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第11話 最強の勇者


「う、うわぁぁぁ!」


チンピラ三人衆は腰を抜かしたようだ。


ガクガクと足を震えながら逃げようとしている。


なんで悪魔がここにいる?!


ここは確かに安全地帯ではない。


でも魔王軍の領域からはかなりの距離があってその上クエストの内容にも書かれていなかったぞ?!


何が起こっている?!


翼も強がっていた時とは全く違う表情を(あらわ)にしていた。


リナは地面に座りこけてしまった。


まずいな…。


後ろではツカサがメソメソと泣いている。


剣を握りしめるミズキ。


あの学校のクラスのグループでも歯が立たなかったんだ、俺らは瞬殺だろう。


その時。


悪魔が高速で上空に上がると逃げようとしていたチンピラ三人衆めがけて攻撃した。


〔闇魔法=ダークボール〕


悪魔が魔法を唱えると悪魔の手には1つの大きな黒い球体が生成された。


そして放った瞬間3つに分裂し、見事にチンピラ三人衆に当たった。


「ぐぁぁぁ!」


悪魔が放った攻撃が直撃した3人のチンピラは石化した。


普通なら自動的に気絶が確認されるとクエスト失敗の為中心都市「ラミナ」に転送されるはずだが…。


ここで俺は謎が1つ解けた。


これがペナルティの正体だ。


俺の説が正しければあの石化状態は約30日続く。


多分だが、魔王軍にやられると石化するようにプログラムされているんだろう。


悪魔がこちらを振り向いた。


リナがその目線に気づくと泣き出した。


そして嘆き、訴え始めた。


「なんでよ!なんでこんな目に遭わなきゃいけないのよ!折角…折角こんないいメンバーに出会えたのに!なんでよ!」


リナの目には涙が浮かんでいた。


悪魔が迫ってくる。


俺は…。




方針を決めた。




俺は翼に呼びかける。


「翼!俺は1度シャットダウンする!」


すると戦意を失った翼は激情する。


「な、なに?!カイトだけ逃げるってのか!こんな状態で…逃げるってのか!」


シャットダウンは一時的な離脱。


クロミナホーム画面に戻ることができる。


「違う!絶対に…俺は戻ってくる!俺の目を見ろ!翼!!」


俺は翼の顔を掴み、俺の顔を近づける。


「お前しかいない!翼!俺がシャットダウンしている間…俺の体を守ってくれ!」


クエスト及び戦闘中のシャットダウンは体だけがその場に残される。


その体を攻撃されてしまえば当然気絶と同じ扱いを受けてしまう。


「いいな?!」


俺は少し強引ながらも翼に頼む。


翼は震えながらも頷いていた…


気がした。


あとはアイツらを信じる。


翼と、リナと、ミズキと、ツカサを!


生きていてくれ…ーーー。


俺はすぐさまシャットダウンし、クロミナのホームにある[設定]を押す。


あった、


そこには「アカウント共有」の文字が。


早くしろ、早くしろ!


俺は自分で自分を焦らせている。


わかってる。


でも今も現在進行形で仲間が襲われている。


そう思うと手が震えてくる。


俺は震える手を抑えながらあのコードを「カイト2027」のアカウントとは別の新規アカウントに入力する。


00002581


来た!


画面には


[アカウント共有をしますか?YES/NO]


の表示が。


YESだ!


共有完了のアナウンスと共にログインするアカウントを選択する画面に移される。


[ログインするアカウントを選んで下さい。カイト2027/カイト]


もちろん俺はーーーー。





うう、死ぬ、もうだめだ。


必死で防御魔法を撃つ私とミズキはカイトの体を守っていた。


厨二曰く、カイトには何か秘策があるらしい。


でも帰ってこなかったら…。


逃げただけだったとしたら…。


でも…それでも私は彼を、みんなを信じたい。


学校でも除け者扱いされている私と初めて仲良くしてくれたカイトを、


信じたい。


だって大切な、グループだから!




バリィン!!




防御魔法が破られる。


だめだ…


もう魔法も使えない。


目の前には悪魔が立っていた。


手を伸ばしてくる。


私たちの前に。


終わった…




か…い…と…




その時だった。


ズバン!


と、この世界で1度も聞いたことがない気持ちのいい音がした。


目を瞑っていた私は目を開けた。


そこには片腕を切り落とされた悪魔の姿。


そしてソイツから聞こえる断末魔のような声。


うるさい…な。





ーーーえ?ー





悪魔の腕が斬られた?


悪魔、魔王軍を倒すためにはそれ相応の武器が必要だって…


ということはまさか…。


私が思考を巡らせているうちに悪魔が再び残った腕で魔法を放とうとしていた。


危ない!


私は目を瞑った。


その時。


何かに力強く支えられてたような音が聞こえ、目を開ける。


そこには…。


「大丈夫か?」


その人は私たちを抱えて静かにそう言った。


夢のようだった、でも夢じゃなかった。


「聖騎士…エグバート?」


私は声を絞り出した。


正直待ちくたびれていた。


でも、


やっと…目覚めた!


私の選ばれし最強の勇者様!


第11話最後まで見てくださり本当にありがとうございます!

次話第12話で一区切り付きます。

どうかお付き合いください!

感想、評価、ご不明な点お待ちしております!


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