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The Creation of Witchcraft Online(魔術創造)-最強魔術師への道-  作者: える
第一章 魔術の深淵を覗く時
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純白の剣士

たくさんのご感想ありがとうございます!

「いやぁ、驚かせてすみません。この辺りは物騒ですから……」


 目の前には身長130センチほどの男女が30人くらい集まっており、俺の存在を訝しげに見ている。一番前に立つ髭を生やした男が代表して喋っている。

 130センチで髭が生えているという状況に少し驚いたが、話を聞いてみると小人族のようだ。ひとりひとり見てみると確かに身体の大きさは子どもと同じくらいだが、顔つきは大人びていてそういう種族だということが分かる。この穴全体が小人族の住まいのようで、はじめは住まいを荒らしに来た侵入者と警戒されたようだ。だが、こちらに敵意がないと分かると一番前の小人ルワンダさんが笑顔で迎えてくれた。まだ警戒している小人もいるようだが……。


「旅人さん、迷惑じゃなければわしらのお願いを聞いてほしいんじゃが……」


「な、なんでしょうか?」


「おぉ、聞いてくれるか!!」


「いや、まだ引き受けたわけじゃ……」


「実は今、外がかなり危険な状態なんじゃ。大きな魔法が飛び交いとても出れる状態じゃない。しかし、何十人もおる一族が生活するには食料が必要じゃ。どうか取ってきてほしい。もちろんちゃんとお礼もするぞ?取ってきてくれたら我が小人族がこの島で発見した不思議な円盤を差し上げよう。では、いってらっしゃい!」


[ミニクエスト【小人族のお願い】が発生しました。]


 ええい、人の話を聴け!……勝手にミニクエストが始まってしまった。まぁ、報酬は十中八九MMディスクだろうからいいけど。しかも、こんな場所で発生したクエストならレアなディスクが期待できる。


「なにしとる、はやく行かんか。」


……なんか腹立つ。


【小人族のお願い】

腹を空かせた小人族の為に食べられるものを持っていこう。

個数制限なし

※渡した食べ物によって報酬が変化します。




 俺が入ってきた穴とは別の出入口もたくさんあるようで、大きめの出口を教えてもらい再び地上へ出た。

なんでも食べられるらしいので、めぼしい木の実やきのこを採取していく。なんか一人だけ違うゲームしているみたいだ……。




「…………だぞ!!」


「……!」


 周囲を気にしながら食料を集めていると、何やら人の声が聞こえてきた。衝撃音なども聞こえており、誰か他のプレイヤ-同士が闘っているのかもしれない。ちょっと偵察してみるか。卑怯だが、漁夫の利を狙えるかもしれないし……


 声のする方へ近づいていくと、声や魔法の音が次第に大きくなってきた。


「やべぇって!!ぜんぜん当たらない!」


「てか、魔法ゲーなのになんで剣しか使ってないんだ!?」


「ひゃははははは!2人がかりでも敵ひとり倒せないなんてどんな雑魚なの?」


 どうやら2対1でプレイヤーが闘っているようだ。しかも2人組の方が押されてる……ソロイベントなのに共闘してるのはまぁ置いといて、もう一方の女性プレイヤーひとりの剣戟に2人は戦意喪失気味のようだ。


 それにしてもあのプレイヤー……見覚えがある。

 曲剣のような2本の剣を素早く振り回し、純白の長髪が綺麗に舞うその姿に既視感を覚えた。もちろん、CWOにログインしてから見たことは一度もない。おそらく別のゲームだ。


《ブラッドラット》


 追い詰められた2人組のひとりが魔法を発動する。赤黒いネズミの大群が津波のように女性プレイヤーに襲い掛かる。


「それ、さっきも見た。」


 白髪の女性プレイヤーは音も立てずに飛び上がりネズミの大群に自ら飛び込む。

 しかし、ダメージを受けることなくネズミの大群の上を進んで行く。《ブラッドラッド》と呼ばれる魔法の当たり判定が赤黒いネズミの口の部分だということを見極めて、素早く足を動かしながらネズミの背を渡り歩いているようだ。


「そんな芸……」


 最期まで言い切る前に魔法を発動したプレイヤーが曲剣の餌食となった。


 完全に戦意喪失して膝をついているもうひとりのプレイヤ-もふた振り目で光の泡となる。




 何度見ても惚れぼれするプレイングだ。


「さっきからそこで覗いているのは誰かしら?」


 しかも、ばれている。

 ふう……と一度息を吐いてから彼女の前に姿を見せる。


「あなたは、さっきの2人よりも楽しませてくれるのかしら?」


「悪いが、闘うつもりはないよ……“もち子ちゃん”」


「……」


 不敵な笑みを浮かべていた女性プレイヤーの顔が固まったまま真っ赤になっていく。


「なんで……その名前を……」


「毎回同じアバター再現してんだからそりゃ分かるわ。」


「……あんたダニエル!?」


 どうやら俺の正体にも気づいたようだ。恥ずかしい姿を見られたからか両膝を抱えてしゃがみこみしょぼぼぼーんとなっている。

 彼女の本当のプレイヤーネームはおそらく“ディオネ”、そして本名は「剣持けんもち つばさ」……そう、元会社の同僚でよく一緒にゲームをプレイしているひとりだ。彼女はどのゲームでも純白の長髪を選ぶ。理由は剣を振る時に白髪が舞う姿が一番かっこよく見えるのと、返り血で赤く染まるのが綺麗だからだとか……。先程の姿から分かるように、いわゆるスイッチが入ると性格が変わるタイプの人だ。だが、正気に戻った際に恥ずかしくなって爆死する。

 彼女は和菓子が大好物で、特に餅に目がない。同じ部署で仕事をしていた時、毎日毎日オフィスに餅を持ってきてはこっそり食べていた。ある日、餅を喉に詰まらて会社に救急車がやってきた。その日を境に“もち子ちゃん”というあだ名がついた。


「なんで剣で闘ってんの?魔法は?」


「遠くから魔法バンバンとかスリルないじゃん。というか、もち子って呼ぶな。」


「もち子はもち子だもの……てかお前ほんとにCWO始めてたんだな。」


「はぁ……もういいわ。ちょうどイベントも開催されるっていうから試しにね。魔術の世界で剣士としてのし上がる!!ってかっこよくない?」


「……趣味趣向は人それぞれだもんな。」


「そんな哀れな顔で見るな。あんたがちょこちょこと魔術いじってる間に強くなってやるわ。」


 魔術の世界で剣士でのし上がる……そんな小説ありそうだな。確かに彼女ならできそうだ。彼女は今まで一緒にやってきたゲームでずっと剣を振るってきている。そしてずば抜けて上手い。そんな知り合いの登場に俺は協力を願い出た。


「そうそう話変わるんだけど、ちょっと木の実集め手伝ってくれない?」


「勝手に話変えるな。てかなんでイベントに来て木の実集め?しょーもない男ね。」


「ちゃんとイベントのミニクエストだって。それに集めたらMMディスクもらえるぞ。」


「そんなつまらなさそうなクエスト嫌なんだけど……あ、いいこと思いついた。あんたのクエスト手伝ってあげるから、ついてきてほしいところがあるの。」


「ついてきてほしいところ?」


「そ、ドラゴン倒すわよ。」


「……え?」


 お前こそ何て別ゲーしてんだ。

仕事の方が本格的に忙しくなってきたので隔日投稿になりそうです。

あたたかく見守っていただければ幸いです。

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