初期設定
一瞬たじろいでしまった。
が、おそらくチュートリアル用のサポート用のAIだろう。襲いかかってくる様子はない。
「…はじめまして。」
だが、こういうのって、当たり障りない受付嬢っぽいお姉さんが出てくるものじゃないのか?あまり沢山のゲームをやってきたわけではないが、だいたいの初めの流れは共通していることが多い。
「いやぁ、驚かせてしまいましたね。すみません。なんでゾンビが!?って思ったでしょう?元々私はゲーム内の環境観測及びプレイヤーの行動を観測するスタッフの1人なんですが、リリース前後はこの入り口が一番混雑するのでみんなでカバーし合ってるんですよ。」
まさかのGMだった…。
しかしこのゾンビ流暢に喋る。最初の途切れ途切れの挨拶はワザとだったようだ。
というか、ゾンビよ、頭を掻くな。肉とか虫とか色々落ちてきてる。グラフィックが現実とほぼ変わらない今の技術だけに、グロすぎる。こういうの苦手な奴が初ログインでゾンビと当たったら災難だな。
「さてと、改めまして…ようこそ【The Creation of Witchcraft】の世界へ。私は本日貴方様をご案内します、カフスと申します。」
そういってゾンビ改めカフスさんが恭しくお辞儀をした。
なんか良い声だし雰囲気出してくれてるけど、ゾンビって要素が全てをぶち壊している気がする…。
まぁ、わざわざ言葉にする必要もなかったのでカフスさんの説明を聞きながらキャラメイクに入っていく。
身長は変えない方がいいらしい。
体つきを少し引き締めて、髪は短めで濃ゆい赤、目はダークグレーにする。
顔付きも細かく調整できるらしいが、ご丁寧に「イケメン風」、「男らしく」、「女らしく」、「禍々しく」など自動調整してくれる選択肢も用意してあった。そのため、何食わぬ顔で「イケメン風」のボタンを押す。
カフスさんがじっと見つめているが気にしない。