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第61話 仲間との1週間(中編)


 ――― 3日目 リディア ―――


 リディア・ベルネット(19) 女性。


 赤、黒、白系がグラデーションされたチェック柄のチュニック、黒の膝上スカート、ビロード生地になっているベージュのブーツという格好で登場のリディア。



「こんなチュニック、持ってたっけ?」


「う……持ってたわよ! ちょっと着てなかっただけよ!」


 そうなんだ。まあ、迷彩の真逆を行く色柄だ。大森林とかでこんなの着てたら、目立つしな。街中位でないと着れないだろう。


 正直、可愛い。前にも思った事だが、『シシ』の砦に俺がいた頃から比べて、グッと可愛くなった。あの時はまだ学生さんの雰囲気が抜けず、何かと言えばツンケンしていただけだったんだが、何ちゅうか、艶っぽさが出たというか……。


 そして……俺のリディアセンサーが、口に出して褒めろ、と告げている。きっとこれは褒めないと1日引きずるパターンだ。危機回避だ。


 改めて、マジマジとリディアを見る。


「凄く……可愛いチュニックだな! リディアによく似合ってるよ」


「え!? そ、そう? ま、まあ、でもアンタの為に着てるんじゃないわよ? こんな時位でないと着る機会がないから……」


 プイッと横を向くリディア。


 が、俺にはわかる。これは大成功だ。俺のリディアセンサーが正解音を鳴らす。このスタートを間違えると今日の業務が達成できないからな。


「じゃ、少し話をしようか」


「うん」


 途中、いくつかレディス専門店に寄りつつ、小高い丘に行く。惣菜屋で昼飯用にお弁当を買っておいた。それを摘みながら話をする。


「どう? 今の所、不自由ないかい?」


「ん、そうね……特に、無いわ」


 返事、早いな。大丈夫か? それとも今日までに考えていてくれたのかな。


「エルナとは上手くいってるかい?」


「勿論よ! 師匠は優しくて、実力もあって本当に凄いのよ!」


 顔を輝かせてエルナを褒め称える。そうかそうか。それは良かった。うまくいっているようだな。


「んー!! これ! 美味しいわね!」


「ホントだ! このフライ、うまいな。鶏の胸肉かな。いや、もひとつ奥のささ身の部分だな。味付け、めっちゃうまい」


 鳥のフライを頬張りながら、更に会話を続ける。


「エルナだけじゃなく、他のみんなとも、うまくいってるかな?」


「え? いってるよ?」


「そうか、なら対人関係は問題ないね」


 不意に暗い顔になるリディア。


「ねぇ、師匠って、やっぱりドラフジャクドの件が終わったら……」


「うん……それはしょうがないだろうな。彼女はビルマークの人間だしな。テオドール王とシモンの御好意で付いて来てもらっているだけだからな」


「……そっか。まあ、そうだよね。はぁ……」


 本当にリディアはエルナに心酔しているようだ。確かにあれだけ年が離れていて、同じテン系の魔術師で、厳しく、そして優しいエルナだ。そうなるのはわかる。


「エルナの代わりは誰にもできないが……みんながいる。誰に頼ったっていいんだぞ」


「うん……」


「むしろ、リディアが後継者を育てる位になってくれたらエルナも本望だろうな。見送る時は、もう大丈夫って思わせてあげないとな」


「…………」


 エルナと離れるまでは、まだ時間はある。


 まだまだ一緒にいれるんだから、その間に気持ちの整理もつければいいさ。


「俺でよければいつでも相談にのるよ? あまり先の事ばっかり考えて塞ぎ込まない事だ」


「そうよね。まだ一緒にいる時間はあるんだから……」


 弁当を食べ終えた俺達は、しばらく、その丘を散歩しながら話す事にした。


『シシ』にリディアが配属された時の事、俺が『タカ』に異動になった時の事、エッカルトにとっ捕まり牢屋で過ごした時の事、初めて『超人』と言われる人物に出会った時の事、百竜の滝に感動した事など……今まであった事をなぞりながら、他愛も無い話をし、怒ったり、笑い合った。


