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The Creation of Witchcraft Online(魔術創造)-最強魔術師への道-  作者: える
第一章 魔術の深淵を覗く時
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言霊の魔導士

やっと週末

 [言霊の魔導士]……クラリネは生まれながらにして職業ジョブがあるようだ。

 [魔導士]は、たしか呪文や杖などの魔術媒体を用いて魔術を行使する職業ジョブだったが、その派生だろう。「言霊の」と付いているから普通の魔導士とは違うようだ。クラリネの説明を聞いた様子では、「詠唱を用いる魔術」、「詠唱無しでの発動は不可能」、「それらの制約を受ける代わりに魔術の威力が増大する」といったものだろうか……。プレイヤーでも取得できる職業ジョブなのか、クエストNPC専用の特別な職業ジョブなのかは今のところ分からない。


 苔が増えだしたフィールドはいつの間にか木々が鬱蒼とする森へと変わっていた。フィールドモンスターは「モスゴーリ(苔ゴリラ)」、「クラッカーリス(はじけるクルミを投げつけるリス)」、「ドリファント(鼻がドリルになっている象)」、「マジカルフラワー(魔術を放ってくる花)」の4種類だ。山道フィールドでは物理攻撃モンスターしかいなかったが、今回マジカルフラワーという魔術を使うモンスターと初めて遭遇した。大きなきれいな花を咲かせたモンスターなのだが、花の色によって使う魔術が違う仕様らしい。赤なら【火】、青なら【水】といった具合だ。モンスターにも人間と同じようにマナジーが流れているのだろうか……。


 モンスターは頻繁に出てくるが、基本的に5人いれば対処もたやすいため、みんなでしゃべりながら進んでいく。敵の気配が無いかを確認することは怠らない。


「そういえば、【ウィズダム】と【アースタシア】が友好国で技術協力もしているとのことなら、人の行き来も盛んにおこなわれてるんじゃないか? 裏山道フィールドからまっすぐ国境まで続いているこの道は貿易路なのかなって思ったんだけど……」


「確かに……ダニエルさんの言う通り、この道は2つの国を結ぶ貿易路となっていました。しかし、今は二つの国の首都をつなぐ転移門が設置されているので、人や物の行き来はその転移門を使って行われています。貿易路と言っても、どうしてもトラブルが起こる危険性がありますし、利用する人が少なくなった今、山賊やモンスターが増えてさらに危険度は増しています。」


 ふとした疑問を尋ねるとクラリネが答えてくれた。しかし山賊か……フラグを立ててしまった気がする。


 ちなみにCWOではPK(プレイヤーキル)は採用せれているが、PKするとイエローネームとなり、NPCの好感度が下がる他、デスペナルティが重くなったり、一般プレイヤーがイエローネームのプレイヤーをキルしてもPK扱いにはならない。そして、もっとひどいのがレッドネームだ。NPCをキルしたり、犯罪行為を行ったものはレッドネームとなり、国のブラックリストに載る。いわゆる賞金首というやつだ。レッドネームとなれば、イエローネームの待遇に加えて、その国への入国、施設の利用なども禁止されるし、NPCの衛兵から命を狙われる。

 このレッドネーム、賞金首というのは別にプレイヤーだけのものではない。NPCの中にも同じような重大犯罪者が存在する。山を根城にし、近隣の村や貿易商を襲う山賊もそのひとつと言える。だから、山賊と出くわしたら、可能であれば倒すか捕まえるかをして国に届け出る必要があるらしい。


 といっても、CWOの中にいるNPCはゲームの中で生きているわけで、一度死んだら基本的に復活することはないらしい。重大犯罪者だからといって割り切れるのかどうか……。こちらもクラリネというNPCを抱えているため、守り切らなければ。遭遇することなく国境都市へと辿り着けるのが一番なんだけどな。


 そんなことを考えながら道中を歩く。

 クラリネは相変わらず楽しそうに他のみんなと話し、バトルになると8歳とは思えない力を存分に発揮している。良い雰囲気のメンバーでありがたい。


「クラリネちゃん、【ベルドゥーガ】まではひたすらこの森の中を進んでいくの?」


「そうですね。この森をまっすぐ進めばいつかは【ベルドゥーガ】にたどり着ける筈なんですが、私も地図でしか見たことがなく、実際に行くのは初めてなのではっきりとは答えられないんです……。たしか地図では森の途中に、村があった気がします。そこで少し休憩したり、所持品を整えたりすることができるはずです。」


 なるほど、セーフティエリアみたいなイメージだろうか。森の途中でログアウトしたい場合なんかにはその村でしろってことかな。



 俺自身ももちろん闘いには参加しているが、他のみんなの闘いを見るのもすごく面白い。クラリネは知っての通り[言霊の魔導士]という職業ジョブについている。初めに使った《炎の豪雨》は現在クラリネが扱える魔術の中でも上位の魔術のようで、普通に《ファイアボール》などの初級魔術も使えるらしい。もちろん《ファイアボール》なんかにも専用の詠唱が存在し、俺たちが使うよりも規模が大きい。

 アクアは[氷雪の魔術師]という職業ジョブについている。俺と初めて会った時に話してくれた【氷属性】の特殊クエストを進めていると解放されたようだ。フィフィは「アクアの火バージョン」といった感じだろうか。【火属性】のみを選んでゲームを開始したら【爆属性】という属性が追加されていたらしく、現在は[炎熱の魔術師]という職業ジョブについてる。【火属性】のみ選択の派生は【爆属性】か……。そういえばフィフィの【火属性】の魔術攻撃は直撃するたびに大きな爆発が起こっているが、【爆属性】の特性ということか?

 勇者エクスは【魔戦士】という職業ジョブを選択したようだ。武器での戦いが主体の職業ジョブだった気がする。選んだ理由を尋ねると、職業ジョブの選択肢の中で一番勇者っぽいのが【魔戦士】だったからだそうだ……。まあ、どんな理由で何を選ぶかは、その人の自由だ。


「あ、あそこ! 森の奥で煙がいくつか見えるよ! 村に辿り着いたかな。」


「助かった……そろそろトイレに行きたいと思っていたのだよ。」


 しばらく森の中を進んでいると、木々の間から煙が立ち上るのがいくつか見え、クラリネが言っていた村に到着したことが分かった。ゲームの中ではちょうど昼飯時、炊事の煙だろうか。着実に先へ進んでると分かってみんなの表情が先ほどよりも明るくなった。






「ねぇ、なんだか煙が多すぎない?」


 さらに村へ近づいた時のことだった。不意にアクアが呟く。


「言われてみれば……それに、なんだか騒がしい気がする。」


 ついさっきまで明るかったみんなの表情が曇る。


 足早に村へかけていくと、次第に喧噪は大きくなっていく。


「うそ……」


「そんな……ひどい……」


 辿り着いた俺たちの前には、火の海となった村が広がっていた。



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