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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
78/206

もう一度

 レオとアランは同時に男に飛び掛かった。男はレオとアランを睨み、アランの銀の拳を右の剣、レオの剣を左の剣で受け止めた。3人は力任せに押し合い、ジリジリと火花を散らした。


「感じる……貴様らの心臓の音が、剣と拳から伝わってくるぞっ!!“ソウルドレイン”!!」


 男の左の剣から禍々しいオーラが溢れ出し、レオを包み込んだ。レオは苦しそうな顔をしながらも、男の剣を押して耐えている。


「ぅぅっ…………くっ……!!」

「チィッ!!“スクリュー…」

「遅い。」


 アランがもう片方の拳に竜巻きを纏わせると、男はアランの腹に蹴りを入れ、飛ばした。


「ウボォッ…!!」

「……ぅっ…………!!“ライズスラッシュ”っ!!」


 レオは力を振り絞り、剣を上へ振ると同時に、高く跳んだ。男は後ろに下がって、その斬撃を回避した。


「……無駄な足掻きをっ!!」


「“ハイリロード”っ!!」


 ドーマは遠くから素早い矢を15本ほど連続で放った。男は次々と飛んでくる矢を斬り落としつつ、走って回避した。


「無駄だと言っている。」


「チッ!早すぎるっ!!」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 アランは口から一筋の血を流しながら、男を目掛けて走った。


「まだ来るかっ!!“タイダルウェーブ”!!」


 男の左手の剣から大きな波が現れ、アランに襲い掛かった。アランは立ち止まり、腰を低くして構え、竜巻きを纏った拳を突き出した。


「“スクリュー・ストレート”っ!!」


 大きな波はアランの放った竜巻きに弾かれ、雨のように降り出した。すると、レオはアランの隣に着地し、息を切らして男を睨みつけた。


「アランっ…………アイツ、強すぎるよ…………」

「あぁ…………確かに強い………。異常だ……。」


 すると男は2本の剣を下ろし、レオとアランとドーマを見下すように口を開いた。


「……なぜ貴様らが俺に苦戦するのか……教えてやろう。ちょっとした冥土の土産ってやつだ。俺はガキの頃から、ある能力が使えてな……。」


 3人は男を睨み、静かに話を聞いた。


「ある能力………それは、正確な未来予知……貴様らの動きが分かるんだ。……どうだ?勝ち目など無いだろう?」


「……み、未来予知………」


 レオとドーマは、男の言葉に手を震わせた。本当に勝てないかもしれない……そう思ったのだ。するとアランは、隣に立つレオに小さく口を開いた。


「なぁレオ…………俺、分かったかもしれねぇ……」

「……分かったかもって……何が…………?」


 レオの握る剣は細かく震えている。


「アイツの異常な強さの理由だ。確かに、未来予知は強いさ。俺の好きな漫画でも、未来予知に勝てる奴なんていなかった。話の方向を変えれば、今まで俺達、この世界でいろんな経験をした。ここまで生き抜いて、チート能力使えるモブが出るなんて、もうアレしかないだろ……?」

「……アレって…………!!まさかっ……」

「あぁ、もう1つのアイツの強さの理由。それは……」


 3人は恐怖を噛み殺し、男を睨んで構えた。


「ラスボスだっ。」


「黄泉へ向かう決心はしたか…?」


 男は2本の剣を強く握ると、レオは遠くで倒れているネネカを見て、再び男を睨んだ。


「アイツを倒せば……帰れるっ…………もう一度っ…………みんなで……普通の生活をっ……」


「さぁ、足掻いて死ぬか…一方的に殺されるか……選べ。」


「そうだ…………戦わなければ……殺される……でも、今こうして生きているからこそ、出来ることがある。何度だって足掻ける…………アラン、ドーマ………………ネネカ………戦おう…………最後までっ!!」


「死ねぇっ!!“ヘル・キャノン”っ!!」


 男は禍々しい巨大な波動をレオとアランに向けて一直線に放った。レオとアランは回避することなく構え、波動に攻撃を放った。


「“連続斬り”ぃぃぃっ!!」

「“スクリュー・ストレート”ぉぉぉぉぉっ!!」


 巨大な波動と2人の攻撃が激しくぶつかり合った。2人は歯を食いしばり、重く襲い掛かる波動を力任せに押し出そうとした。


「くっ……ぅぅぅおおおおお!!」

「はああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 その時、巨大な波動は激しい光と音とともに弾け飛んだ。


「ふっ、さすが人間だ。」

「はぁっ……はぁっ…………」

「はぁっ………行くぞっ!!」


 レオとアランは勢いよく飛び出し、男に攻撃をした。男は2本の剣で攻撃を振り払った。鉄と鉄とが激しく交わり、周辺に音を響かせながら火花を散らす。ドーマは隙を見て矢を放った。


「無駄だと言っている。結果は同じだ。俺の見る未来は貴様らの死を語っている。」

「死ぬかもしれないのは分かってるっ!!だけどっ!!」


 レオは剣を振りつつ敵の斬撃を見て、弾き弾かれるのをひたすら繰り返している。戦いのこと以外、ほとんど考える事ができない。一瞬でも他の事を意識したら殺される……剣と剣の交わる音を聞くたび、そう思った。


「テメェらダークネスが何のために戦ってんのかは知らねぇっ!!少なくとも俺達にはなぁっ、戦う理由があんだよぉっ!!」

「人間が戦う理由かっ、言ってみろっ!!」


 男は、アランの銀の拳を剣で弾き返し、次々と飛んでくる矢を斬り落とした。


「帰る場所があるのさっ!!」


 ドーマはそう言って、止めることなく矢を放ち続けた。


「帰る場所だと…くだらないっ、面白く無いなっ!!」


 男が右手の剣を突き出すと、アランの左頬をかすり、血を流した。


「いっ……!!テッメェェェェェッ!!!」


アランは重く硬い拳を突き出すと、男の頬に直撃し、男を遠くへ飛ばした。男は空中で体勢を直し、地に手をついて着地した。


「…………貴様ら……っ!!許さん……!!」

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