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第41話 剣聖 対 火竜(4)

本話は、残酷な表現が含まれています。ご注意下さい。


青竜剣技ブリュドラフシェアーツ!」


 (ドラゴン)との距離、およそ10メートル位にまで接近する。近付く程に感じる圧倒的ド迫力、地上最強生物との対決だ。どこまで人間の力が通用するか……いざ、勝負!!


「『(シューヴ)』!!」


 ルーペルトに放った時は、さすがに人間相手にフルパワーという訳にはいかず、遠慮して魔力を半減させた。


 だが今の相手は(ドラゴン)、最大魔力で水属性の『突』をぶっ放す!


 魔力で発現させた水流がスクリュー状になり、ニヤニヤ笑っている(と勝手に俺が思っている)奴の面に捻り込む!!


 ドッシュゥゥゥゥ!!

 ズッゴォォォォォン!



 グォォォォ……



 奴が唸る。


風竜剣技ダウィンドラフシェアーツ!!」


 俺の左右に小型の旋風を起こす!

 休む間を与えず、シュタークスを横に一閃、空中に真空の刃を大量に発生させる。


「『鎌鼬(シィシェル)』!!」


 瞬間、(ドラゴン)の顎から炎が漏れ出す。


 ゴォォォォォォォォォォォーーー!!!


 視界一杯の炎の息(フレイムブレス)

 巻き込まれたら終わり―――。


地竜剣技(エアドラフシェアーツ)!『岩砕(フェルセヴェルグナ)』!!」


 吐かれてからだと、走って逃げるのはつらい。それ程の範囲攻撃。


 なら防ぐ! ブレスにも効果がある事は、先程オイフェミアの前で実証済みだ。分厚い岩の壁は見事に炎の息を吸収し、役目を終えて砕け散る。


 そして!


 シュインシュイン!!


 ブレスよりも先に放った俺の『鎌鼬』が、(ドラゴン)の翼を切り裂く!


 ズバババババババババババババババッッ!!


 竜の翼からいくつかの鱗のようなカケラが落ちてくる。かけらと言っても、数十センチ四方程度のものから2メートル位のものまで、さまざまだ。


 ドゴーン! ドガッ! ゴッ!


 グォォォォォォォォォォ!!


 首をくねらせ、怒りの表情を見せる。


 おお! 効いてるぞ! きっと!!

 修羅剣技は地上最強生物にも対抗できる!!


 バッサバッサと羽ばたき、凄まじい旋風を巻き起こす!


 ブゥォォォォ!!

 ビュゥゥゥゥゥゥゥ!!!


 うう……。


 た……立ってられ……ない!


 そして、俺に向けて、一際大きく、顎を開く!


 何か危険だ。同じブレスとは考えにくい。直感的にそう思い、今度は防がずに猛ダッシュで森の奥側に逃げる。(ドラゴン)の下をくぐる感じだ。


 直後!


 フィン…………


 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンン!!!


 さっきまでいた場所で、物凄い爆音だ。


 凄まじい爆風で数十メートル吹っ飛ばされる。


「うわあああああぁぁぁ!!」


 ドンッ! ズザザザザ!!


 地面に衝突し、しかし爆風で煽られて止まらず、そのまま転げまくる。


「あうう……いっつつ……何なんだ。何しやがったんだ!?」


 そういえば、俺がまだ、鳥のさえずりを楽しんでいた時に、同じ爆音が鳴っていた。あれか。


 (ドラゴン)って、爆発を起こせる……のか!?


 ふと、爆発の連続で死にかけた、魔神アスラとの絶望的な戦いを思い出し、押し殺していた恐怖が頭をもたげてくる。


 ……


「ぐぅぅ……クソったれ……が!!!」


 だが、それを必死で飲み込む。


 もう、戦いは始まった。

 ここでビビるのは何1つ良いことはない。


 目の前にいるのは魔界の住人ではない。

 少し大きいだけのこの世の生物、そう、爬虫類だ。多分!


火竜剣技フラムドラフシェアーツ!『(アネヴォム)』!!」


 奴の腹にポイントし、爆破する。火属性の攻撃ではあるが、あくまで爆発は物理だ。しかも、アスラと違って生物は大抵、腹は柔らかい。きっと効く。


 ドォォォォォォォォォン!!


 ギュォォォォォォォ!!


 (ドラゴン)の叫びが響き渡る。


 だが、爆破した辺りを確認する限り、見た目のダメージはないようだ。


「参ったな。腹でもこの硬さか」


 突如! (ドラゴン)が、落下してきた!!


 ブッシュゥゥ!!!!