 いつしか時は夕方。


 この時間、この丘から見るドラフントの町は、綺麗な夕日が町中を照らし、雑多な店々や、いかつい傭兵達を、一律、美しい風景に変える。


 辺りに人影はなく、しばらくこの黄金の光景に見入る俺達。

 10月の涼しい風が遠い目をしているリディアの髪を分けていく。


 しばらく、無言の時が流れる。


 リディアの肩に、そっと手を置く。

 ハッとして、俺の手を見、そして俺をキッと睨む。


 が、そのまま、俺の肩に頭を預けてくれる。


 ……ホッ。心臓、止まるかと思った……。



「ねぇ、マッツ……」


「何?」


「…………」


 町をボーッと見ながら、しかし、リディアは答えない。


「リディア?」


「何でも無い」


「え?」


「……何でも無いの!」


 さっと、頭を離し、体も俺からも離れようとする。反射的にリディアの手を握って引き寄せてしまう。


 離れたく……なかった。


「!」


 離れようとした反動で俺の胸に飛び込んできたリディア。


「……キャ」


 小さな、小さな声で悲鳴をあげる。

 上目で俺を見るが、先ほどのように睨みつけては来ない。


 これだ。これが昔と違う。

 昔なら今の行為で既に5、6発はイかれている筈だ。


「リディア……」


「…………」


「あの、俺……」


 やばい。完全にリディアの体を抱いてしまっている。仕事中なのに、とか、何故だかエルナの顔やヒムニヤ、クラウス、アデリナの顔が頭に浮かぶ。不思議とヘンリックは出てこない。


 罪悪感か? 俺だけ何してんの? っていう。


「…………」


 グッと腕に力がこもる。

 俺の体は意思とは正反対に動く。この女好きな体め。


 いや、リディアは違う。俺の生来の女好き、とは関係無いんだ。


 少し、ビクッと震える腕の中のリディア。


 ゆっくりと目を閉じ……る。


「リディア……」


 そして、俺はリディアの可愛くも、上気している顔に近付き、薄い赤の口紅が塗られた整った形の唇に唇を――― 重ねた。


 数秒して、顔を離す。


 潤んだ目を薄く開けるリディア。口元も少し開いていて綺麗な歯がチラッと覗く。


 もう一度、口付けする。さっきより長く。


 また顔を離し、今度はグッと抱き寄せた。

 肩口にリディアの息遣いを心地よく感じながら、決め台詞を言う。


「リディア、もっと俺を……頼ってくれよ?」


 よし! 決まった。



「うん…………ねぇ、マッツ」


 完全に体重を預け、俺の耳元で囁くリディアの次の一言が、俺を凍りつかせる。



「これって……セクハラだよね?」



 ガ――――――ン!!!


 ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!



「公私混同だよね? 仕事って言いつつ、女性の部下を人気の無い所におびき寄せて……」



 ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!



「師匠と離れる事になって寂しがる所に付け込んだんだよね??」


「えあ!? えっと……あ……え?」


 しどろもどろになる俺。

 思考停止。


 ダメだ。違うって言えない。

 ああそうさ。だって、公私混同だもの!


 自分でも分かる位、顔が青ざめていく。



「ふふ……ねぇ、誰にも言われたくない?」


 ブンブンッ!


 大きく縦に首を振り、肯定の意を示す。

 肩口から顔を離し、俺の顔を見つめるリディア。


「じゃあ……もう1回……して?」



 ド――――――――――――ン!!!



「しますとも!!」



 何度でも!!


 なんて可愛いんだ。

 良いようにやられてる感が有り有りだが、そんな事はどうでも良い。


 今まで、散々寸止めで我慢していたんだ(ヒムニヤ、アデリナの分を含む)。


 その分を今! 取り返すんだ!



