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りんひび
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今回は『燐火の響き』のメインカップル「りんひび」の物語です。
「りぃーんー……!」
「んー? ……あ」
本、取られちゃったな。せっかくいい場面だったのに。
わたしから本を取り上げた恋人の響は、なんだかむすっとした顔だ。
「『んー?』じゃない! せっかく海に遊びに来たんだから、燐もパラソルの下で本ばっかり読んでないで、行くわよ!」
「えー……」
「アタシ一人で波打ち際でバシャバシャしてたらバカみたいじゃないっ!」
「……わたしは、そんな響の姿を見ているのも嫌いじゃないかな。……その水色のビキニ、よく似合ってると思うよ」
「なっ……!」
あ、顔赤くなった。
「そ……そんなこと言っても、読ませてあげないんだからっ! ほら、返して欲しかったらアタシを捕まえてみなさい!」
「あっ、ちょっと待ってよ響!」
キラキラと太陽の光を反射する海を横目に、わたしと響の追いかけっこが始まった。あ、なんかこれテンプレートな気がする。
「一応防水カバーつけてるけど、返してー!」
「そんなところだけ気を遣うんじゃないわよっ!」