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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
8/206

石畳の上で

 夜が明けた。この日、レオ達は商店街で装備品を買う予定だ。少し前に起きたドーマが寝ているレオの顔を覗くと、彼は目を覚まし、両腕を伸ばした。


「…おぅ、起きたかレオ。」

「うん、おはよう。早いところ荷物をそろえて宿を出よっか。」

「おいおい、今日は旅に出ねぇんだろ?ゆっくりしていこうぜ?」


 ベッドの上で脚を組んで座るアランがそう言うと、レオは立ち上がって首を横に振った。


「ダメだね。話によると、この町で売られる品はこの世界の中で最も評判が高いらしい。他の生徒に買われて売り切れになったら困るよ。」

「ったく……わかったよ。」


 レオ達は宿を出ると、商店街の武具屋へ向かった。商店街はいつも賑わっており、石畳の弾みが足から伝わってくる。武具屋の前に立つと、そこには体つきの良い男が立っていた。




「へい、いらっしゃい!!今日も良い物揃ってるよ!!」


武器

木の剣・・・150セリア

木の杖・・・100セリア

木の弓・・・125セリア

木の棍棒・・・130セリア

石の剣・・・350セリア

石のナイフ・・・250セリア

石の槍・・・280セリア

竹の弓・・・230セリア

竹の横笛・・・200セリア


「…そうだなぁ…石の剣と木の杖と竹の弓をください。」

「はい、合わせて680セリアね。」


 するとアランの表情は曇り、眉間にしわを寄せて口を開いた。


「すんませ〜んっ、グローブみたいな武器は無いんすか?」

「すまないねぇな兄ちゃん。手甲ならついさっき売れちまったぁ。」

「……マジかよぉ…」


 アランは落ち込み、奥に見える剣や槍を見つめた。


「また仕入れておくから、それまで素手でなんとか頑張ってくれ。…それじゃあ、防具は欲しいモンあるか?」

「そういえば、今の僕達の防具ってまだ学校の制服だったね。」


防具

革の帽子・・・120セリア

革の鎧・・・150セリア

革のすね当て・・・135セリア

パーニズの服・・・80セリア

パーニズのスカート・・・45セリア


「革装備4人分ください。」

「はいよ。合わせて1620セリアね。」


 すると、ネネカは和を感じるデザインの服を見つめて口を開いた。


「あの…すみません…パーニズとは…?」

「……!!ぅぬっ!!なにぃ!?!?この国の名前もしらんのか?……ここはな、世界中の冒険者や品が集まる世界の中心の国、パーニズだよ。…こりゃ兵長…言い忘れてるな〜…」


 驚いた彼の口から出た言葉に、ドーマは少し微笑んだ。

「…意外とそういうトコあるんですね…あの人。」

「よし、武器と防具も揃ったとこだし、ついでにエレナス兵長に挨拶しに行こうよ。」


 レオ達は、城の門の前に立っているエレナスのところへ行った。




「あ、いたいた。兵長〜っ!!」

「おう、お前らか。洞窟の赤鬼のクエストの働きぶりは見事だったぞ。」

「まぁ、結構余裕でした。」


 アランは得意げにエレナスに言った。


「そうか。あっ…そう言えば、何個か言い忘れていた事があったな……。」

「……この国の名前といい、色んなこと言い忘れますね……なんです?」


 レオが言うと、エレナスは赤い顎髭を撫でて口を開いた。


「お前達、属性って知ってるか?」

「あ〜、ゲームでよく聞く言葉だけど。…まさか、この世界にもあるんすか?」


 ゲームが好きなアランの目は、彼の言葉で輝いた。


「ああ、結構あるぞ。全部で12もある。」

「えっ!!12もっ!?」

「あぁ。火、水、森、風、雷、龍、毒、地、氷、聖、闇だ。」

「1、2、3、4…あれ?1つ足りない……?どういうことだ?」

「それがな、あと1つは誰も知らないんだ。だが、確かにあるらしい。」

「へぇ〜。っで、その属性について詳しく教えて下さい。有利とかっ…不利とかっ。」


 話に食らいつくアランを見て、エレナスは紙と羽付きのペンを取り出し、書き始めた。


「簡単だ。『⇒』を有効、『⇔』をどっちも有利と不利で考えると……」


火⇒森⇒水⇒火

風⇔雷⇔龍⇔風

聖⇔闇


「そして、毒、地、氷はその他ってところだ。」

「その他の属性は有利とか不利とかは関係無いんすね。」

「そうだ。そして、それぞれの属性は、状態異常を起こす事がある。

火は、火だるまだ。自分のHPが少しずつ削られていく。治すには、水の攻撃や水の魔法をかけてもらうか、相手のを喰らうか、だ。そのまま放置していてもいずれ火は消える。

水は、窒息だ。その状態異常にかかると、自分の動きが遅くなり、攻撃速度も落ちる。治すには、窒息状態を治すアイテムを使うか、戦闘から逃げるか、だ。

森は、眠りだ。名前のとおり、しばらくの間自分が戦闘不能になる。しかし、眠っている間は少しずつHPが回復していく。治すには、相手か仲間の攻撃を受けるか、だな。もちろん、少し経てば治る。