 そして―――、何度もキスを交わした。


 今回は邪魔は入らなかった。




 ――― 4日目 エルナ ―――


 エルナ・グナイスト(52) 女性。


 茶色のリブニットに、黒のロングスカート。生足にローヒール、という素敵なコーディネートで現れたエルナ。


 この人が50歳を越えてるって……一体、誰が信じるだろうか。


 昨日、彼女の弟子のリディアにした事は、当然! 内緒にしておくつもりだ。


 だが、2人で町の北側にある、この町にしては小綺麗な喫茶店に入って開口一番、エルナに褒められる。


「マッツ! あなたを見直しました!」


「……は?」


 身に覚えがない。何の事だ?


「フフフ。昨日、リディアはずっと機嫌よかったですよ?」


 グハッ……。


 成る程。俺だけが黙っててもダメって事か……。


 いや、きっとリディアもペチャクチャ話したわけではあるまい。が、エルナには全てお見通しって事か。まあ、リディア、わかりやすいしな……。


「はは……いや、その……何かすみません」


「何を謝るのです? 一昨日、私とリディアは彼女の勝負服を買いに行ったのですよ? 可愛かったでしょう? それで何も無かったら今日、叱ってやろうと思っていました」


 ブ―――――――ッ!


 コーヒーを吹いてしまった……。

 エルナは変わらず、フフ……と微笑みを絶やさない。

 道理で見たことの無い柄だった訳だ。


「いや〜……あはは。そうだったんだ……」


「まあ、でもあの感じじゃ、キス止まりってとこかしら……。朝まで帰ってこなくて良かったのに。何だったら私の分も1日あげたのに」



 ブブブ――――――――――――――ッッッ!!



 ……俺の横の綺麗な窓がベトベトだ。

 店員さんに謝り、布巾をもらってゴシゴシ拭く。


「いや、あの、エルナ? リディアの話はその辺で……」


「あら……そうですね。でも今の私は彼女が全てなのですよ」


「はぁ……」


「私も50を過ぎて、後継者もおらず。リディアは凄く才能があります。きっと私なんて飛び越してしまう程に」


 なんと。それ程か!


 リディアはまだ19歳。確かに高位魔術師としてはかなり若い。

 そして、根がとても真面目だ。このままエルナと一緒にいれば、もっと成長するだろう。


「あのさ、エルナ。ダメ元で聞くんだが……」


「それはダメです」


 ピシャリと言われて二の句が継げない。


「何故なら、それはリディアの為にならないから。この旅が終わって、ランディアに帰り、それでもリディアがまだ私に教えを乞いたい、と言うのであれば、いくらでも一緒に居ましょう。隣同士の国ですからね」


