"伝説の剣"の存在を信じ、待つものも現れた。


そして…魔王軍の襲来から1年が経過した5周年アニバーサリーの日がやってきたのである。


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