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ティア・イリュージョン  作者: おおまめ だいず
秘宝編
64/206

重なる戦力

 パーニズの町外れに建つ小屋の中は、今日も静かだった。

「…………」

「…………」


 小さい机にライラとリュオンが向き合って座っている。互いにカードを五枚、机の上にはカードの山がある。


「なぁじっちゃん、あの二人何やってんだ?」

「おや、シルバ様ご存知ないのですか?あれはカードゲームの一種のポーカーというものです。」

「ふ〜ん……」


 すると、ライラとリュオンは同時にカードを置いた。


「フルハウス。」

「ふっ……残念。ストレートフラッシュだ。」


 タバコを咥えたリュオンは椅子に持たれてにやけた。


「どうやら、今回もリュオンさんの勝ちのようです。まぁ、当然の結果ですが…。まったく…頭の大半がギャンブルのリュオンさんに付き合わされるライラさんが可哀想です。」

「ふ〜ん……」


 リュオンはタバコの煙を大きく吐き、ライラの瞳を見つめた。


「なぁライラ、お前はどう思う?」

「どうって、何を?」

「あれだよ。運も実力の内ってやつだよ。どう思う?」


 ライラは机の上に散らばったカードをまとめながら考えた。

「……考えた事ないな……」


 すると、扉が開き、レオのパーティが入ってきた。


「おやおや、お久しぶりです。」

「ど、どうも。」


 レオ達はカウンターで皿を拭くエルドに軽く頭を下げた。


「……ライラ、この話はまた今度…いや、もう話さんかもな。」

「………はいはいそうですか。」


 ライラは立ち上がり、リュオンから逃げるようにしてシルバの隣に座った。


「今回はどのような相談で?」

「装備のことなんですが、さっき商店街に行ったら、もうこれ以上強い装備は売ってないって言われて…」


 レオは傷ついた自分の鎧を見て言った。


「なるほど。では、作るのはどうでしょう?」

「作る?」


 アランは腕を組んで言った。四人とも表情が濁っている。


「はい、作るのです。装備を。ドーマさん。この前教えたサブ職を覚えていますか?」

「確か、クラフター…んでもってデンテがクッカー…他にあるんですか?」

「もちろんです。今回役に立ちそうなのは、ブラックスミスとシーンストリスというものですね。どちらも素材を集めて装備を作れるというサブ職です。このギルド内ではブラックスミスをシルバ様とマリスと私が、シーンストリスはクレアさんと私がマスターしております。素材さえあれば私達で作りましょう。」


 エルドは拭き終えた皿を棚に置いた。


「そ、それでは私達は素材を。」

「おっと待った。その事について今考えたんだが、俺達も行くってのはどうだ?効率が良くなるぞぉ〜。」


 シルバはコップに入った氷を回して言った。


「でも、そこまでしてもらうのは……」

「いいえ、手伝わせてください。これも仕事のうちです。それに、シルバ様は一度決めた事はやり抜くお方でございますので。」


 エルドはそう言ってカウンターに地図を広げた。レオ達は地図に近寄り、見つめた。


「それでは、会議と致しましょう。まず、パーティ編成。レオさん達の年齢を考え、なるべく近いほうが良いと思うので、シルバ様、ライラさん、マリス、ココさんをパーティに加えましょう。」

「じゃ、俺はラスカンに……」


 リュオンは立ち上がり、小屋を出た。


「ちょ、リュオン!もぉ〜……」


 クレアは椅子に座って頭を掻いた。


「……そして二つに分け、レオさん、ドーマさん、マリス、ココさんで一軍。アランさん、ネネカさん、シルバ様、ライラさんで二軍。どうでしょう?」

「……なんか…本格的だな…………」


 アランはエルドの真剣な顔に苦笑いをした。ネネカは三人に隠れて少し落ち込んだ表情になった。編成が気に入らなかったらしい。


「そして討伐目標。レオさん達のレベルと装備コストからすると、タキオオハシとヒカリヨロイウオが良いかと。それでは、タキオオハシを一軍。ヒカリヨロイウオを二軍でお願いします。ちなみに、タキオオハシは鳥系の水属性、ヒカリヨロイウオは魚系の雷属性の魔物です。」

「おっとじっちゃん、場所も教えてやってくれ。」


 シルバは地図を指で触って言った。


「承知しました。まず、オニオオハシ。ブランカのグアラニ大滝の近くに多く生息します。次に、ヒカリヨロイウオ。同じくブランカですが、その滝の裏の洞窟の浅い層に多く生息します。そして、ヒカリヨロイウオを担当する二軍の方々にはこちらを……」


 エルドはそう言ってカウンターの上に四本の松明と三本のツルハシを置いた。


「これは?」

「説明します。まず、グアラニの洞窟には光が全く差し込まず、とても暗い環境となっております。そして二軍の方々には討伐とは別に鉄鉱石の採掘をお願いします。そのための編成と言ってもいいでしょう。質問は…」


 七人は横に首を振った。


「それでは、行ってらしゃいませ。」

「じゃあココ、一緒に頑張ろっか。」

「おう!!」


 マリスがココに言うと、ココは元気よく飛び跳ねた。


「頼んだぜライラ。」

「シルバもね。」


 シルバとライラは拳と拳を合わせた。


「あ、あの……レオ…さん…」

「ネネカ、お互い頑張ろう。」

「…………は…い。」


 レオとネネカが会話を終えると、二軍の四人は小屋を出た。


「じゃあ僕達も」

「おいレオ、一応聞くけど、ネネカの気持ち分かってんのか?」

「え……?……気持ち……?」

「はぁ〜っ、これだから鈍感なヤツは……」


 マリスは、ドーマの言葉に対するレオの濁った表情と先ほどのネネカの表情を照らし合わせると、何かを察したかのように微笑んだ。

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