「え……そうなの? それはリディアも喜ぶな!」


「ちなみに……今の話はリディアには内緒で」


 口に人差し指を立てて、可愛らしくシィーと言うエルナ。


「え、どうして?」


「リディアの為にならないからですよ。ヒムニヤ様じゃないですが、今生のお別れ位に思っておかないと成長が鈍くなります」


 そう言って、パチッとウィンクする。


「本当に……リディアの事を考えてくれてるんだな。リディアもエルナの事は本当に尊敬しているよ。昨日、よくわかった」


「ヤキモチ妬いちゃダメですよ?」


「妬かねーよ!!」


 悪戯っぽく笑うエルナはとても素敵で魅力的な女性だ。


 そんなエルナに、1つ、どうしても聞いてみたかった事がある。


「なあ、今から聞く事は、公私混同で、嫌なら答えなくていいんだが……」


 あら、何でしょう? と、キョトンとした顔になるエルナ。


「頼むから『セクハラだ!』とか言って騒がないでくれよ? ……あのさ、エルナって、何でそんなに見た目が若いの?」


 口元は笑っているが、怪訝な表情を浮かべるエルナ。


「さあ……知りません」


「知らない……のか。コンスタンティンも見た目は俺より若いが……奴は200歳だ。エルナと何か共通点があるのかな、と思ってさ」


「コンスタンティン様は、伝説級に片足踏み入れていますからねぇ……私なんかとは全然違います」


 うーん。果たして、そうなんだろうか……、

 まあ、でも、本人が知らないというんだから知らないんだろう。


 そこから旅の不満や、これからの事とかをヒアリングしたのだが、いつしかリディアの話になり、ほんとにいい師弟だなぁ〜と少し羨ましくなった。



 ――― エルナとの1日の後 ―――


 晩御飯を食べ、俺とエルナが連れ添って宿に帰ると、何やら俺達の部屋が妙に静かだ。


 今はちょうど竜討伐のタイミングだった為、部屋が満室に近く、大部屋と小部屋の1室ずつしか借りる事が出来なかった。


 男の方が人数が少ない為、大部屋を女子に、小部屋を男に割り当てたのだが、男子部屋を覗くと……真っ暗で誰もいない。


「む……? どうしたんだ?」


「どうしたんです?」


 エルナが不安そうに覗き込んでくる。


「誰も……いないんだ」


 夜の訓練か?

 しかし、それなら、女子達はいそうなもんだ。


「エルナ、何かあったのかもしれない。部屋を見てみてくれ」


「わかりました!」


 エルナが女子部屋に入っていき、しばらくの沈黙、そして、叫びがあがる!


「マッツ! 大変です! 早く来て!!」


 背筋がゾクッとする。

 嫌な予感しかしない。猛ダッシュする。


「エルナッッッ!!」


 部屋に踏み入ると真っ暗だ。


「エルナッ! エルナッッ!」


 何も見えない。1歩ずつ、ゆっくりと進む。が、何かの気配がする。


 いる。何かが。



 不意にポンッと背中を押される。


 何かに躓き、バタンッとコケてしまう。


 ヤバい! 今、襲われたら……



 ムニュ……



 ヒャッ……



 え?



「リディア!?」


 姿は見えないが、リディアの声とリディアの匂い。


「大丈夫か!」


 必死で声の方を弄る。


 ムニュムニュ……。



「ちょちょちょ、ちょっと、どこ触ってんのよ! バカマッツ!!!」


 あれ?


「やれやれ……リディア、もうちょっと耐えないと……」


 リタの声……。あれ?


「さすが隊長。真っ暗な中に6人いるのに的確にリディアに抱きつくとは……」


 あれ? あれ? クラウス……? 何でここに?


 そして、部屋がパッと明るくなる。


「アゥッッッ」



 入り口にエルナ、部屋の中にヘンリック、リタ、アデリナ、クラウス、そして、俺がこけて抱きついたのがリディア。


 あれ? 勢揃い?


 部屋が明るくなったのは、クラウスが光弾のスペルを調節して発動しているためだとわかる。


 暗闇でポンッと優しく背中を押したのはエルナだな。


 躓いたのは、ヘンリックの膝か。


 見回すと……リディアが顔を真っ赤にして、恥じらい、怒っている表情をしているのを除いて、みんなニヤニヤしている。


「……みんな、何してんの?」


「てか、早く離れなさいよ!」


 ペチンッ!

 頭をはたかれる。


 どうやら、最初躓いてリディアが正座している太ももに突っ込んだ挙句、声を頼りに背中とお尻をずっと弄っていたようだ。


 道理で、柔らかくて気持ち良い……いやいや、何なんだ、この状況は。



 取り敢えず、座ってみる。


「リディア!」


 エルナがリディアに何かを促す。


 バツが悪そうな顔をして、唇をとんがらせているリディアが、思ってもみない事を言った。


「……マッツ……誕生日、おめでとう……」


 ?


「「「「「おめでとう〜〜〜!!!」」」」」


 ?


 誕生日? 誰の?


 10月19日……。


「おお! 俺の誕生日か!」


 そうか……。


「ブッ」


 みんな……。


「アハハハハッ!!」


 わざわざ、こんな凝った事してくれて……。


「ちょっと何で自分の誕生日、忘れてるのよ!」


 いや、誕生日なんてすっかり忘れてたよ!

 年に1回しか無いからな!!


