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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
66/206

水飛沫の先へ

 グアラニ大滝の下で、レオとココは水飛沫を浴びながらタキオオハシの群れに飛び込み、ドーマは少し遠くで弓矢をタキオオハシに向けて集中していた。


「“回転斬り”!!」(少しでも広く、通路をつくるんだっ!!)


 レオは群れの真ん中に立ち、剣を振り回した。するとココはエルドの姿に変身し、禍々しい短剣を握った。


「あまり動かない方がいいですよ。安楽死を望むのであれば…“ブラッド・ミキサー”……」


 ココはその言葉を言ったすぐに多くのタキオオハシを斬り刻んだ。滝の下はその一瞬で血の海になった。


「は…はえぇっ……」


 ドーマは思わず弓を下ろした。


「ドーマちゃん、まだ武器下ろさないのっ!“アースシェイク”!!」


 マリスは大きなハンマーを地面に叩きつけると、地面に立っていた全てのタキオオハシの脚が弾け飛んだ。


「二軍のみんな!今だよっ!!」

「サンキューお前ら。」


 シルバはマリスの声を聞くと、緑色の炎を仮面のように顔につけた。


「おいシルバ、競争って言ったけどそれは反則だろっ!」

「ん?まぁ狐火くらい許してちょ…よし行くぞっ強行突破じゃあぁぁぁっ!!」


 シルバとライラに続き、アランとネネカが滝に向かって走り始めた。シルバとライラは一瞬で滝の裏の洞窟に入ったが、ネネカは足元の水のせいで早く走れていない。そこに一羽のタキオオハシが飛び掛かってきた。ネネカに触角を向けている。


「ネネカっ!!」


 ドーマはすぐに矢を放ち、そのタキオオハシを倒した。


「ドーマさん、ありがとうございます!」

「礼は後!!早く行けっ!!」

「あ、は、はいっ!!」


 ネネカはまた走り始めた。


「ネネカっ!!飛び込めっ!!」


 アランが滝の前でネネカに叫んだ。ネネカはその声を聞いた途端に滝に飛び込み、同時にアランも滝の奥に入った。


「よし、二軍突破成功っ!私達はここを一掃するよっ!!」

「マリスさん、承知しました。」


 ココは短剣を構え、タキオオハシの群れの中でレオと背を合わせた。


「変身…凄いですね……声、口調、姿……本物みたいです……」

「おや、そのお言葉、感謝致します。さぁレオさん、いきましょう。」

「はいっ。」


 レオとココは同時に群れに斬りかかった。


「……………そこだっ!!」


 ドーマは矢を放った。しかし、狙っていたタキオオハシは飛んで矢を回避した。


「クッソ、惜しかったのにぃっ!!」

「ドーマちゃん、ちょっと矢貸して?」


 マリスがドーマの矢筒に指をさした。


「え、あ、はい…」


 すると、マリスは矢筒に入った矢と全てのタキオオハシに何かを唱えた。


「よし、じゃあ五本一気に放ってみて!」

「え!?ご…五本ですか!?……わ、分かりました。」


 ドーマは戸惑いながらも弓に五本の矢を掛けて放った。すると、放った矢はいつも以上に速く飛び、五羽のタキオオハシにきれいに命中した。


「えっ…マ、マリスさん……何を…?」

「磁力よ磁力っ!ドーマちゃんの持ってる矢をS極に、タキオオハシをN極に設定したから、絶対に当たるようになったの!どう?」

「す、凄いです…けど…何か、卑怯じゃないかな…って……」


 ドーマは苦笑いをした。


「え〜っ、褒めてよぉ〜っ!!」




 その頃、二軍の四人は松明を持ち、静かで暗い洞窟を歩いていた。四人の足音や息が少し不気味に響く。


「アランさん、ネネカさん。具合悪くなったら無理せず言ってね。俺、一応ヒーラーだから。」

「あ、はい、ありがとうございます。」

「あ、あざーす…」


 ライラの優しい声にネネカとアランは少し深く頭を下げた。


「しっかし暗いなぁ………そういえばライラ、ツルハシって何本あったっけ?」


 先頭を歩くシルバは後ろを向くことなくライラに聞いた。


「え、確か三本だったから、多分ネネカさん以外で」

「ふ〜ん…じゃあ俺以外で採掘やっといて。」

「なっ、おいおいシルバ、女子にやらせるは愚か、一人で戦うのか?」


 ライラはシルバの言葉に半分驚き、松明をシルバの顔に近づけ照らした。


「ちょ、あちぃあちぃって!やらしてくれよぉ〜楽しそうじゃ〜ん。」

「ったく…護衛くらいさせてくれよ。」

「うぇ〜い。…ん?…複数の力………お前ら、松明一旦消せ。」


 大きな水の溜まり場を見つけると、シルバは立ち止まり三人に言った。三人は戸惑うもすぐに湿った地面に松明の先をつけて火を消した。すると、先ほどまで漆黒に揺れていた水の溜まり場が、無数の蛍光色で光り始めた。


「す、すげぇ……」

「綺麗…ですね……」


 アランとネネカは思わず息を呑んだ。


「…………こいつはヤベェなぁ…」


 シルバは一人表情を濁らせていた。


「なぁ、シルバ…まさかこの光全部……」

「あぁ。ヒカリヨロイウオだ。」

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