表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/56

品子の青春41

お話の続きです。

どうぞよろしくお願い致します。


「ただいまぁ~…あれっ?じいちゃん?品子ちゃん?どしたの?薄暗いからそろそろ電気つけるよ!」

仕事から帰って来た美晴は、縁側に干しっぱなしになっていた洗濯物を取り込んで畳み、仕分けながら無表情で黙ったままの二人の様子を気にした。

「ねぇ、どうしたのさ?なんかあったの?パパ達はちゃんと無事に家に戻ったって連絡来てたよ…」

美晴は二人を安心させようとそう言ったのだが、二人の反応は鈍かった。

「ねぇ、じいちゃん!品子ちゃん!どうしたのさぁ?ちゃんと教えてよぉ!ねぇ!」

なかなか口を開こうとしない二人の態度に苛立ちを感じ始めた頃、ようやく品子が喋り始めた。

「ああ、ごめん、美晴、おかえりぃ~…洗濯物、ありがとうねぇ…仕事初日で疲れてるのに、ホンドわりぃねぇ…」

「あ、やっ…そんなのはどうでもいいのさ…あ、じゃあ、品子ちゃんこそ、お弁当ありがとう、すんごく美味しかったよ…って、それはいいから、何があったのかいい加減教えてよ!」

「あ、うん…そうだね…今日ね、お兄ちゃん達から着いたよ~って連絡あっですぐにさ、しろちゃん達の様子がおかしいっで、春子おばちゃんがら連絡来たんだわぁ、んだがら、慌てて行ったんだけど…そん後にさ、父さんと一緒にしろちゃんさ、そっくりの白い人らがやって来てね…そんで、みんなで、しゃっこいスイカ食べたんだぁ…しだらさぁ、春子おばちゃんが育てたスイカなんだどもさ、あ~、だがら家ではおばちゃんのスイカさ当てにしでるがら、あえて育ててねぇんだどもねぇ…あ~、んだども、家がメロンさやっでるもんねぇ…おばちゃんはスイカ、家はメロンでお互い交換するがら、ちょんどいいんだよねぇ…あ~、わりぃわりぃ、脱線しでまっだねぇ…そうそう、スイカよ、スイカぁ…すんごくちょうどいい甘さで美味しかっだんだぁ…んで、みんなで、うめぇうめぇっでなっでぇ、結局、スイカ2つも切ってもらっだんだぁ…後のやつは、急ぎだったがら、あんまし冷えではいなかっだんだども…美味くてねぇ…ねぇ、父さん…」

「ああ、んだぁ…うめぇスイカだんだぁ…1つもらって来たんだわ…美晴、おめぇにっで…いがったなぁ…冷蔵庫さ、入ってるがらよぉ…風呂さあがっだら、みんなで食うべ…なっ!」

スイカが美味しかった話ばかりする二人に、美晴は再度切り込んだ。

「やっ、やっ…スイカはぁ、ありがとう…じゃなくって、何?しろちゃんにそっくりの白い人達来たって、どういうことさ?何?ちゃんと話してよ!」

美晴に強要された形で、ようやく品子から本題に入った。

「そんでねぇ、その白い人の中に一人、あだし達と話せる人っでの?言葉喋れる人がいでさぁ、そん人が言うには…しろちゃんは王女さまだんだって…そんで、お付きの人ど地球さ観光に来てたんだども、途中で音信不通になっでしまっでぇ…そんでぇ、その喋れる人、マクロさんっで言うんだども…そん人らでずっと探してたんだってさ…しだらね、美晴達帰って来た日あるでしょ?日曜日…あん時さ、あんた達連絡寄こさないがらって、しろちゃんに無事か確認してもらうのさお願いしたんだわ…しだらさ、しろちゃん、いいよってな具合で両手から、ほら、あの綺麗な光あるっけ?ほらぁ、美晴もあだしの足さ治しでもらった時に見だっけさぁ…あん光の中にもふもふちゃん入ってさぁ…んで、ずんぶ高~いどこまで上ってって、見てけれたんだわぁ…あんた達のこど…無事だし、美晴一人じゃないよっで…んで、どうも、そん光をそのマクロさん達が見つけたらしいんだわぁ…んでぇ、この辺りさいるんでねぇがって…そういう訳だんだぁ…」

