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ふうこ
今回は謎の少女「倉木楓子」のお話です。
時の流れは、複雑怪奇。
それは、まるで木が枝分かれするように。
数えきれないほどたくさんの枝の先に、それぞれの未来がある。
わたしが生まれた未来も、そのひとつ。
◆
虹色のトンネルは、どこまでも続いているようで。
突然、穴が開いた。
「本当に、着いちゃった…………」
見渡せば、ここはわたしが指定した通りの砂浜だった。
「……記録があっていれば、確かこの時間にはこの場所にいるはずなんだけど……あっ!」
向こうから、わたしが探していた目的の人物達が歩いてきた。わたしは慌てて、近くの岩で身を隠した。
『……珍しいね、楓ちゃんが海に行こうって誘ってくれるなんて』
『……別に』
……間違いない。古い資料で見た、あの二人だ。
「……やっと、やっと会えた……! お母さん達に!」
本編と直接繋がっていない番外編だからこそ、できたお話でした。