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The Creation of Witchcraft Online(魔術創造)-最強魔術師への道-  作者: える
プロローグ その身に宿るもの
19/36

ゴーレムの本気

ブックマーク、感想などありがとうございます。

とてもとても嬉しいです。

 直径1メートルはありそうな拳を寸前で避ける。

 だが、そこで気を抜いてはいけない。殴った腕とは逆の腕をこちらに向けたと思うと手のひらから赤いレーザーが放たれる。

 先ほどまでの鈍重な動きは芝居だったのかと思えるほど機敏な動きをしながら攻撃を繰り出してくる。


 完全に怒らせたな……。


 ボスモンスターによっては体力の低下や、何かをトリガーとして行動パターンが変わるのは定番だ。そのことを忘れていたわけではないけど、ダメージ与えられる場所がそこしかなかったんだよ…許してください。


 しかも、あの眼は飾りだったのだろうか……眼を潰した筈なのに俺の場所がしっかりわかっているように攻撃してくる。まるで別の何かで感じ取っているような……。


 


 くらえ《マナジーショット》!!

 人差し指と親指を立て、手をピストルの形にし、銃口をゴーレムに向けて放つ。圧縮されたマナジーが弾丸となってゴーレムに命中する。効いている手ごたえは……無い。

 《マナジーボール》の派生で、マナジーを凝縮するようなイメージで造った魔術だ。水や空気も圧縮すれば密度が増し、威力が上がるのと同じで、マナジーも同じように圧縮できるようだ。


 かれこれ1時間くらい避けて当てての応酬を繰り返している気がするが、眼を壊した以外にダメージを与えた手ごたえが全くない。どう考えてもおかしいよな。そろそろ俺の気力も尽きてきた気がする。




 くそぅ、何かヒントはないか?


 ネスラさんは最後の課題について何て言っていた?



―――――

「これはウィズダムの英知とアースタシアの技術が生んだ人造兵器“ゴーレム”。最後の課題は、このゴーレムに対処することだ。」

―――――



 【ウィズダム】は英知の樹があるこの場所

 【アースタシア】はゴーレムや魔道具など魔法工学が発達している国だった気がする。


 この2つの国が協力したなら、なるほどこんな素敵なゴーレムができるのも納得だ。


 あとは、ゴーレムに対処すること……。


 あれ、「倒す」ではなく「対処」すること?クリア条件は別にゴーレムを倒すことではない……。


 とは言ったもののどうすればいい?振り出しに戻った感じなんだが……。


 身体に赤い光を走らせたゴーレムを見つめる。


 魔術師が創り出したゴーレムならば、おそらく動力はマナジーだ。


 実験室の課題で分かったのは、物質にもマナジーが循環すること。


 つまり、あのゴーレムの中には人間でいう血液のようにマナジーが循環して動いているのではないか……?


 今まで自分の身体や目の前のアイテムなど近距離でしか魔力感知したことはなかったが、自分の両目に力を集めるイメージでゴーレムを見つめる。表面の姿ではなく、内面を透視するように……。

 紺色の金属に包まれた巨体の内側にぼんやりと、力の流れを感じる。


 もっと、もっとだ……


 ぼんやりと見えていたものが次第にはっきりと見えるようになってくる。


 見える!見えるぞ!!


 はっきりと見えるようになったマナジーの流れ。

 よく見ると所々にマナジーが留まって濃く見える部分がある。先ほどまでレンズがついていた部分、それぞれの関節部分、そして一番大きな魔力を感じるのは背中の中央部、前から見たら心臓の部分だろうか。人間をベースに作られたのか、心臓部から全身にマナジーが流れ、それぞれの関節部など動く場所にマナジーを送っている。


 眼を壊して見えなくしたはずのゴーレムが俺の場所を把握していた理由も分かった気がする。俺が今、眼にマナジーを集中させているように、頭の部分にある濃いマナジーの渦は周りの魔力を感知する働きをしているのではないだろうか。


 実験室の課題で学んだこと……物質にマナジーを送り込むことで内側から干渉することができる。


 実験室のアイテム3種類は干渉するといっても、ある意味俺のマナジーを分け与えて共存するような感覚だった。だから今回なかなか分からなかったが、もしかしたら内側から干渉することで、ゴーレム自身が持っているマナジーの流れを断ち切ることができるのではないのだろうか。


 そんな推測を立ててもう一度ゴーレムを見てみると、なるほど親切にも背中の部分には簡易的な梯子のようなものがある。さっきまで気にしてもいなかったが、あそこからゴーレムに登ることができれば作戦が成功するかもしれない。眼を破壊して怒りモードにしてしまったのは完全にミスだな……


 気を引き締めてゴーレムに向かっていく。正面から俺がやってくると分かって、ゴーレムが両手を祈るように握り合わせると高く振り上げて突っ込んできた俺を叩き潰そうと待ちわびる。


 そう来なくっちゃ……


 俺は真正面から向かっていき、相手の射程に入る手前で一気に走る速度を上げた。ゴーレムが力任せに拳を振り下ろしてくるのを頭上で感じながらスライディングで股の下を潜り抜ける。後ろから拳が振り下ろされた衝撃音と揺れが伝わってくる。当たったら一撃だな……。


 スリルを楽しんだ後、スライディングから素早く起き上がり、まだ態勢を戻していないゴーレムの背中に目掛けて跳ぶ。なんとか梯子部分に手をかけたが、ゴーレムが起き上がって俺の姿を探すために身体を左右に振る。

 振り落とされそうになりながら両手と両足を梯子につけ、なんとか背中の中央辺りまで登ってきた。


 魔力感知でマナジーが最も集まる部分を確かめ、その部分に右手を合わせた。自分の身体とゴーレムの身体との境界線がなくなり、一体となるイメージで……


 おとなしくしやがれ……!!


 右手から多量のマナジーをゴーレムの身体に流し込む。

 すると、ゴーレムの身体に電流が流れたように一瞬ビクッと身体を震わせ……



 動きが完全に止まった。



 やった……のか?



 梯子から飛び降り、ゴーレムに目をやる。爛々と光っていた赤い光も消え、完全に停止している。





「見事だ。」


 気づけばすぐ近くにネスラさんが近づいてきていた。


「はじめゴーレムの眼を壊した時はどうしたものかと思ったが……なんとか冷静さを取り戻して対処したようだな。」


「やっぱ、これが正解だったんですね。ちなみに倒すことって……。」


「不可能だ。」


「ですよね~。」


「戦ってみて分かったと思うが、今のお前の魔術では傷ひとつ与えることはできない。ゴーレムの眼も“ひっかけ”だ。あと、実際に戦闘に使用するゴーレムは今回みたいに弱点をさらけ出しているような造りにはなっていないから闘おうとは思わないほうがいいだろう。」


 今回のゴーレムは「課題用の特性ゴーレム」ってところか。まぁ、何はともあれこれで最後の課題をクリアしたということだな。



 ……お、ログが


—————


特殊クエスト

【魔術師への道:その身に宿るものーその3―】

をクリアしました。

【魔術師への道:その身に宿るもの】

のすべてのクエストをクリアしました。


【スキエンティア魔術大学】への入学が許可されました。

称号【スキエンティア魔術大学入学候補生】が剥奪されました。

称号【スキエンティア魔術大学 新入生】を獲得しました。

称号【停止者】を獲得しました。


職業ジョブが解放されました。

取得できる職業ジョブがあります。


—————


「……じょぶ!?」



今日以降少し更新が遅めになるかもしれません。

20時以降になるかもしれませんが気長に待っていただければありがたいです。

更新頻度が変わる場合はまたお伝えしたいと思います。

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