番外編#1 戒斗の空白の1年間
番外編なので直接本編とは繋がらないので読まなくても本編は理解できますが、読んでくださると嬉しいです。
気になっていた方もいた戒斗の勉強づくしの1年間のお話です。
2025年4月1日。
僕は遂に医師から少しだけ動いてもいいと言われた!
やった!
遂に僕は少しだが自由になれる!
体が動かせることがまず第1の喜び!
あと、高校受験には間に合ったことが第2の喜びだな!
僕は嬉しくて飛び跳ねそうになった。
だけど、流石にその動きはやめたほうがいいって言われちゃった。
僕は2年間遅れてる。
他の中学生よりも2年間。
だから人一倍努力しなきゃ、いけないんだ!
僕は強く決心し、頭も身体も、そして小学生の頃の語彙力ではなく、高校で普通に話せるくらいの語彙力が欲しい!そう思っていた。
1ヶ月が経った。
僕は「高校入学の時に覚えておきたい100のコト」「高校生レベル語彙力」の2冊を読みまくった。
1冊目の本の方では一人称は僕ではなく、"俺"の方がいいと知った。
僕はこの日から改善し始めた。
「高校レベル語彙力」は付属のCDで実際に高校生と話してみる体験型学習を通して着々と知識を取り入れていった。
勉強を始めて4ヶ月目の8月。
俺は勉強に常に専念していた。
常に専念する、といっても足と腰がこのベッドにくっついている時点で勉強をすることを強要されているようなものだ。
俺は寝る時と本を読む時とトイレ、食事の時間以外は常にペンを持ち続けた。
でも暇な時間よりは全然マシだった。
病室の天井の穴を数えるのはもう飽きたからね。
勉強を始めて8ヶ月目の12月。
外はしんしんと雪が降っていた。
病室は高校受験生にとっては快適な環境かもしれないな。
周りの状況を一切遮断された環境。
自分を邪魔するものは何もない。
強いて言うのならこのベッドだ。
腰が痛い。
もう大分慣れたけど。
俺は近くのそんなに偏差値の高くない高校を志望した。
偏差値が高い高校を狙ってこの1年間無駄になったら嫌だからね。
3月12日。
遂に高校受験日だ。
しかし、病室から出られない俺は特別に病室で試験を受けさせてもらえることになった。
融通のきく高校で本当によかった。
試験自体は簡単だった。
流石に1年間勉強しただけあるな。
自分でそう思っていた。
3月16日。
合格発表の日だ。
現地に行けない俺は親の携帯に高校から電話が届くようになっていた。
10時になると親の携帯が鳴り響く。
結果は合格。
点数は451/500点。
もっと上の高校を目指せたと思うかもしれない。
だが、俺に内申点というものは存在しない。
だから点数だけを見られることになるため、他の人と比較してもあまり変わらないか、それ以下の点数を取ったことになっているだろう。
だから少しでも俺は多く点を取っておきたかった。
俺はとても嬉しかった。
両親ともに喜んで、褒めてくれた。
久しぶりにこんな達成感を味わった。
4月から高校生だ…。
期待に胸を膨らませ、静かに時を待った。
「友達できるといいが……」
この時、戒斗はまだ「クロミナ」の存在も、自分がその放置ゲーで最強プレイヤーだということも、知らなかったのである……。
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最後に、番外編まで見てくださり、ありがとうございます!




