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おっぱいなら僕を止められる

「ごほん。さて、次はこの世界についてお話しましょう」


仕切り直しだという感じで咳ばらいをした後に少しこちらに近付いてくる。長い金髪が少し目に入らないかが気になった。


「この世界はあなたの暮らしていた地球とは似て非なるものです」

「どう違うんだ?」


魔法とかがあるのは分かったがそれ以外にどう違う。実はケモ耳に期待している。

ケモ耳とはロマンだと思う。


「獣人とかいるの?」


多分、少し前に体を傾けているだろう。

今の興味はケモ耳とおっぱいにしかない。


「ええ、存在しますよ」


それを聞けただけで満足だ。


「ありがとうございます。じゃあ早く見に行ってもいいですか」


言うが早いか、駆け出し始める。

もう誰も僕を止められない。


「うわぁ」


ポヨンとした感触にぶつかって後ろに倒れてしまった。


「まだ、お話がありますのでお待ちください」


は、速い!僕が走り始めたのがずっと速かったはずなのに。

このボインな子はもしかしてすごいのではないだろうか。


……はっ!先ほどの感触はもしかしておっぱいだったのでは。


「顔が緩んでますよ」


怪訝な顔で言われても今の僕は気にならない。

先ほどの言葉を訂正しよう。

おっぱいなら僕を止められる。

大きな声で叫んでもいい。


「おっぱいなら僕を止められる!」


堪らず叫んでしまった。

キャッ、恥ずかしい。


「……いきなりどうしたんですか」


冷めた目で見られるのが悲しい。

僕はおっぱいの素晴らしさを叫んだだけなのに。

……うん、軽蔑されてもしょうがない。


「続けますよ」


金髪ボインな女の子は腕で輪っかを作りながら呪文らしきものを唱えた。

するとそこから緑色の肌をした、小説で言われるところのゴブリンが現れた。


「このようにこの世界には魔物が存在します」


指を鳴らすだけでゴブリンが消滅してしまった。

もといた場所に帰しただけなのか、それとも殺したのかがよく分からなかった。

殺したのだとしたら強すぎるな。

目の前の金髪ボインな女の子に脅威を感じた。

ちなみに胸囲は最初から感じていた。


「その上位として魔人が存在します。こちらは理性がありますが少々残虐な一面がありますね」


ここまで聞いて魔人とはあまり関わらないでおこうと心に決めた。チートもなしに関わるのなんて御免だ。


「それらを束ねるのが魔王と呼ばれます」


うわ、出たよ魔王。

もしかして魔王倒すために異世界に連れてこられたんじゃないだろうな。絶対嫌だぞ、僕。


「もしかして魔王倒せとかいう?」

「そんなことはありません。むしろ倒されたらこの世界が困ります」


どういうことだ?


「魔王が魔人を束ねているおかげでようやくあちらから人に攻撃を加えてこないのです。魔王を倒してしまっては、それが崩れてしまいます」


あれ?もしかして魔王いい人。

それじゃあ、なんで僕、異世界来てるんだ?


「それは知りません」


質問してみるとすぐに答えが返ってきた。


「知らない?」

「ええ、知りません。私もそこのところは教えていただけませんでしたので」


ということはこの子より上の存在がいるということか。

それじゃあ、この子は何者だろうか?


「基本的なことはこんなものでいいでしょう。後は自分で調べてみてください。何か質問がありますか」


質問ね。質問したいことはたくさんあるがその中から厳選したものを聞こう。


「バストサイズを教えていただいてもいいですか」


きっとこの時僕は漢の顔をしているだろう。決してオオカミという意味の方ではなく。


「91です」


な、なんだと。

なんて大きさだ。

崇めてみてもいいだろうか。というか神様だ。

ありがとうございます、ありがとうございます。


「それだけですか」


若干軽蔑な目線で見られたがもうそんなもの響かない。

むしろ神様にされる分はご褒美だ。


「じゃあ最後に一つだけ」

「なんでしょう?」

「名前は」


そう聞いたときにボイン様が固まった。

そしてしばらく考え始めた。

そんな答えにくい質問をした覚えはないのだが。

40秒ぐらい時間が経ったとき絞り出すように答えを出した。


「わ、分かりません」


自分でも困惑しているように見える。

そんなことを気付いていなかった自分に驚いているようにも見えた。


「私はいったい何なんでしょう」


そんなことを聞かれても困る。

僕が知っているわけがない。分かるのはそんなことになっても胸は揺れているということだ。

あれ、何気に名言だ。


「記憶が無くなっている!?」


どうやら彼女の方でおかしなことが起きているようだ。

いったい何が起きているんだ。


「きゃあ!!!」


いきなり叫びだして倒れてしまった。

体が地面にぶつかる前に何とか受け止めたが様子がおかしい。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


一筋の涙が目からこぼれている。

この子はいったい誰に、何に謝っているのだろうか。

腕に温もりを感じながら僕は途方に暮れた。

……どうしてこうなった。

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