風は、混乱だ。この状態の間は無意識のうちに自分や仲間を攻撃してしまうことがある。治すには、相手からの攻撃を受けるか、戦闘を終えるか、だ。

雷は、麻痺だ。その名のとおり、一定の時間動けなくなる。治すには、麻痺を治すアイテムを使うか、相手か仲間の攻撃を受けるか、だ。

龍は、恐怖だ。この状態異常は自分の魔法や特技の使える範囲が制限されるとても厄介なものだ。治すには、戦闘を終えるしかない。

聖は、幻だ。この状態異常は、本当は居ない敵が見えたり、仲間が敵に見えたり、攻撃の命中率が大きく下がるものだ。幻を見ている状態を治すアイテムを使えば治る。

闇は、呪いだ。これは、自分が高確率で金縛りに掛かって動けなくなったり、最悪の場合には死に至ることもある。それに、魔法と特技が一切使えなくなる。治すには、教会で呪いを解いてもらうしかない。

毒はそのままだ。毒や猛毒を受けると、毒は5秒ごとにHPが少しずつ削られていく。猛毒の場合は5秒ごとに大きいダメージを喰らうことになる。治すには、アイテムの毒消し草か解毒剤が必要だ。

地の石化は一定の特技がつかえなくなる。病院で治してもらえ。

氷は、凍結と言い、動けなくなる状態異常だ。治すには、火の攻撃や火の魔法を受けるか、戦闘を終えるか、だ。

まぁ、こんなもんだ。ちなみに、火だるま、麻痺、幻、凍結は宿屋で休めば治る。」

「んー、覚えにくいなぁ。」

「そのうち、慣れてくるものだ。おっと、あと、コレをお前たちにやろう。」


 レオは分厚い本を受け取った。


「…これは……?」

「図鑑だ。お前たちが見た魔物の情報が自動的に記入される優れものだ。持っていけ。」

「ありがとうございます。」

「あと、最後に1つ。クエストをクリアすれば、建物が建ったり、町に新しい機能がついたり、イベントまで開催されることがある。頑張って人々の依頼を達成していくことで、得することもある。これからもお前たちの働きに期待しているぞ。」

「はい!今日はありがとうございました!!」


 レオ達はエレナスと別れ、石畳の上を歩き始めた。


「なーんか、覚えにくいなぁ。属性って。」

「でも、単純なことだと思うよ。」

「それにしても、あと1つの属性って一体何なのでしょう…?」

「んー、聖と闇に関係することだと思うけどな。…それでも分からない。」


 その時、聞き覚えのある声が聞こえた。


「やぁっ!レオ、アラン、ドーマ、ネネカっ!」

「あ!コルトっ!」


 そこにいたのは、コヨーテ・ルティエンス(コルト)だった。レオとネネカはコルトとは幼い頃からの仲良しだ。


「聞いたよ、君達のパーティが、あのクエストをクリアしたんだって?」

「おいおい、その話は聞き飽きたぞ。」


 アランは表情を曇らせて頭を掻いた。


「フフッ、だろうね、この町でその話はもう広まっているからね。」

「んでコルト、アンタ職業何にしたの?」

「魔法使いだよ。」

「魔法使い!?へぇ…モノ好きも居るもんだなぁ………で、どうなんだよ?」


 アランはコルトに問いかけると、コルトは笑顔で答えた。


「結構気に入ってるよ、杖や手から火とか出すってカッコ良くない?」

「うん、確かに。それで、パーティのステータスはどんな感じなの?」


 レオの言葉に、コルトは少し勢いを止めた。


「ん〜、そうだね。微妙って感じかな?」


コルト Lv3 魔法使い HP20 MP37 SP0

オーグル Lv3 戦士 HP22 MP0 SP13

エルア Lv2 盗賊 HP17 MP20 SP23

スフィル Lv2 弓使い HP15 MP34 SP28


「へぇ〜…いい感じじゃん。」

「そうでも無いよドーマ。僕以外のみんなはクエストに行きたくないって言うから全然町の外に出れなくてさ…」

「…では、たまには私達のパーティに来るのはどうですか…?」


 ネネカが言うと、コルトは目を大きく開き、両腕でレオの肩を揺さぶった。


「…!!それだ!レオ、いつでもいいから僕をパーティに入れてくれない?」

「…うん、いいけど。」

「やったぁっ!!じゃあお礼に1つ良いこと教えるね。」

「何だ?」


 アランはレオを押し除けてコルトの前に立った。


「このゲームでは2種類の戦い方があるらしいよ。」

「どういうことだ?」

「ターンバトルとフィールドバトルさ。多分今の君達のパーティはターンバトルだ。」

「へぇ〜。で、その2つにはどんな違いがあるんだ?」


 先程のように、アランは彼の話に食らいつく。


「ターンバトルは、自分の動ける範囲が決まっていて、その時のアクションも限られてしまうんだ。」

「そうかっ、だから体に違和感があったのか。」

「そしてフィールドバトルは全ての動きがいつも通りになって、とても戦いやすいんだ。」


 その言葉を聞いたアランは後ろの3人に振り向き、口を開いた。


「じゃあよ、俺達もフィールドバトルにしようぜ。」

「そうだね。コルト、情報ありがとう。」


 レオ達はコルトと別れた。

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