 正直、それどころじゃなかった。

 強敵に次ぐ強敵、得体の知れない敵、未経験の異国の地、パーティのリーダーとして……。


 何か知らない間に余裕が無くなってたかな……。



「おい、マッツ」


 ヘンリックが、無表情で声を掛けてくる。


「お前、ちょっと背負い過ぎだ。兄貴がいないから気負ってるのかも知れんが……お前は立派だ。俺はお前に共に行くし、間違えていると思ったら気付かせてやる。だからお前ももっと俺達を頼れ」


 おおう……。

 ガキめ……言うじゃないか……。

 昨日、俺がリディアに言ったセリフだぞ。


 そうだ。今までヘンリックの兄貴、ハンスに頼りっ放しだったんだ俺は。



「この1週間の2者面談もそうですが、あまり、頑張り過ぎないように……。まあ、1日ゆったり時間を費やして2人で話をする、というのはいい企画だと思いますが」


 エルナ……。


 有難う。

 でも、大丈夫。大して頑張ってないよ、俺。



「うんうん! 楽しかったよ、マッツ! いい時間をありがと! 最後、(ドラゴン)討伐まで1日余るからさ、今度は私が癒してあげるよ?」


 おおう。アデリナ……。ほんとに君はいい子だな〜〜〜。



「隊長が1日付き合ってくれたお陰で、戦いに貢献できる自信がつきました。私も何かお礼がしたいです」


 クラウス〜〜〜。


 いやいや、そもそもヒーラーなのに、あれだけ戦えるようになるなんて、凄いじゃないか。


 お礼なんてとんでもないよ。俺達はみんなで旅をしてるんだから助け合わないと。



「マッツとは長いけど……特に『タカ』に移動してからはホントに休んでないものね。バカみたいにタフだけど、たまには息抜きも必要なのよ?」


 そうだ。

『タカ』の砦長になってからは、開拓、治安、モンスター、エッカルト、と大変だったなあ……。


 そういや、休んだ日なんて記憶にないな。


 有難う、リタ。やっぱり優しいな。リタはいつも優しい。


 あ、あれ?

 なんか目から……。



「……何、泣いてんのよマッツ。ホント、感動しぃね!」


「リディア! もう!」


「判ってます! ……私だって……これでも……少し位は……感謝してるわよ? マッツが私達のリーダーで……よかったと、思ってるわ!」


 おおおう!


 リディアがそんな事を〜!!


 ダメだ。目から滝が止まらん。



「やれやれ……リディアじゃ、その程度が精一杯か」


 苦笑いしながらヘンリックが言う。


「何よ! ヘンリック! うるさいわね!」


「アハハ! でも……やっぱり、マッツ、自分の誕生日、忘れてたね!」


「そうね。アデリナの言う通りだったわね。もう、25……になるのかしら?」


 アデリナとリタの方向転換に、リディアも頬っぺたを膨らませながら、黙り込む。


「ああ。そうだな。実感湧かないけど……」


「おめでとう、マッツ。こんな危険な旅を続けていて、こんな誕生日を迎えるなんて幸せね」


「ああ、エルナ。本当にそう……思うよ」


 腕でゴシゴシと目をこする。


「ちなみに……このサプライズはアデリナ発案よ? また、褒めてあげてね」


 リタは気配りの上手な人だ。

 お前こそ疲れてないか? また明日、ちゃんと話をしよう。


「ああ。アデリナ、有難うな! みんなも本当に有難う! 今日の事は一生、忘れないよ!」



 その後、みんなからプレゼントの『風の(ダウィン)ブーツ』(魔力が篭った逸品で非常に軽い。高価そうだ)をいただき、夜遅くまで語り合った。


 仲間っていいな! と改めて思った。

 そして、このメンバーで旅が出来ている事に感謝する。


 ……ちなみに夜中に結構うるさかった筈だが、他の部屋から『うるっせえぞ!』のようなクレームが出なかったのは、俺とエルナが出かけている間に、皆が根回ししていたのと、ラーヒズヤが認めた本物の竜殺し(ドラゴンスレイヤー)がいる、という事で、周りがビビっていたらしい。


 なんか、悪い事したな……。




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