洞窟の赤鬼
レオは木の剣、ドーマは木の弓、ネネカは木の枝を持って、彼ら4人は冒険に出た。目的地は町の少し遠くにあるゴブリンの洞窟だ。
「それにしても、ずいぶん凄い世界に来たもんだよなぁ?」
アランは辺りを見渡し、歩きながらレオに口を開いた。草原を駆ける風が涼しい。
「まあね。でもこれは校長先生が僕達のために用意してくれたんだから、それなりに感謝の気持ちを持たなきゃね。」
「レオさん、アランさん、デカハム3匹がこちらに向かってきますっ!」
「ん?……っ!!」
デカハムが3匹現れた。
「おお、来たか来たか!」
レオの攻撃!デカハムAに6のダメージをあたえた。
ドーマの攻撃!矢がデカハムに命中!!デカハムAに5のダメージをあたえた。デカハムAは倒れた。
アランの攻撃!デカハムBに12のダメージをあたえた。デカハムBは倒れた。
デカハムCの攻撃!レオは2のダメージを受けた。
ネネカは身を守っている。
レオの攻撃!デカハムCに8のダメージをあたえた。
ドーマの攻撃!デカハムCに3のダメージをあたえた。
デカハムCは倒れた。
経験値6 12セリアを獲得!アラン、ドーマ、ネネカはLv2になった。
「くっ…ちょっと苦戦したな。」
「まぁ、一気に3匹来たもんね。あ、3人とも、レベルアップおめでとう。」
「ああ。」
アランの頷きに、レオは微笑んだ。
「さて、先に進もうか。」
レオ達はまた緑が広がる大地を歩き始めた。初めての魔物との戦闘は緊張感があり、戦いが終わった後も手に少しの震えが残る。
ー30分後ー
「まだかぁゴブリンの洞窟はぁ……?だんだん疲れてきたぞ……」
「ドーマ、もう少し頑張ろう。洞窟に着いたら入り口付近で休もうよ。」
「あ〜ぁ、分かった分かった。」
ドーマが面倒くさそうな顔をして言った。その時、目の前の草がガサガサと音をならして揺れた。
「あ、あれ!」
ネネカがそう言って指をさすと、そこにはゴブリンが隠れていた。その姿は、まるで血で体を染めた鬼のようだった。
「よぉし、俺がボコボコにしてやる!」
「待って!少し様子を見よう。」
レオはアランを止め、背の高い草に身を隠した。すると、そのゴブリンは辺りを見渡した後に、彼らの進行方向の右側へと歩き始めた。
「どこに行く気なんだ、あいつ?」
「……多分、あの洞窟ではないでしょうか…?」
ネネカが指をさし、3人がその先を見ると、そこには洞窟があった。
「ゴブリンの洞窟だよ!バレないようについて行こう」
レオ達は足音を立てないように、しばらくの間ゴブリンを追い、ようやく洞窟にたどり着いた。
「ここか…よし、少し休もう。」
そう言ってドーマがバッグから薬草ジュースを3つ取り出した。レオはその数に首を傾げる。
「あれ?アランのは?」
「決まってるだろ?アタシがあんなヤツに渡すと思ったか?」
「おいテメェっ、俺のHPはどうしろって言うんだ!?」
「ハァ?そんなの、そこらへんに生えてる草とか食っときゃいいだろ?」
「ア?なんだとテメェ!?」
そんな2人を見て、ネネカは静かな顔をしながらレオに口を開いた。
「本当に仲が悪いんですね、あの二人。」
「うん。でも、そこからどう絆が深まるかが魅力的なんだよね。人間って。」
レオが微笑んでそう言うと、アランとドーマが同時にレオを睨み、口を開いた。
「「深まってたまるかっ!!」」
「……えぇ…………」
アランとドーマの喧嘩が終わったところで、4人は洞窟の中へと入った。中は壁に刺さった松明の火で照らされており、多少薄暗いが足を止める事なく進む事ができた。しばらく歩くと、ベリアフとアルヌのパーティがHPがあと少しのところで壁にもたれて座っているのが見えた。8人の体や汚れた制服には、血飛沫のようなものが付いていた。
「みんなっ、大丈夫!?」
レオの声にアルヌはゆっくりと振り向いた。
「ああ、…レ、レオか…Lv1の…お、俺達には、このダ、ダンジョンは、無理だ…。」
「無理しないで、はい、薬草。」
レオはバッグから薬草を8つ取り出した。
「あぁ…すまない。」
「ありがとう……レオ…アラン…ドーマ……ネネカ……。俺達は…リタイアして…先に町に帰るよ。…ここから先……気を付けて行けよ。」
アルヌとベリアフの言葉に、レオ達は優しく微笑んだ。松明が照らす4人の顔は誇らしく、前向きだった。
「うん。分かった。みんなも気をつけて帰ってね。」
レオ達はベリアフ達と別れ、奥へと進んだ。すると、奥に何かの影が見えた。
ゴブリンが2体現れた。
レオの攻撃!ゴブリンAに7ダメージあたえた。
ゴブリンBの攻撃!アランは10ダメージを受けた。アランの頭から血が流れている。
ドーマの攻撃!しかし、攻撃を避けられた。
「チィッ!!」
アランの攻撃!会心発動!!!ゴブリンBに22ダメージをあたえた。ゴブリンBは激しく壁に体を叩きつけて倒れた。
ネネカの攻撃!ゴブリンAに2ダメージあたえた。
ゴブリンAの攻撃!ドーマは5ダメージ受けた。
レオの攻撃!ゴブリンAに8ダメージ受けた。ゴブリンAは倒れた。
経験値10 20セリア獲得!レオがLv3になった。レオは特技‟連続斬り‟を覚えた。ネネカ、ドーマはLv3になった。ネネカは魔法”レッシュ”を覚えた。ドーマが特技”みだれ矢”を覚えた。
「うぐっ!!」
アランは壁にもたれて座り込み、少し血を吐いた。
「アラン!!大丈夫!?…まずい!HPが残り2しかない!!薬草は…。」
レオ達はバッグの中を調べた。しかし、薬草はもうない。
「……ない…っ、どうすれば。」
「あの………」
すると、ネネカは小さい口を開いて立ち上がった。
「今、私が覚えた魔法でなんとかなると思うのですが…。レッシュで。」
「回復魔法かも……やってみて。」
「はい……”レッシュ”…。」
その時、ネネカの手とアランの体が緑色に光り出した。その光は暖かく、見ているだけで癒されるような優しいものだった。
「う…うん?」
癒しの光が消えると、アランは立ち上がった。
「おぉ…痛みが消えたっ!!すげぇっ!!ありがとな、ネネカ。」
「え、いやあの…。」
「僕からも言うよ、ありがとう。」
喜ぶ2人の顔を前に、ネネカは顔を赤くして小さく口を開いた。
「…い、いえ。偶然覚えた魔法なので…。」
「よし、アランも回復したことだし、先に進もう。」
レオ達はまた先へと進んだ。しばらく歩くと、広い空間にたどり着き、彼らの前に巨大なゴブリンが現れた。
「……こいつがあの?」
その時、巨大なゴブリンが大きな口を開いて鋭い牙を見せた。
「わが名はキングゴブリン。魔王様のしもべとして貴様達を殺す。おめぇら!殺っちまえぃ!!!」
洞窟を揺らすほどの声が響くと、鉄の鎧に身を包んだナイトゴブリンが、10体同時に4人に走って来た。
「来る!!!」