永遠の迷宮
「あの、すみません。」
「あ、どうも、いらっしゃいませ。今回はどのようなご用件で?」
「クエストのほうを。」
「それでしたら、この中から選んでください。」
洞窟の赤鬼 ★クリア★
永遠の迷宮・・・50セリア Lv1から
漆黒の花園・・・75セリア Lv3から
風に輝く魔物・・・90セリア Lv5から
氷河の虎・・・120セリア Lv7から
「じゃあ、永遠の迷宮でお願いします。」
「わかりました。ちなみに、今このクエストに出発しているパーティは3組です。」
「よし、報酬とられる前に行こうぜ、レオ。」
「では、行ってらっしゃいませ。」
レオ達は、革の装備を身に付け、石の剣、竹の弓、木の杖を手に持ち、レオは、アクセ装備として、角の耳飾りを耳につけた。
「よし、じゃあ行こう。」
レオ達は町の門を潜り、旅に出た。クエストの依頼の内容は、『村の近くの外に大きな穴があいたので、原因を調べてほしい。』とのことだ。
レオ達は町を出発してから2時間ほど歩いた。
「確か、場所はチャナ地方付近だから、西の方だな。」
「ゴブリンの洞窟は町から北の方だったよね。」
西にあるチャナ地方は、天に昇る緑色の龍などが有名な所だ。
「そう言えば、他の3組はもう目的地に着いたのかな?」
「なぁに心配ない。俺達は強いんだぜ?Lvなんて4、3、4、4だろ。」
「あの…、先ほどから魔物がこちらへ来てるようなのですが…。」
「ん?」
レオ達は後ろを向くと、六匹ほどの蛇が四人の後を追っていた。
「お!見たことねえ魔物が来たぞ。」
「図鑑によると…。こいつは鱗蛇だ。綺麗な緑の鱗を纏っていて、毒の牙が特徴らしい。」
「んじぁ、もう俺達はチャナ地方付近に来てるってことか?」
「そうみたいだ。とりあえず攻撃だ!」
レオは石の剣を取りだし、大きく横斬りをした。刃は、三匹の鱗蛇を斬った。
「そうか、【フィールドバトル】にしたからターンなんて無いんだ。」
アランは、二匹の鱗蛇を殴ると、鱗蛇は血を吐いて倒れた。
「さぁ、どんどん来い!!」
ドーマは、竹の弓で矢を放ち、三匹の鱗蛇に命中させた。そのうちの二匹の鱗蛇は倒れた。
「きゃあっ!!こっ、来ないでくださいっ!!」
ネネカは、木の杖を振り回し、二匹の鱗蛇を倒した。すると、一匹の鱗蛇がドーマに噛みついた。
「うぐっ、あぁっ!!」
ドーマは毒を受けた。
「ドーマ!大丈夫?」
「な、なんか、苦しい…うっ!」
「チィッ!!役に立たねぇ!」
アランは鱗蛇を殴った。
「ふぅ、片付いたか…」
「みんな、早く毒消し草を!」
レオが、横たわって苦しんでいるドーマのほうへ走り出した。
「んなもんリュックの中にねぇよ。」
「ここは草原ですから、生えているかもしれません。…探しましょう。」
ネネカが言うと、レオは足を止めた。
「…そうだね。ドーマ、待ってて。すぐ見つけるから。」
「悪いね、アタシのために。…うぐっ!」
「おいおい、このままじゃ報酬持ってかれるぞ。」
アランがあきれた顔で言った。
「でもこのままじゃドーマが死んじゃうよ。」
「ドーマなんて知ったことかよ。」
「なんだと!?アタシに死ねって言うのかい?」
ドーマが立ち上がろうとした。
「やめて下さい。…私が探します。」
そう言ってネネカは毒消し草を探し始めた。それに続いてレオも一緒に探し始めた。
「……ったく、どいつもこいつも。」
「ん〜無いなぁ。ネネカ、あった?」
「無いです。」
「これじゃあ毒消し草どころか薬草しかないな。」
そして、5分が過ぎた。
「無いなぁ。………どうすれば。」
すると、アランがレオの方に来た。手には何かを握っていた。
「あ、アラン…どうかしたの?」
「レオ、頼みがある。手を出してくれ。」
「え?う、うん。」
アランがレオの手に何かをのせた。それはなんと毒消し草だった。
「アラン…どうして。」
「話はいい。これをアイツの口にでも放り投げてこい。あと、この事は言うなよ。」
「……わかった。ありがとう。」
そう言ってレオは毒消し草を握った。
「ネネカ、あったよ!」
「本当ですか?…良かった。」
レオはドーマに毒消し草を使った。
「ふーっ、すっかり元気になったよ。悪かったね、心配かけて。」
「いいよ。さぁ、行こう。」
レオ達はまた歩き始めた。
しばらく歩くと、大草原のなかに1つの村が見えてきた。
「ねぇ、あの村ってチャナ村じゃない?」
「多分そうだ。少し寄ってみよう。」
レオ達は村へ歩いた。村の門に飾られている看板には、<緑龍の村 チャナ>と書いてある。
「おお、すっげぇー。まるで中国に来たみたいな気分だ。村の屋根のほとんどが綺麗な赤色に染まっている。」
すると、一人の老人がこちらの方へ歩いてきた。
「ふむ…。ほお…。あなた達は何しにここへ?」
「あ、ええっと…依頼を受けてここへ…。」
「おお、そうかそうか。これは失礼した。いやぁ、しかし有難いことじゃわい。」
「あの、依頼にあった穴とは一体?」
「うぬ。この村の裏に大きな穴ができてのう。畑仕事もできないのじゃよ。夜には2人の小僧がいなくなったとか。」
「そうなのか。じゃあ早いところ行こうぜ、レオ。」
「おおっと、慌てるでない。コレを持って行け。」
老人は袋から松明を取り出し、レオ達に言った。
「あの穴はとにかく暗い。そして、迷路のように道が多く、迷うこともある。持って行くのじゃ。」
「ありがとうございます。」
レオは松明を受け取った。
「…頑張れよ若いの。ワシはあなた方が成功してくれるのを信じておる。」
「おう。じゃ、行ってくる。」
アランが言うと、レオ達は村の裏へ行った。そこには、半径5mほどの穴が空いていた。
「ほぉ…。思ったよりデカいな。本当に行くのか?」
「…行こう。」
レオ達は大きな穴へ飛び込んだ。
穴は大きなうえに深く、冷たい空気が感じられる。周りは一瞬として暗黒の世界となった。四人は柔らかい地に腰をついた。
「……ぅ、んん……。みんな、無事か?」
「はい。結構高い所から落ちましたけど…、思ったより痛く無かったですね…。」
「それにしても暗いな。何も見えない。松明を使おう。」
レオは松明を取り出し、火をつけた。すると、一瞬のうちに洞窟が明るくなった。
「よし、これで先へ進める。」
「ちょっと待てよ…。レオ、アラン、ネネカ。下を見てみな……。」
「なっ!?」
「キャッ!!」
「くっ!!!」
足元には大量の抜け殻や鱗があった。高い所から落ちても、怪我1つ無かったのは、この抜け殻があったからだ。
「レオ…これ、何の抜け殻だと思う?」
「んー。鱗があるから虫ではないね。でも、獣でもなさそうだ。」
「あっ!!さっきの鱗蛇じゃないか?」
「そうか!可能性としては有り得る。この鋭い鱗、長くしなやかな皮。間違いない。」
「じゃあ、この穴はこの蛇の巣ってわけか。」
「さっき戦ったばかりだから、きっとうまくいくよ。行こう。」
レオ達は先へ進んだ。