「ふ~ん…って、ちょっ…ちょっとぉ!僕達のこと確認してたの?嘘っ?あっ!だからかぁ…到着しても、誰も驚かなかったもんねぇ、そういえばさぁ…あ~…だからぁ…」

美晴はこの家に戻って来た時の様子を思い返すと、妙に納得がいったのだった。

「で?で、それからどしたのさ?」

「あ~…うん…それがさぁ…しろちゃんのUFOあったべさ…スイカ食べた後に、マクロさん達としろちゃんともふもふちゃんとジェレミーしゃんと、まぁ、あだし達も一緒になんだども、山ん中のそれを見に行ってねぇ…んで、マクロさん達が何がよぐわがんねぇんだども、壊れたどこさ、多分修理したんでねぇがなぁ…みんなで中さ乗ったまんまよ、いきなり空さ浮かんでよぉ…あれはすごがったねぇ、父さん!」

「ああ~、んだぁ…ビュンっていきなり真上さ上がるもんだでなぁ、胃がこう何てがなぁ…おかしな感じさなったけんども…す~ぐ慣れでなぁ…んで、ここらの上さちょっこし飛んでよ、しだら、奥の方のダムさも見えだし、後、ほれ…原発のゴミさ地中のすんげぇ深ぇどこさ埋めるどこ…あれ、何てったがなぁ?まぁ、あれのおかげでってのが、あれと引き換えにここいらのインフラ整備っでの?あれがちゃんど都会並みにしでけれだんだども…まぁ、そういうのも上がら何ぼでも見えんだわぁ…そんで、ゆっくり空を旋回しでたんだども、なんがな、フィ~っと動いだがと思っだら…なんがわがんねぇうちにもっとでっけぇのの中さ入ってでよ…んで、こっだらUFОさなかなか乗るごとねぇべ?んだから、記念にって形で、おらも品子も春子さんも、ジェレミーもよ、まんずトイレさ借りとくべっでなっでなぁ…そんで、借りたら、まぁ~、すんげぇいいのなぁ…ああ、美晴はもう知ってんだよなぁ、しろちゃん達のトイレの素晴らしさはよぉ…まぁ、それがら中のしろちゃんそっくりな人達がら大歓迎うけたんだども…」

昭三は急に話すのを止めた。

「えっ?何っ?で、どうしたのさ?教えてよ!そっから、なんか重大なんでしょ?ねぇ…」

眉間に深い皺を寄せた昭三が、更に続けた。

「…ああ、そんだんだぁ…でっかい宇宙船がら地球ば見せてもらっだりしてなぁ…綺麗だったぁ…んでよ、そんでも2時間ぐれぇだがなぁ…直ったしろちゃんのやつで春子さんどこまで送ってもらっでなぁ…そんで、しろちゃんどもふもふちゃん…あ、そんだ、もふもふちゃんなぁ…ホンドの名前、モフ~モフっで言うんだって…おめが名前さつけだんだよなぁ…確かよ…おめぇ、すげぇなぁ…間に伸ばし棒さ入ってるども、ほぼ正解だったべよぉ…ああ、そんだ、しろちゃんは本名シャイナムちゃんだんだって…ははは…しろちゃんっでじいちゃんがつけだんだども…んでも、「し」だけ…あってたんだわ…わはははは…あれ?何の話だったべ?」

「やんだぁ、父さん…しろちゃんのUFO、春子おばちゃんどこさ停めたっでどこまでだべよぉ…これだもんなぁ、父さんはぁ…」

「やや、すまねぇなぁ…ああ、そんでぇ…その、しろちゃんどもふもふちゃんだんだけんど…元の星さ帰ってまっだんだわぁ…急だんだども…そんだがら、春子さん、ちろっと泣いてまっでなぁ…品子もつられで…まぁ、おらも同じ気持ちだんだけんどもなぁ…しだども、いづかは帰らねぇばなんねぇって思っでだんだどもなぁ…まさが、こっだら急にだがらなぁ…」

「えっ!嘘っ?嘘でしょ?そんなしろちゃん達、帰っちゃったって…嘘でしょ?それ?なんかドッキリとかならやめてよぉ…」

美晴がいくら「嘘でしょ?」と聞いても、昭三と品子は一貫して首を左右に振ったままだった。

仕事初日の今日、美晴も話したいことがいっぱいあった。

けれども、仲良くしていたしろともふもふが突然、しかも自分がいない間に故郷の星へ帰ってしまったと聞くと、昭三や品子同様に美晴も哀しみや切なさに覆われていったのだった。


「…あ、やっ…しろちゃん達、帰っだっつっでも一週間ぐれぇの話だんだわぁ…」

「えっ?」

美晴は品子の言っている意味がイマイチよく理解できなかった。

「やや、だがらね…しろちゃん達はぁ、一週間ぐれぇ留守にするども戻ってくんだわぁ…」

「えっ?あっ?そうなの?なんでまた…」

「ああ、なんがね、しろちゃん、実家から少し荷物持ってくんだって…そんでぇ、今度は言葉喋れるマクロさんがね、千田のばあちゃんとこさ住むこどさなってぇ…あっ、御付きの人2人ぐらいも一緒だったがなぁ…そうだんだってさぁ…」