 押し潰される!!! と、思った瞬間、腹部に激痛が走り、体がふわりと浮くのがわかる。


「ぐああああッッ!! ……ぐ……う」


 ボッタボッタボッタボッタ……。


 空いている方の足に捕まったらしい。そして、運の悪い事に、(ドラゴン)の割れた爪の一筋が俺の右脇腹を貫通しており、そこから血が流れ出る……。


 グボッ……。


 血を吐いた。


 パンツが血まみれだ! 畜生!!


 (ドラゴン)は俺(と、もう1人)を掴んだまま、しばらく飛行し、一際大きな木に向かって滑空する。


 超絶、嫌な予感がする。こいつ、殺す気か……。


 幸い、シュタークスは離さなかった。そして、爪が突き刺さってはいるものの、(ドラゴン)がデカすぎて、ある程度、体は動く。


地竜剣技(エアドラフシェアーツ)!!」


 あと数十メートルで木に当たる! という所で、(ドラゴン)は俺をパッと放し、宙返りをする。

 そのまま慣性の法則で爪が抜け、俺は物凄いスピードで木に一直線―――


「うおああああああ!!! 『岩砕(フェルセヴェルグナ)ァァァァァァ』!!!!」


 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


 バキバキバキバキ!!



 ………………。



 何十本の枝を折り、木にぶつかっただろうか。


 身体中がやられ過ぎて麻痺している。

 気絶していないのが不思議な位だ。


 肋骨3本、左腕、右脚……骨折しているな……。

 頭は守りきったし、肺に穴も開いていない。


 大丈夫だ。


 しばらくじっとしてりゃ、これ位治るだろう。

 俺のタフさを舐めるんじゃあねぇぜ……


 目に血が入り、視界を遮る。

 視界から消えた(ドラゴン)……どこに行きやがった? もう……許さない。


 さぁて次は、俺のターンだ……ぜ!!



 時間の感覚も曖昧だが、おそらくその十数秒後。


 バッサバッサ……。


 姿は見えずとも、音は聞こえる。それがまた恐怖心を煽る。


 だが、今の俺は、かなり怒っている。


 ここまでしてくれたんだ。相応のツケを払ってもらうぜ。姿を隠し、俺に時間を与えたのが、お前の失敗だ。


 静かにシュタークスを構え、詠唱を始める。


「リンクス・ナラ・ファミュラ……」


 シュウゥゥゥゥゥゥ―――


 ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーー!!!!


 炎の息(フレイムブレス)!!


「レイネア・フォールチ・ダ……」

風竜剣技ダウィンドラフシェアーツ!! 『クシア』!!」


 修羅剣技の平行詠唱だ!!


 竜巻に乗り、ブレスを避けて一気に上昇、視界が開け、(ドラゴン)の眼前に出たことを知る。


 よく見ると、この火竜、傷だらけだ。俺がつけた傷もあるが、そうでは無い傷の方が多い。先ほどの奴らがつけた傷でも無いだろう。

 そう思いながらも、続けて詠唱する。


「レイニアマ・レイテンマ・レイナク……」

青竜剣技ブリュドラフシェアーツ!『シューヴ』!!」


 ドッシュゥゥゥゥ!!


 顔面に1発、お見舞いだ!!


「ヴィエンソ・ビーララ・ヴィルトス……」


 合間に更に『翔』を放ち、翔ぶ!

 次に目指すは後頭部。


「ミル・イン・トゥヴァイス……」

火竜剣技フラムドラフシェアーツ!『(アネヴォム)』!!」


 後頭部を爆破。ここも、キズだらけだ。殺すのは少し、可哀想か……。そんな事を思う。まあ、でも俺も散々、やられたからな。同じ位はやられてもらおうか!



「サーアル・イーコール……」


 詠唱を続け、そして、更に『翔』!『翔』!!


「ツェバラヴァシヤンマ・リィ・ナ……」


 翔ぶ! (ドラゴン)よりもっと上へと。


「アノラマ・ファティマ・ラクティア・ラ・ラ・メイデン」



 そして―――



 修羅剣技、最強の攻撃だ。

 これを食らって、落ちろ!!


魔竜剣技ダヴィドラフシェアーツ!!!!」


 (ドラゴン)が首を回し、俺と目が合う。

 魔剣シュタークスが、7色の光を放つ。


 キーーーーーーーーーン……。


 この音は超振動によって発せられる音。今から始まる大破壊への前奏曲(プレリュード)だ。


 グォォォォ…………!!!



 今更、謝っても知らん!!!



「『天魔滅殺(ヴァルティマ・レイ)』!!!!」



 魔剣から放たれる7色の光が睦み合い、1本の白色と化す。

 (ドラゴン)の首程の太さに編み込まれ、チ……という小さな音と共に瞬時に地上に達する光撃が放たれる。


 残るは光撃の半ばにおり、右の脇腹に綺麗に穴の空いた(ドラゴン)と、


 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンンンンンンン………………



 凄まじい轟音、そして(ドラゴン)の数倍の大きさに抉られた巨大なクレーターだった。



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