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つむぎ
今回は、次回の【星花女子プロジェクト】に登場予定のうちの子、「水上つむぎ」のお話です。
「泡沫の~
小さな少女は~
水面に溶けて~
死んじゃった~」
水平線から顔を出す太陽を眺めながら、白い砂浜に体育座りをして、「私達」は、思い出の曲を口ずさんだ。
海が、輝き始めた。
「私」が沈んだ時は、あんなにも黒く淀んでいた海が、嘘みたいに、煌めいている。
「私」が一生を終えた船は、今はもう、深い海の底。
「私達」は今、もう一度、自分の死んだ場所を見ることができている。
現代医療は、すごいものだと思う。
……でも、ときどき、不安になる。
「私」と「私」と「私」と「私」と「私」は、重なって「私達」になった。
そんなに多くの人生を、「私達」は再び、果たすことができるのだろうか。
「……怖いな…………」
先が見えなくて、不安になったとき。
言い知れぬ恐怖に、あとずさりしたとき。
「私達」は、この言葉を。
永遠に投げ掛ける、この言葉を。
勇気が湧いてくる、魔法の言葉を。
叫ぶ。
「……変身」