「へ~え、そうなんだぁ…えっ?じゃあさぁ、じいちゃんも品子ちゃんも今、なんでそんなに沈んでるのさ…春子おばちゃんも泣いたって言ってたけど…僕、てっきりもうしろちゃん達に会えないからしょんぼりしてるんだと…」

「ああ…それね…それはぁ…春子おばちゃんはぁ、しろちゃんとこれがらも一緒に暮らせるがらって…今度は本格的に、正式に一緒に暮らせるんだぁっで、そんでだよ…あたしらはさ…それはさぁ」

訳がわからない美晴は、二人がしょんぼりしている理由を早く知りたかった。

「あ~…んとねぇ…今日がらさぁ、3時がらだったがなぁ…(ラブトシ)の再放送始まったんだけんどもさぁ…」

(ラブトシ)とは、約2年ほど前一大ブームを起こしたドラマ、「ラブラブトシちゃん大作戦」のことだ。

若き主人公が立派なスパイになるべく奮闘しながらも、数々の難事件を解決していくという、ラブ&スパイアクションサスペンスコメディ。

その主役の田川トシヒコ役に国民的アイドルグループ「竜巻」の、紅葉田将もみじだしょう

相手役は若手女優、竹垣えるみ(たけがき)。

そのドラマは、緻密に計算されたトリックやぽんぽんと飛び出る長台詞、そして香港から本格的なアクションを教える講師陣や脇を固める癖の強い俳優陣も相まって、安っぽいタイトルとは裏腹に映画の様な作りのドラマとして高く評価されたのだった。

「へぇ~…そうなんだぁ…僕、そのドラマちゃんと観たことなかったなぁ…」

美晴の何気ない呟きに、品子が強く反応した。

「そうなの!あだし達もそうだんだよ!んだがらね、今日がら再放送だがらっでぇ、今更だけど張り切ってさぁ、見逃してだ第1話を録画しようと思ってたんだどもさぁ…」

そこまで勢いよく喋っていた品子が、急にトーンを下げた。

「ああ、わりぃな…おらがわりがったんだぁ…んだ、んだんだよ…全部、おらのせいだんだ…あ~、わりがったなぁ…」

開き直ったような言い方で昭三が謝り始めた。

「えっ?何っ?どしたの?急に…」

美晴が聞くと、今度は昭三が続けた。

「あ~、そんでよぉ…品子が喋って、おらがその通りに録画の予約しだんだどもよ…さっきちらっど見だらよ…相撲中継が入ってでよ…」

「あ~…」

全てを理解できた美晴は、何だか急に力が抜けたようになった。

「なんだぁ…そんなことで…」

「え~!そんなこどってあんた言っだね!や~!あだし達、すんごく楽しみにしでたんだよぉ~…5時まできっちり仕事してぇ、そんで夜、風呂さあがったらぁ、見るべぇって…今日は夜、面白ぇテレビやってねぇがらドラマさ見るがってぇ…すんごく楽しみにしでたんだよぉ~…」

「あ~、わかった、わかった、わかりましたよ…あ、そだ、誰か録画してないの?再放送じゃなくって、ちゃんとした時間にやってたやつとか…あっ!そだ、まるみちゃんに聞いてみるよ、ちょっと待ってて…」

美晴はそう言うと、ささっとスマホでメールした。

すると、すぐさま返事が返ってきた。

「あ、ねぇ、まるみちゃん、録画したの持ってるって…全部…あ、すごいわ、ちゃんとした時間にやってたやつだから、予告編とかも入ってるみたいだよ…どうする?借りるかい?」

暗雲が立ち込める中、雲の切れ間から細い光の線が見えたようだった。

「うん!お願いしで!」

珍しく昭三と品子の声が揃った。

二人は急に辺り一面が明るくなったような気がした。

そうなると、品子は急いで晩御飯の支度をし、昭三はテレビをつけた。

「それにしても…」

美晴は家に戻ってからの僅かな時間に、すぐには対応できないほどの情報を受け取ったのだった。

漫画の中の様なしろちゃん達の話。

くだらなすぎる昭三と品子の元気がなかった理由。

それら全部が美晴の脱力感に繋がったのだった。

「あのさぁ…悪いんだけど、先にシャワー浴びてきていいかなぁ…」

美晴はシャワーを浴びてさっぱりすることで、全てを消化できそうな気がした。

最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。

お話はまだ続きますので、引き続きよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